陰陽師の娘と禁忌の契約
大正十年(1921年)、東京。名門陰陽師・藍堂家の次女、赤奈あきらは、家族からの重い期待に押しつぶされそうになっていた。才覚あふれる姉・麗華とは異なり、あきらは霊感が乏しく、退屈な式神の修行に日々を費やしていた。彼女の視線はいつも、遠くの世界へと漂っていた。
秋の雨夜、あきらは禁忌の呪文で封印された古びた鳥居に引き寄せられる。そこで出会ったのは、何世紀も封じられてきた人の姿をした妖怪、銀月だった。彼の肌は青白く光り、暗闇の中でだけ深紅の瞳が燃え上がる。
銀月は契約を持ちかける。「封印を解いてくれれば、眠れる霊力を目覚めさせよう」と。家の掟では即座に彼を滅ぼすべきだが、あきらは密かな深夜の逢瀬に応じ、次第に超常の力を強めていく。しかしそれは彼女を全て飲み込む危険な道でもあった。
銀月との絆が深まる中、あきらの運命に絡みつく者が三人現れる。彼女の鏡像のような従兄弟・京也は家の命令で彼女を監視し、姉の麗華はあきらが抱える危険な秘密を察知し、そして銀月自身も真の思惑を隠していた。抑えきれぬ欲望と家族の義務、禁断の想いが絡み合う中、あきらは血筋と心の狭間で選択を迫られる。
だが、最も暗い