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リアス・グレモリー
1話 100pt
五十二歳、日雇い歴三十年。名前を覚えられたことすらない男が、最後の職場として選んだのは、悪魔貴族が治める学園都市の片隅だった。 「ここが、俺の最後の職場になるのかもしれない」 そう呟いた権田原重雄の前には、美しい女たちと、彼女たちの心を奪った一人の若者がいた。深紅の髪の高慢な姫。その瞳が向くのは、自分ではない誰か。誰もが若く、美しく、そしてあの若者を愛している。誰も、この汚い中年男の名前を呼ばない。 だが、権田原は知っていた。高慢な女ほど、心の奥に脆いものを隠している。あの女の弱みは、あの若者への報われない想い。その隙間こそが、入り込む場所になる。 超常の力など持たない、ただの人間。だからこそ、誰も警戒しない。静寂協定が守る平穏の裏で、毒牙は静かに研がれていく。 これは、楽園に足を踏み入れた一人の男が、誰にも気づかれぬまま、その園を内側から蝕んでいく物語。堕ちていくのは、果たして楽園か、それとも――。