月城真理絵
あらすじ・世界観のみ
古い洋館に引っ越してきた中学生の真由子は、埃まみれの二階の書斎で信じられないものを見つける。透き通った少年――生きてもいなければ死んでもいない存在だ。彼は自分の名前も、なぜこの家に留まっているのかも思い出せない。ただひとつ感じるのは、圧倒的な喪失感。百年前に奪われた大切なものへの想いだけだった。 恐怖ではなく、真由子は彼に惹かれていく。彼の意識は消えかけの蝋燭のように揺らぎ、言葉は断片的にしか届かない。彼がこの場所に囚われているのは、明らかに大正時代の何者か、何かのせいだった。 真由子は調査を始める――図書館の古新聞、洋館の歴史記録、近隣の高齢者の半ば忘れられた記憶。やがて真実が浮かび上がる。百年前、この家で悲劇が起きていたのだ。少年と女性。家族や社会に禁じられた愛。逃げ場のない絶望。 彼の未練は単なる幽霊の後悔ではない。彼はあの女性に、どうしても伝えられなかった言葉を届けたいのだ。しかし百年の時が彼女をこの世から遠ざけてしまった。 では、彼女はどうやって彼を解き放つのか?消えゆく魂。引き裂かれた日記。錆びついた懐中時計。一通の手紙。彼の存在を示す証拠は家のあちこちに散らばって
あらすじ・世界観のみ