幼馴染と、あまくてぬるい檻の中で
高校卒業後、漠然とした夢を追いながらフリーターをしている真翔は、とある事情から幼馴染の灯里と同棲することになる。
驚くほど美しく成長した灯里との生活は、真翔の理性を容赦なく削っていく。部屋着姿で無防備にくつろぐ彼女、ちょっとしたことで赤くなる頬——正気を保つだけでも精一杯の毎日だ。
そんなある夜、酔った灯里が真翔の布団にもぐりこみ、こう囁く。「昔からずっと、好きだったんだよ」——触れ合う手、吐息が混ざるほど近づく顔。長年の友情は、激しく生々しい欲望へと溶けていった。汗ばむほどに絡み合う身体、彼の名を喘ぐ彼女の声と、肺を満たす灯里の匂い。
だが、これは甘い恋の始まりなんかじゃない。互いを焼き尽くす執着の幕開けだった。灯里は真翔のスマホをチェックし、仕事のシフトをすべて把握し、十分の遅刻にも百回の着信を残す。「ずっと一緒にいてくれるよね?」という甘い囁きには、「逃したら許さないから」という本気の脅迫が潜んでいる。
真翔が友人・静生に相談すると、涙目の灯里は「私のこと、誰かに話した?」と詰問。翌日には、朗らかな笑顔で静生との縁を完全に断ち切ってしまう。性的な支配は武器となり、彼女の身
幼馴染と、あまくてぬるい檻の中で - 壊れる夜、縛られる朝——秘密がバレた日
七月に入って最初の金曜日、真翔は倉庫の休憩室でスマホを握りしめていた。
蛍光灯がジジ、と鳴っている。壁に貼られた安全第一のポスターの端がめくれていた。休憩室には誰もいない。飯を食いながら同僚たちが話す笑い声が、壁越しに聞こえるだけだ。
今日も灯里が来ていた。
バイト先の裏口のところで、ずっと立っていた。午後三時の暑い中、日傘もささずに。真翔がフォークリフトを動かしていると、倉庫のシャッターの隙間から彼女の赤い髪が見えた。琥珀と銀のオッドアイが、じっとこっちを見つめている。
今週だけで三回目だ。
(もう、限界かもしれない)
真翔は震える指で、スマホのLINEを開いた。
アドレス帳をスクロールする。高校の同級生、バイト先の連中。その中に、一つだけ頼れる名前があった。
静生。大学に通いながら、いつも冷静に話を聞いてくれる唯一の友人。
真翔は短いメッセージを打った。
「[serious]ちょっと相談したいんだが」
返事はすぐに来た。
「[serious]わかった。どこにする」
「駅前のファミレスでいいか」
「[serious]三十分後で」
真翔はスマホをポケットに突っ込むと、休憩室を出た。
裏口に向かう足が、鉛のように重い。
シャッターをくぐると、強い日差しが目に刺さった。
灯里が、立っていた。
白いワンピースの裾が、生ぬるい風に揺れる。深紅の長い髪がキラキラと光を反射して、まるで絵画みたいだった。彼女はにっこり笑う。
「[gentle]お疲れさま、マナト。一緒に帰ろう」
「ごめん、ちょっと用事ができて」
灯里の笑顔が、ほんの一瞬だけ固まった。
目の奥の光が、チラリと揺れる。でもすぐに、また優しい笑顔に戻った。
「[gentle]そっか。わかった。気をつけてね」
真翔は逃げるように、駅へ向かった。
背中に、灯里の視線が刺さったままだった。
———
駅ビル、マルトシティの三階にあるファミレスは、平日の夕方でもそこそこ混んでいた。
真翔は窓際の席に座って、アイスコーヒーを頼む。グラスの水滴を指でなぞりながら、ぼんやりと待った。
ガラス越しに見える空は、薄曇りだ。蒸し暑くて、汗がなかなか乾かない。
「真翔、久しぶり」
顔を上げると、静生が立っていた。
銀髪に癖のあるショートヘア。鋭い翡翠色の瞳。眉間にはいつも皺が寄っているけど、今はそれ以上に、心配そうな色が浮かんでいる。
静生は真翔の向かいに座り、アイスティーを注文した。
「[serious]で、相談って何だ。珍しいじゃないか、君から連絡してくるなんて」
真翔は一瞬息を詰まらせてから、ぽつりぽつりと話し始めた。
灯里のこと。
同居を始めて一ヶ月。彼女が、少しずつ変わってきていること。
「バイト先に、今週三回来てる」
真翔はアイスコーヒーを一口すすった。氷がカランと鳴る。
「それだけじゃない。シフト表を写真に撮られてる。帰宅時間の五分前には玄関で待ってるんだ。十五分遅れただけで、不在着信が十六件。スマホのロックも、勝手に解除されて……通話履歴も、グループチャットも、全部見られてる」
静生は黙って聞いていた。
アイスティーをストローでかき混ぜる手が、ぴたりと止まる。
「[serious]真翔、それ」
静生の声が低くなった。
「普通じゃない。DVだよ」
真翔は顔を上げた。
DV。
その言葉が、頭の中で反響した。
「でも、彼女は俺のことを思って……」
「違う」
静生はきっぱりと言った。
「君のことを思ってるなら、十六件も着信を入れない。スマホを無断で覗いたりしない。シフト表を勝手に写真に撮ったりもしない。それは愛情じゃない。支配だ」
真翔はうつむいた。
わかっていた。
ずっと前から、わかっていた。でも、認めたくなかった。
「[serious]君はどうしたいんだ」
「わかんねえ。俺、灯里のこと嫌いじゃないし……むしろ、感謝してる。あの日、家を追い出されて、行き場がなかった俺を助けてくれたのは彼女で」
「それとこれとは別だ」
静生はテーブルに身を乗り出した。
「今すぐ出るべきだ。うちに来い。しばらく泊まれるようにする」
真翔は黙った。
頭の中で、灯里の泣き顔が浮かぶ。
『離れたら、私……』
あの言葉の先が、怖かった。
「[serious]もう少し考える。ありがとう、静生」
真翔は立ち上がった。
静生が何か言いかけたが、結局口をつぐんだ。真翔はファミレスを後にした。
———
夜。
アパートに戻ると、灯里はベッドの上で膝を抱えて座っていた。
部屋の電気は消えている。カーテンの隙間から差し込む街灯の光だけが、彼女の輪郭をぼんやりと照らしていた。
裸だった。
白い肌が、淡い光の中で浮かび上がっている。細い肩、鎖骨のライン、小さめのバスト。桜色の乳首が、エアコンの冷気で少し硬くなっていた。
何も言わず、こちらを見つめている。
「……どうしたんだよ」
真翔が声をかけると、灯里は手に持っていたものを投げつけた。
真翔のスマホが、胸にぶつかって床に落ちる。
画面が割れた。
「[cold]読んだ」
灯里の声は、これまで聞いたことがないほど冷たかった。
「全部読んだ」
真翔はスマホを拾い上げる。
画面には、静生とのLINEのやり取りが表示されていた。
読み終わった後なのか、既読がついている。
「[crying]私のこと、誰かに話したの?」
灯里の声が震え始めた。
「裏切ったの!?」
「違う、あれはっ――」
「[crying]DVって言ってた! 私のことDVって思ってんの!?」
灯里は枕を掴んで真翔に投げつけた。
「ひどい!! 私がどれだけマナトのこと大事にしてるかわかんないの!?」
琥珀と銀の目から、大粒の涙がこぼれた。鼻水が垂れて、化粧が崩れて、それでも彼女は叫び続けた。
「私、マナトがいなかったら生きていけないのに! なんでそれを誰かに言うの!? なんで私じゃなくてあんな奴に相談するの!?」
真翔は動けなかった。
「心配だっただけだ、灯里のことが嫌いになったわけじゃ」
「うそつき!!」
灯里の声が、防音のはずの部屋に響き渡る。
「DVってなに!? 私が何したっていうの!? マナトのことずっと大事にしてきたのに!!」
灯里は枕を、クッションを、手当たり次第に投げつけた。それからベッドの上で膝を抱えて、声を上げて泣き出した。
ワンワンと、子供のように泣いた。
三十分くらい、泣き続けた。
真翔はただ立ち尽くすしかなかった。
謝ることしかできなかった。
「ごめん……ごめん、灯里」
何度も謝った。
そして、突然。
灯里の泣き声が、ぴたりと止んだ。
部屋が静まり返る。
エアコンの運転音だけが、低く唸っている。
灯里が顔を上げた。
涙の跡が残る顔。化粧が崩れて、目の周りが黒くなっている。それなのに、表情はまるで無だった。
「[cold]わかった。もういいよ」
そう言って、灯里はゆっくりと立ち上がった。
裸のまま、真翔の前に立つ。
琥珀と銀のオッドアイが、真翔を射抜く。
「[cold]でも今夜は、離さないからね」
灯里の手が、真翔の胸を押した。
思ったより強い力で、真翔は仰向けに倒れる。ベッドがギシリと軋んだ。
灯里がのしかかってくる。
彼女の体は、驚くほど熱かった。
「[whispers]マナト、私だけを見て。今は、何も考えなくていいから」
灯里の手が真翔のベルトを外し、ズボンを引き下ろす。トランクスの中から、すでに硬くなりかけたペニスが顔を出す。
灯里は無言でそれを握り、ゆっくりと扱き始めた。
「やめろ、灯里――」
「[cold]やめない」
灯里は真翔の口を自分の唇で塞いだ。
深く、痛いほどのキス。舌が押し入ってきて、強く絡みつく。息ができない。真翔が藻掻くと、灯里はもっと強く押さえつけた。
彼女はキスをしながら、下半身の位置を調整する。
すでにトロトロに濡れたまんこが、真翔のペニスの先端に触れた。
「[cold]入れるよ」
燈里は腰を落とした。
ずぶぶ……と、熱い膣が真翔のちんこを深く呑み込んでいく。奥まで一気に達すると、彼女の内部がきゅうっと締まった。
「あぁっ……!」
灯里の口から、短い喘ぎ声が漏れる。
それから彼女は、無言で腰を動かし始めた。
逃げ場がない。
灯里は両手で真翔の胸を押さえつけ、体重をかけて動きを封じる。彼女の腰が打ちつけられるたびに、ベッドがギシギシと揺れた。
「[crying]マナト、マナト、マナト」
灯里は泣き声と喘ぎ声を混ぜながら、真翔の名前を呼び続ける。
涙が真翔の顔に落ちた。
「[crying]どこにも行かないよね? 私だけを見てるよね?」
問いかける声が、必死だった。
「[crying]静生なんかより、私の方がずっとマナトのこと大事なのに。なんであんな奴に相談するの? なんで私じゃダメなの?」
真翔は答えられなかった。
快楽と罪悪感が混ざり合って、頭がぐちゃぐちゃになる。
灯里の膣は熱く、ぬるぬるとしていて、奥を突くたびに彼女が小さく悲鳴をあげる。その声が、真翔の理性を溶かしていった。
(静生に相談したこと、バレた)
(もう、外に出られないかもしれない)
(でも、今は――)
灯里が一度目の絶頂を迎えた瞬間、彼女の体が大きく痙攣した。ビクビクと震え、膣がぎゅうぎゅうと収縮する。
「イくっ……イっちゃう……!」
その締め付けに、真翔も耐えきれなかった。
「灯里、俺も――」
「[crying]中に、中に出して……!」
どくん、どくんと、精液が彼女の膣の奥に吐き出されていく。白濁したザーメンが子宮口を満たし、溢れた分が太ももを伝った。
射精が終わっても、灯里は動かなかった。
しばらく、二人はそのまま抱き合った。
汗で濡れた肌が、冷房の風で冷やされていく。
それから灯里は、静かに起き上がった。
真翔のスマホを手に取る。
画面を操作する彼女の横顔は、無表情だった。
「[cold]これで安心でしょ」
スマホの画面が、真翔に向けられた。
静生のLINE連絡先が、ブロックされていた。
さらに、トーク履歴もすべて削除されている。
「[gentle]もう変な人に何も言えないね」
灯里はそう言って、にっこりと微笑んだ。
涙の跡が残る顔で、無邪気な笑顔だった。
真翔は何も言えなかった。
目を閉じるしかなかった。
———
翌朝。
カーテンの隙間から、白い朝日が差し込んでいた。
真翔が目を覚ますと、キッチンからいい匂いがする。
灯里が、楽しそうに目玉焼きを焼いていた。フライパンで油が跳ねる音。鼻歌まじりの彼女の背中は、昨夜と同じ人間とは思えないほど穏やかだった。
「あ、おはようマナト。もうすぐできるからね」
振り返った灯里の顔は、明るくて優しかった。
真翔はスマホを手に取る。
静生に連絡しようとして、指が止まった。
ブロックが、まだ解除されていない。
(もう、静生には連絡できない)
でも、解除すれば、灯里がまた怒る。
その恐怖の方が、友人との繋がりより、はるかに大きかった。
真翔は小さく息をついた。
スマホを置いて、朝食の席に着く。
灯里が焼いた目玉焼きは、半熟で、黄身がとろりと輝いていた。