桐
桐嶋 直人
あらすじのみ
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白石澪、20歳の元アイドルは誕生日の夜に聴力を失った。ライブ中の突発的な激しい音が彼女の聴覚神経を永久に破壊したのだ。もう音楽も歌もない。彼女は何も言わずにスポットライトから姿を消した。 数週間後、目的もなく彷徨っていた澪は、ピアノ調律師の静かな工房に偶然たどり着く。そこには橘奏がいた。22歳、盲目で、長い黒髪に目を覆う白布を巻いている。 自己紹介をする前に、奏が口を開いた。 「君は白石澪だろう?」 彼は3年前に彼女のコンサートに足を運んでいた。その声の形を決して忘れなかったのだ。 澪はもう何も聞こえないと手話で伝える。奏はただ頷く。 「君の音楽は消えていない。」 奏は澪に振動を通して音楽を感じる方法を教え始める――ピアノの胴体に手を押し当て、低音が胸を震わせる感覚。聴力を失って以来初めて、澪は涙を流す。悲しみではなく、名前のつかない何かから。 少しずつ、二人は近づいていく。奏は指先で彼女の口元を読み取り、澪は鍵盤の上で彼の手に触れ、触覚でリズムを学ぶ。音のない世界で、二人の間に新しい何かが築かれていく。 だが、その静かな世界は長くは安全ではなかった。 桐嶋直人――澪の元
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