珠
珠乃井ナナ
1話 100pt
ランフー大サーカスの花形太鼓奏者・珠乃井ナナ。彼女の相棒は、年老いたライオンのジーク。息の合った演目「月夜の太鼓」は、いつも満員の観客を熱狂させてきた。 けれど、ある夜の公演中、ジークが突然豹変する。暴走する巨体を必死に止めたナナだったが、公演は大惨事に――。冷酷な団長の裁定は非情だった。「お前を解雇する」「老いたライオンは処分する」。 両親を失い、拾われたサーカスだけが居場所だったナナ。たった一人の家族同然のジークさえ守れなかった自分を責めながら、彼女は夜の河岸通りをあてもなくさまよう。 涙でぐしゃぐしゃの視界に映ったのは、白い髪と燃えるような赤い瞳を持つ、不思議な少女だった。 「大丈夫だよ」 静かな声にすがるように、ナナはその手を取る――そして世界は、彼女が知るものとはまったく違う場所へと変わっていく。 すべてを失った少女が、見知らぬ世界で新たな「居場所」を見つけるまでの物語、ここに開幕。