帰還者の影法師
38歳の藤堂剛志は、15年間の特殊部隊員生活に終止符を打ち、一般企業へ転職した。平凡なサラリーマンとして新しい人生を歩もうと決意した矢先、かつての同僚の遺体が発見される。自殺と断定された死は、明らかに作為的な痕跡を残していた。警察の不自然な幕引きに、藤堂の過去が再び動き出す。
転職先の広告代理店では、新人指導を任された冷徹な企画部長・篠原と、無邪気な後輩女性・由美との三角関係が形成されていた。篠原は表面的には完璧だが、その背後には何かを隠している。由美は明るさの裏に深い孤独を抱えている。そして不可解な事件から数週間後、転職前の部隊を率いていた上司・黒木が突然、藤堂に接触してくる。黒木は現在、民間軍事企業の幹部となっており、かつての部隊員たちが次々と消えていることを告げた。
藤堂は事件調査を進める中で、過去の作戦で関わった東南アジアの武装勢力との関連を疑い始める。だが同時に、職場での人間関係の中で、彼の真の目的を読み取ろうとする者たちの存在に気付く。篠原は何度も藤堂に接近し、過去について探ろうとする。由美は無意識のうちに危険な情報へと近づいていく。黒木からは部隊への復帰を強く勧められ