禁忌の恋、妖との契約
大正十二年、陰陽師の名門・琴音家に生まれた琴音は、霊的知識に長けた才媛として周囲の期待を一身に集めていた。しかし、彼女の心には常に孤独感が付きまとっていた。同族の陰陽師たちからは厳しく管理され、禁忌を破ることへの強い葛藤を抱えながら日々を過ごしていたのだ。
ある雨の夜、琴音は結界の外で人間の姿をした妖と出会う。その名は朱鳥(あかとり)。妖の身でありながら、人間らしい感情と優しさを持つ彼は、琴音の孤独感に静かに寄り添った。禁忌とされた人間と妖の接触。やがて二人の心は惹かれ始め、琴音は朱鳥への想いを抑えることができなくなっていく。
しかし、琴音の周囲には彼女を守ろうとする者たちがいた。厳格な父・琴音の兄、そして琴音の幼馴染で同じ陰陽師である静馬。三人とも、琴音への想いを隠せずにいる。父は娘を支配することで守ろうとし、兄は妹の成長を阻むことで近い存在でいようとし、静馬は琴音への純粋な恋愛感情を募らせていく。
やがて琴音の妖との関係は、琴音家の者たちに知られることになる。朱鳥を排除しようとする父と兄。琴音を独占しようとする静馬。琴音を守りたいという名目で、彼らはそれぞれ異なる行動を取り始