ヨシムラ・ソウが目を覚ますと、閉ざされた部屋の冷たいコンクリートの床に横たわっていた。頭は激しく痛み、名前も過去も、ここにどうやって来たのかも思い出せない。唯一の手がかりは、壁に赤く書かれたメッセージだけだった――「オレが犯人だ」。 ポケットに折りたたまれたメモには、名前が書かれていた。ヨシムラ・ソウ、26歳。それだけが彼の全て。記憶は完全に消え失せていた。 部屋を探ると、使い古されたコーヒーマグ、血の染みたロープの切れ端、そして死んだ女性の写真が見つかる。ソウはその顔を知らなかったが、写真を見るたびに胸の奥が痛く締めつけられる。 「オレが彼女を殺したのか?」 扉が開き、白衣を着た若い女性が入ってきた。アマネ・カナコ――この施設に所属する心理学者だ。彼が生きていることにほっとした様子で、ソウに話しかける。彼は自分の意思でここに入ってきたらしいが、なぜかは誰にもわからない。監視映像には、顔の見えない誰かと口論する彼の姿が映っていた。 施設の地下にはもう一人、クロカワ・ジンがいた。30代の元刑事で、鋭い目つきをした男だ。ソウを見るなり目を細め、その名前を知っていると言う。ソウは被