幼馴染と、あまくてぬるい檻の中で
高校卒業後、漠然とした夢を追いながらフリーターをしている真翔は、とある事情から幼馴染の灯里と同棲することになる。
驚くほど美しく成長した灯里との生活は、真翔の理性を容赦なく削っていく。部屋着姿で無防備にくつろぐ彼女、ちょっとしたことで赤くなる頬——正気を保つだけでも精一杯の毎日だ。
そんなある夜、酔った灯里が真翔の布団にもぐりこみ、こう囁く。「昔からずっと、好きだったんだよ」——触れ合う手、吐息が混ざるほど近づく顔。長年の友情は、激しく生々しい欲望へと溶けていった。汗ばむほどに絡み合う身体、彼の名を喘ぐ彼女の声と、肺を満たす灯里の匂い。
だが、これは甘い恋の始まりなんかじゃない。互いを焼き尽くす執着の幕開けだった。灯里は真翔のスマホをチェックし、仕事のシフトをすべて把握し、十分の遅刻にも百回の着信を残す。「ずっと一緒にいてくれるよね?」という甘い囁きには、「逃したら許さないから」という本気の脅迫が潜んでいる。
真翔が友人・静生に相談すると、涙目の灯里は「私のこと、誰かに話した?」と詰問。翌日には、朗らかな笑顔で静生との縁を完全に断ち切ってしまう。性的な支配は武器となり、彼女の身
幼馴染と、あまくてぬるい檻の中で - 酔えない夜、重なる吐息——幼馴染から恋人への一線
同居を始めて、一週間が過ぎた。
六月の日差しは日増しに強くなって、アパートの周りでは用水路の水がキラキラと照り返す。
真翔はリビングのソファに寝転がって、ぼんやりと天井を見ていた。体をまっすぐに伸ばせない小ささにも、もう慣れた。
(ここにいていいんだ)
そう思うと、胸の奥がほっとする。
母親が出て行ったのは、七つの時だ。
夜中に、荷物をまとめて。玄関のドアが閉まる音で、目が覚めた。それからずっと、誰かに必要とされることへの空腹感が、自分の真ん中にある。だから今、灯里の「いていいよ」っていう言葉だけで、こんなに安心してしまう。
(俺、ちょろいよな)
真翔は苦笑いしながら、首を動かした。
キッチンからは、灯里が鼻歌まじりに夕飯を作る音が聞こえてくる。包丁がまな板を叩くリズム。
「[gentle]マナトー、そろそろご飯できるよ」
声がかかる。
真翔が体を起こすと、灯里がフライパンを片手に振り返った。
その格好に、真翔は一瞬、言葉を失う。
白いタンクトップに、短いパンツ。仕事中はいつもこうだ。在宅デザイナーの灯里は、一日中部屋着で過ごしている。今日も朝からパソコンに向かい、マウスをカチカチと鳴らしていた。
タンクトップの布は薄く、肩から鎖骨にかけてのラインがはっきりと見える。
そして、その下には何もつけていない。
「[gentle]お肉、焼きすぎちゃったかも」
灯里は前かがみになって、コンロの火を弱める。
タンクトップの胸元が、重力に引かれてわずかに開く。
真翔の目が、勝手にそちらを向いた。
首筋から背中へ、かすかな熱が走る。
(やめろ、見るな)
自分に言い聞かせても、視線が言うことを聞かない。この一週間、ずっとそうだった。
灯里は無防備すぎる。昔からの幼馴染だからなのか、それとも男として見ていないからなのか。
バイト中も、倉庫で重い段ボールを持ちながら、灯里の肌を思い出していた。白くて、きめ細かくて、あのやわらかそうな体の線を。
下半身が熱くなった。
(やばい。俺、やばい)
夕飯は、肉野菜炒めと味噌汁だった。
灯里は真翔の向かいに座って、楽しそうに話す。フリーランスの仕事の愚痴、近所のスーパーが安かったこと。真翔は相槌を打ちながら、必死で目を皿の上に固定する。
彼女の琥珀と銀のオッドアイが、時々こっちをじっと見つめる。
話すときは必ず、相手の目をのぞきこむ癖がある。深紅の長い髪が、ゆるやかなウェーブを描いて揺れる。
「[laughing]そういえばさ、マナト。洗濯物たまってるから、あとで出しといてよ」
「[serious]おう、わかった」
食後、洗濯機を開けた真翔は、洗濯槽の中に手を突っ込んで固まった。
色とりどりの布の中に、黒いレースの下着が混ざっている。
灯里のだ。
間違いなく、灯里のだ。
(……どうしろっていうんだよ)
指先でつまみ上げると、布地は驚くほど少ない。とても実用的とは思えないデザインだ。
「[excited]どうしたの? 洗濯、終わった?」
背後から声がした。
真翔は飛び上がりそうになり、あわてて下着を洗濯機に戻す。
振り返ると、灯里がキッチンから顔をのぞかせて、にっこり笑っている。
「[laughing]恥ずかしがらなくていいのに。一緒に住んでるんだから、そーいうのも当たり前じゃん」
目が合った。
琥珀と銀の瞳が、笑っているのにどこか冷たく光る。
(見せてるのか? わざと?)
真翔の中で、小さな疑問が頭をもたげる。
でもすぐに、かき消した。
(考えすぎだ)
夜。
灯里が寝室に引っ込んでから、真翔はソファでスマホをいじった。
SNSを見ても、友達とメッセージをしても、頭の片隅には灯里の体がこびりついて離れない。
(もう寝よう)
スマホの画面を消す。
真っ暗なリビングに、エアコンの低い運転音だけが響く。
真翔は目を閉じた。
その夜も、変な夢を見た。
灯里が、泣いていた。物心ついた頃から、いつも自分の隣で笑っていたはずの彼女が、声のない涙を流している。真翔は手を伸ばそうとするが、指先は空を切るばかりだった。
目が覚めると、朝日がカーテンから差し込んでいた。
週末の夜。
「[excited]ちょっとお祝いしようよ」
灯里がコンビニの袋をテーブルに置きながら言った。中から出てきたのは、缶チューハイが数本。
「[surprised]お祝いって、なんの?」
「[gentle]マナトがここに来て、一週間でしょ。ちゃんと続いてるの、めでたいじゃん」
「[sad]なんか、お前に全部世話になってるだけなのに……」
「[laughing]いいのいいの。ほら、乾杯しよ」
プルタブを開けると、甘ったるい果実酒の香りがした。
真翔は一口含む。冷たい液体が喉を通る。
灯里も缶に口をつけた。
すぐに、彼女の頬がうっすらと赤くなる。
「[gentle]私ね、お酒弱いんだ」
目がとろんとしてきた。呂律も少し回っていない。
「[laughing]でも今日は、ちょっとだけいっぱい飲みたい気分」
彼女はクスクス笑いながら、缶を傾ける。
真翔は黙ってそれを見ていた。
(無理しなくていいのに)
そう思ったが、口には出さなかった。
缶が空になる頃には、灯里はもう完全に酔っていた。
「[scared]……マナトぉ」
支離滅裂な声で、彼女がうわ言のように真翔の名前を呼ぶ。
「[gentle]ちょっと、寝てくる」
ふらふらと立ち上がり、寝室へ消えていった。
真翔は一人、リビングに残された。
残った缶チューハイを片付けて、歯を磨く。ソファに寝転がって、天井を見る。
(なんか、変な夜だな)
ぼんやりと、そう思った。
どれくらい時間が経っただろう。
寝室のドアが、かすかに開く音がした。
カーテンの隙間から月明かりが差し込んで、リビングはうっすらと青白い。
灯里が、裸足で立っていた。
部屋着のまま、無言で。
「[surprised]……灯里?」
返事がない。
ゆっくりと、彼女は真翔が寝ているソファに近づいてくる。その足音はまるで幽霊のように静かだった。
そして――
掛け布団の端をつかみ、無造作にめくった。
「[scared]お、おい――」
真翔の言葉を遮るように、灯里はそのまま布団の中に潜り込んできた。
狭いソファの上で、二人の体が密着する。
背中に、灯里の全身の熱が伝わってくる。
薄いタンクトップ越しに、彼女の肌のやわらかさが、はっきりとわかった。胸のふくらみが、背骨にあたる。
アルコールの混じった吐息が、首筋をくすぐる。
「[whispers]……私さ」
震える声が、耳元で聞こえた。
「[sad]ずっと、子どもの頃から、マナトのことだけ見てたんだよ」
灯里の腕が、真翔の胸に回される。
細くて、でも強い力で抱きしめられた。
「[crying]マナトが中学のとき、野球部の女子マネージャーと付き合ったでしょ」
思いがけない過去の名前に、真翔の心臓がドキリと嫌な音を立てる。
「[crying]あのとき、私、本気で死のうと思ったんだ」
声は、泣いているのに笑っているようだった。
背中に、生ぬるい感触が広がる。
灯里の涙が、タンクトップ越しに染みてきていた。
「[crying]もう離れないで。ずっと一緒にいて。お願いだから――」
体が、震えている。
小さな子どものように、彼女は真翔の背中に額をこすりつけた。
真翔は動けなかった。
(灯里が、そんな風に思ってたなんて)
知らなかった。
いつも明るくて、しっかりしていて、自分を助けてくれる幼馴染。
その心の奥で、これほど深い闇を抱えていたなんて。
「[crying]……好き。好きなの。マナトのことだけ、ずっと好きだったんだよ」
灯里の手が、真翔の肩をつかみ、無理やり体を反転させる。
月明かりの下で、彼女の顔が見えた。
涙で濡れた頬。震える唇。
琥珀と銀の目が、取り憑かれたように真翔だけを見つめている。
「[whispers]ねえ、私のこと、見て」
彼女の顔が、ゆっくりと近づいてくる。
真翔は、目を閉じることができなかった。
灯里の唇が、自分の唇に触れた。
アルコールの味と、涙のしょっぱさが混ざった、熱くて、柔らかい口づけだった。
灯里の舌先が、震えながら真翔の唇をこじ開け、中に入り込んでくる。
拒否する、という選択肢が、真翔の頭の中から消えていた。
(俺、こいつのこと……)
同情なのか、愛情なのか、それとも性欲なのか。
自分でもわからないまま、真翔は灯里の腰に手を回していた。
タンクトップの下から手を差し入れ、汗ばんだ背中に直接触れる。
「[crying]……やっと、やっと、マナトが私のこと見てくれた」
灯里は泣き笑いの表情で、自分からタンクトップを脱ぎ捨てた。
月明かりに照らされた肌は、白く輝いて見える。
形のいい乳房が、重力に従ってわずかに揺れた。
彼女は真翔の手をとり、自分の胸へと導く。
(やわらかい)
指の腹で、そっと円を描くように撫でると、灯里の体がビクリと跳ねた。
「[whispers]……あっ」
小さな声が漏れる。
真翔の下半身は、パジャマの上からでもはっきりとわかるほど硬く張り詰めていた。
灯里は短いパンツと下着を、自分で膝までずり下ろす。
薄暗がりの中でも、太もものつけ根にある秘部が、すでに濡れているのが見えた。
「[whispers]……やさしく、してね。初めてなんだから」
真翔は息を呑む。
(こいつ、俺なんかに――)
自分のちんこをパジャマから取り出すと、先走り汁でぬめっていた。
灯里の太ももを、そっと左右に開く。
彼女のまんこに、真翔の亀頭をあてがった。
熱くて、ぐちゅりと音がしそうなほど濡れている。
「[scared]……入れるぞ」
腰を、少しずつ前に押し出す。
ぬぷぷ……
狭い膣口が、真翔のちんこをきつく締め付ける。少し進めると、何か薄い膜のようなものに亀頭が触れた。
「[crying]――痛っ」
灯里の爪が、真翔の背中に食い込む。
一気に貫くと、彼女の膣の中で何かが破れる感触がした。処女膜だ。二人がつながった部分から、血がにじみ、ソファの布地に染みを作る。
「[scared]大丈夫か……?」
「[crying]うん……だいじょうぶ。ちょっとだけ、そのままでいて」
しばらくして、痛みが引いたのか、灯里が自分からうなずいた。
「[whispers]……もう、いいよ。動いて」
真翔は、ゆっくりと腰を動かし始める。
ぬちゃ……ぬちゃ……
狭いソファが、ギシギシと軋む。
ピストン運動を続けるうちに、灯里の中はさらに熱く、やわらかく、真翔のペニスにまとわりついてきた。
「あぁっ……んっ、ふあぁっ……!」
灯里の口から、甘い喘ぎ声が漏れ始める。
彼女は真翔の首に腕を回し、両脚を彼の腰に絡みつかせた。
「[whispers]もっと……もっと奥に……お願い……」
貪るような動きに、真翔も応える。
腰を打ち付ける速度を速めると、結合部からグチョグチョという水音が激しくなる。
「[crying]あっ、やっと、私のものに……マナトが、私だけのものに……」
灯里は涙を流しながら、うわ言のように繰り返す。
彼女の膣が、ぎゅうぎゅうと収縮する。
「[excited]イくっ……イっちゃう!」
灯里が最初の絶頂を迎えると、その締め付けに真翔も耐えきれなかった。
「[scared]灯里、俺も……」
「[crying]中に、中に出して……!」
灯里は脚に力を込めて、真翔が逃げられないようにする。
ドクン、ドクンと脈打つように、真翔は灯里の膣の奥深くに白濁した精液を吐き出した。
「ああぁぁっ……!」
熱いザーメンが子宮口にぶつかる感覚に、灯里はもう一度小さく絶頂した。
射精が終わっても、二人はしばらく抱き合っていた。
汗で濡れた肌が、冷房の風で冷やされていく。
真翔の精液と、灯里の愛液と、破瓜の血が混ざり合い、太ももを伝ってソファの布地に染みを作っていく。
満足感と、言い知れぬ疲労感が、真翔を包んだ。
(やってしまった)
後悔はなかった。
ただ、ひどく現実感がなかった。
夜明けが近い。
カーテンの隙間が、白み始めている。
灯里は静かに起き上がった。
裸のまま、テーブルの上にある真翔のスマホを手に取る。
「[gentle]ねえ、マナト」
優しい声だった。
「[gentle]ロック番号、教えてくれるよね?」
真翔は、セックスの余韻でぼんやりしていた。
(ロック番号……?)
「[whispers]だって、もう恋人同士なんだから」
灯里のオッドアイが、朝日に照らされて底知れぬ輝きを放つ。
何の疑いもなく、真翔は四桁の数字を口にした。
灯里の指が、素早く画面をスライドする。
ロックが解除された瞬間、彼女は迷わず通話履歴のアイコンをタップした。
過去一週間分の、発着信の記録が画面に現れる。
灯里の目が、超高速でスクロールされる文字列を追う。
その横顔からは、さっきまでの泣きじゃくるような弱々しさは消えていた。
まるで獲物を探すハンターのように、冷たく澄んだ視線。
指が、ぴたりと止まる。
「[cold]……この、サトウって子」
声の温度が、数度下がった。
「[cold]毎日、電話してるんだ?」
コンビニの同僚だ。シフトの確認を、毎日夜のうちにやっているだけだった。
「[scared]や、違う、あれはバイトの――」
真翔が慌てて説明しようとすると、灯里は一転して、ぱあっと華やかな笑顔を咲かせた。
「[excited]……よかった」
スマホをテーブルに置き、裸のまま真翔の首に抱きつく。
彼女の素肌の温もり。まだ汗の香りが残っている。
「[whispers]私、マナトのことしか見えないから。マナトも、私だけ見ててくれなきゃ、死んじゃうから」
耳元で、甘く囁かれる。
温かくて、心地良くて、この世界の全てみたいに感じる声だ。
でも、真翔の背中に、ほんの一瞬だけ冷たいものが走った。
初めて感じる、種類の違う悪寒。
(なんだ……?)
それは、灯里の愛情が深すぎるがゆえの、ほんの小さな歪み。
笑顔で通話履歴を隅々までチェックしていた彼女の横顔。
あの冷たい瞳の色が、真翔の目の裏に焼きついて離れない。
陶酔と、微かな違和感。
その二つが、夜明けの静けさの中で、ゆっくりと混ざり合っていく。
灯里は、満足そうに目を細め、恋人を抱きしめる腕に、さらに力を込めた。