身代わり婚約者は、本物の恋に落ちる
美澤沙織は、大手企業の地味な企画部員。平凡な日常を送っていた彼女は、ある日、会社の同僚から思いもよらない頼みごとをされる。それは、その同僚が勤める財閥・鷺ノ宮家の御曹司・鷺ノ宮恭一郎の身代わり婚約者になることだった。恭一郎は家の経営陣から婚約者を強要されていたが、本人は結婚を望んでおらず、一時的に婚約者がいるという体裁を作るために演技相手が必要だったのだ。
沙織は、報酬と引き換えにこの危険な役を引き受けることにする。財閥の令嬢として高級ホテルでの婚約発表、家族との顔合わせ、社交界でのパーティーなど、普通の一般女性には経験できない世界が広がっていた。しかし、そこで沙織が出会ったのは、恭一郎だけではなかった。
冷徹で支配欲の強い長男・恭一郎は、最初、沙織のことを演技相手以上に見ていなかった。だが、彼女の誠実さと不器用な努力に次第に惹かれていく。一方、恭一郎の秘書で、彼の側近として絶対的な信頼を寄せられている青年・南条蒼は、沙織が現れた瞬間から彼女に執着を始める。その目は愛というより、所有欲に満ちていた。そして、家族の次男・鷺ノ宮慶太は、兄への反発心から、沙織に惹かれ始める。彼の好意は優