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「金木、もう戦わなくていいんだよ…」戦場で聞いた董香の最期の言葉が、まだ耳に残っている。大戦から二年。人間と喰種の共存への道は、数えきれない犠牲の上に築かれた。しかし平和は、生き残った者たちに深く疼く傷をもたらす。 金木は生き延びた。だが、親友のヒデを、師である篠原を、そして多くの仲間を守れなかった自分を、彼は決して許せずにいた。人と喰種の混血という生ける象徴として崇められる日々の中で、その重圧は彼を押し潰そうとしている。董香は必死に彼を支えようとするが、心の奥底では、いつか彼が自分の知らない世界の誰かのもとへ去ってしまうのではないかという、凍えるような恐怖が震えていた。 そんな脆い平穏のなかに現れたのが、故・芳村功善の生まれ変わりとも言うべき少女、アヤメだった。彼女はかつての“梟”の赫子を研究した科学者の娘であり、その意志を継ぐ生ける遺産。金木は彼女の中に、かつて自分が失った理想の姿を見出し、急速に惹かれていく。 董香は、ただ黙って見守ることしかできなかった。金木とアヤメの距離が縮まるほどに、彼女の胸は締め付けられる。アヤメもまた、傷ついた金木を救いたいと純粋に願うあまり、董香
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