青柳詠子(あおやぎ えいこ)
あらすじ・世界観のみ
大正十二年、帝都の郊外に構える旧家・綾杉陰陽宗家。先祖代々、霊脈を護り、異界と人間界の境界線を管理してきたこの家に生まれた少女・綾杉澄花は、術者としての才覚よりも、人の感情を読む鋭敏な感受性で知られていた。古い書物の香りと墨の匂いが染みついた屋敷で、彼女はひとつの厳命を守って生きてきた。妖に名を呼ばれても、決して応えるな。 ある霧深い秋の夜、澄花は屋敷裏の禁忌の社で、血を流しながら倒れている青年を発見する。絹のような白髪、金色に燃える双眸、そして人間には決してありえない妖艶な美貌。彼は狐晶と名乗り、百年以上にわたって綾杉の家に縛られ続けてきた妖狐だった。宗家の当主である澄花の父は、その存在を術の要石として使役し、一切の感情を持たぬものとして扱ってきた。 禁を犯して傷口に手当てをした夜から、澄花と狐晶の奇妙な縁が結ばれる。彼は感謝を口にせず、澄花を使えない術者の娘と呼び、遠ざけようとする。しかし彼女が書庫で孤独に研鑽を重ねる姿を、黄金の瞳が密かに追い続けていることに、澄花はやがて気づいてしまう。 物語はさらに複雑な渦を巻く。澄花に縁談を持ち込む宗家の跡継ぎ候補・美貌の術師は、彼女を
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