幼馴染と、ふたりきりの夏が、熱を帯びるまで。
幼馴染と、ふたりきりの夏が、熱を帯びるまで。
大学二年の夏、俺、風間カイトは火事で家を失った。両親は海外に長期出張中で、頼れるのは幼馴染の水無瀬ミサキだけだった。「部屋、余ってるから住めば?」そんな気軽な一言から、俺たちの予期せぬ同居生活が始まった。
昔から完璧な優等生で生徒会長だったミサキは、大学でも人気者で、料理上手で優しくて、スタイルも抜群。そんな彼女と同じ屋根の下での生活は、刺激が強すぎた。
風呂上がりの薄着、干しっぱなしの下着、ソファでうたた寝する姿。彼女はそんなの気にするどころか、どんどん距離を詰めてくる。「昔みたいに、一緒に寝よっか?」無邪気な誘いに、俺の理性は毎日限界だった。
でも、それは全部計算だった。ある夜、俺は真実を知ってしまう。ミサキは何年も前から、俺だけを狙って全てを計画していたんだ。彼女の部屋は、長年にわたる俺の写真や記録の博物館だった。「やっと誰にも邪魔されないね、カイト」優しい笑顔で、彼女は俺のスマホとノートパソコンを取り上げた。逃げ場を失った俺は、彼女の執着愛に囚われてしまった。
外では毅然としているのに、家では何も隠さない。「外で女の子と仲
幼馴染と、ふたりきりの夏が、熱を帯びるまで。 - 悪い虫——繋がりを断つ夜
朝日がカーテンの隙間から差し込んで、カイトはゆっくりと目を開けた。
同棲四日目の朝だ。
頭の奥がぼんやりと重い。ここ数日、ろくに眠れていない。天井の隅にある小さな黒い点——おそらく監視カメラだ——を見つめてしまう夜が続いていた。
(まあ、気のせいかもしれないし)
そう自分に言い聞かせて、ベッドから起き上がる。
リビングへ向かうと、すでにミサキがキッチンに立っていた。黒くて艶やかな長い髪は後ろで一つにまとめられ、白いブラウスが窓からの光に透けて見える。フライパンの中で何かが焼ける音と、香ばしい匂い。
「[gentle]おはよう、カイト」
彼女は振り返って、にっこりと笑った。今日も完璧な笑顔だ。
「おはよう」
テーブルには昨日と同じく、俺の好物が並んでいた。出汁巻き卵。焼き鮭。ほうれん草のおひたし。どうしてここまで把握してるんだろう——そう思っても、口に出す勇気はない。
「いただくよ」
食卓に着くと、洗い物をしていたミサキが手を止めて、俺の正面に座った。彼女は何も食べず、ただじっと俺を見つめている。金色の瞳が細められて、まるで獲物を観察する猫みたいだ。
(なんだか落ち着かないな)
食べ終わってスマホを手に取る。まだミサキは返してくれていない。代わりに彼女は「必要なときは私がいるから」と言って、俺のスマホを自分のポケットにしまい込んだ。
「[gentle]あ、そうだ」
ミサキが食器を片付けながら、何気なく言った。
「[gentle]今日の帰り、一緒に図書館に行かない? レポートの資料探しに付き合ってほしいんだけど」
「図書館?」
「[gentle]うん。ちょっと調べたいことがあって。それに、カイトもそろそろ経済学の参考文献を集めたほうがいいでしょ?」
彼女は上目遣いに俺を見た。長いまつげが、朝日にキラキラと光っている。
どうして断れないんだろう。
この人に世話になっているという後ろめたさが、いつも言葉を飲み込ませる。
「……わかった」
そう返事をするのが精一杯だった。
———
大学の講義が終わったのは午後三時すぎだった。
星海大学の図書館は、学生会館のすぐ隣にある三階建ての大きな建物だ。平日の昼下がりというのに、中は結構な人で賑わっていた。
「[gentle]ここよ」
ミサキが示したのは、三階の奥にある静かなスペースだった。大きな窓から差し込む午後の光が、書棚の隙間に長い影を落としている。
彼女は文学のコーナーで何冊か本を手に取った。俺は適当に、経済学の棚を眺める。
でも正直、頭の中は別のことでいっぱいだった。
(ユウタに連絡しなきゃな)
もう三日も連絡を取っていない。以前は毎日のようにLINEをしていたのに。
ミサキが「必要なら私が代わりに返信する」と言ったきり、俺は一度も自分でスマホに触れていない。
図書館の帰り道、ミサキは俺の隣を歩きながら、ずっと明るい話題を振ってきた。ゼミの話、生徒会の話、来月の学祭のこと。いつもの完璧な生徒会長の顔だった。
でも時々、ふと彼女の表情が消える瞬間がある。まるで外の顔をメンテナンスしているみたいに、一瞬だけ無表情になって、すぐにまた微笑みに戻る。
気のせいじゃない。
これは多分、彼女の本当の顔と、外に見せる顔の切り替えだ。
———
夜、マンションに戻った。
ルミナス星海のエントランスは今日もひんやりとしていて、コンシェルジュが俺たちを見て会釈をした。
「[gentle]先にお風呂に入るね」
彼女はタオルを手に取り、バスルームへ消えた。シャワーの音が響き始める。
(今のうちに)
俺はリビングを見回した。彼女のバッグがソファに置いてある。
中を探るべきか——一瞬、迷った。
でも結局、手が出せなかった。もし見つかったら、何をされるかわからない。
かわりに、部屋の隅に置かれた充電ケーブルに目が止まった。
スマホが差さっている。
(誰のか? あれ、俺のだ)
近づいてみると、確かに俺のスマホだった。ミサキが充電していたらしい。
今なら操作できる。
俺は急いでスマホを手に取り、LINEを開いた。
ユウタとのトーク画面。履歴はちゃんと残っている。
(よかった、消されてない)
俺は指を動かして、メッセージを打ち込んだ。
『明日の昼、会えないか? 星海駅で』
送信ボタンを押す。
すると、すぐに既読がついて、返信が来た。
『もちろん! 12時に改札前でいい?』
『わかった』
打ち終えたところで、バスルームのドアが開く音がした。
俺は慌ててスマホを充電ケーブルに戻し、何事もなかったような顔でソファに座った。
「[gentle]ああ、いい湯だった」
ミサキが濡れた髪をタオルで拭きながら出てくる。白いキャミソール姿だ。肩に水滴が光っている。
「[gentle]ねえ、誰かとやりとりしてた?」
心臓がドキリと跳ねた。
「ユウタと。明日会おうと思って」
正直に言った。隠す意味もないし、隠したら余計に怪しまれる。
彼女は少しだけ首をかしげて、それから「そっか」とだけ言った。
その反応が、逆に怖かった。
何も言わない。追及もしない。
いつものミサキなら、もっと色々と聞いてくるはずなのに。
(なんで何も言わないんだ)
それが逆に、頭の隅で警報を鳴らしていた。
———
深夜。
カイトが風呂に入っている間、ミサキは静かに動いた。
まず、自分のスマホからカイトのアカウントにログインする——彼女はとっくにパスワードを把握している。
画面に表示されたのは、ユウタとのトークだった。
最新のメッセージは、ユウタからの確認だ。
『明日の12時、星海駅の改札前ね! 楽しみにしてる!』
ミサキの指が、画面上を滑る。
『やっぱり明日、用事ができた。ごめん』
彼女はそう打ち込んで、送信した。
すぐにユウタから返信が来る。
『え、急に? 大丈夫?』
『うん、ごめんね』
短く返して、彼女はトーク履歴をスクロールし始めた。三日分のやりとり——いや、もっとか。
全部だ。
一通、一通、きれいに削除していく。
彼女の指は迷いがなかった。まるでそうするのが当然だと言わんばかりに、機械的に、静かに。
トーク画面が真っ白になった。
彼女はスマホを充電ケーブルに戻し、何事もなかったかのようにソファに座って雑誌を開いた。
———
風呂から上がったカイトは、タオルで髪を拭きながらリビングに戻った。
ミサキがソファで雑誌を読んでいる。顔を上げて、にっこりと笑った。
「[gentle]おかえり。いいお湯だった?」
「ああ」
俺はチラリとスマホを見た。画面は真っ暗だ。
充電中だし、明日の待ち合わせ時間も確認したし、大丈夫だろう。
(早く寝よう)
そう思って、書斎のベッドに倒れ込んだ。
隣の部屋から、ミサキが雑誌をめくる音が、かすかに聞こえていた。
———
翌朝。
カイトは目を覚ますとすぐにスマホを手に取った。
(ユウタとの約束、12時だったよな。そろそろ出ないと)
LINEを開く。
「……え?」
トーク履歴が、何もない。
ユウタの名前を検索して、タップする。
画面には、ただ「トークを開始しましょう」と表示されるだけだった。
昨日のやりとりが、全部消えている。
「うそだろ」
もう一度、検索し直す。同じだ。
『昨日の約束、大丈夫だよな?』
慌てて新しいメッセージを送った。
しかし、既読がつかない。ずっと灰色のチェックマークのままだ。
五分経っても、十分経っても、変わらない。
(ブロックされたのか? いや、違う。それならもっと違う表示になるはずだ)
混乱が胸の中で渦を巻いた。手が震える。
リビングに出ると、ミサキが朝食の準備をしていた。いつもの、完璧な笑顔で。
「[gentle]おはよう、カイト。よく眠れた?」
「ミサキ……ユウタとのトーク、消えてるんだ」
彼女は首をかしげた。
「[gentle]昨日、やっぱり連絡したんじゃないの?」
「いや、した。したけど、全部消えてる」
「[gentle]気にしすぎだよ。それより、朝ごはん冷めちゃうよ」
彼女は俺の隣に立つと、そっと手首を包み込んだ。
指が、やわらかくて温かい。
「[whispers]心配しなくていいよ。私がいるから」
耳元で囁く声は、優しくて、甘くて——そして、怖かった。
(こいつがやったのか?)
問い詰めたい。でも、証拠がない。それに、問い詰めたとして、彼女はきっと首をかしげて「知らない」と言うだけだ。
俺が何も証明できないことを、わかっている。
何かがおかしい。
確信はある。
でも、その何かを指さすことすらできない。
スマホを握りしめたまま、俺は言葉を失った。
手首に触れる彼女の指が、まるで鎖のように感じられた。
———
その夜。
カイトは一人、書斎のベッドに座り込んでいた。
(ユウタに連絡できない。ミサキに管理されてる)
この状況を言葉にしようとしても、うまくまとまらない。
何度もLINEを開いて、ユウタの名前をタップする。でも、やっぱり既読はつかない。
(なんでだよ。なんで俺は、こんな簡単なこともできないんだ)
扉がノックされた。
「[gentle]入っていい?」
返事をする前に、ミサキがするりと部屋に入ってきた。
照明を落としたまま、彼女は俺の隣に座る。黒いシルクのパジャマが、月明かりにぼんやりと浮かび上がっていた。
「[whispers]ちゃんと私の顔、見てよ」
彼女の手が、俺の頬に触れた。冷たい指先が、ゆっくりと俺の顔を彼女のほうへ向かせる。
金色の瞳が近かった。あまりに近くて、俺の顔が映っているのが見える。
「ミサキ、俺は……」
「[whispers]考えすぎないで。私がいるから大丈夫でしょ」
彼女の指が俺の唇に触れて、言葉を塞いだ。
そして、もう片方の手が俺の胸をそっと押す。
ゆっくりと、ベッドに押し倒される。
「ちょ、待てよ……」
「[whispers]待たない」
彼女の指が、俺のシャツのボタンをひとつ、またひとつと外していく。弱い抵抗は、彼女の手に絡め取られて、まるで空気に溶けるみたいに消えていった。
肌に触れる彼女の指が、すべすべしていて、そして熱かった。首筋をなぞられると、背中のあたりがゾワリとして、思考が溶けていく。
(ダメなのに)
理性は叫んでいる。これはおかしい。拒絶しなければ。外の世界への意志を、手放すな。
でも体は、彼女の体温を求めてしまっていた。不安も、孤独も、全部を覆い隠すような、甘い熱。
ミサキは俺の耳元で、そっと囁く。
「[whispers]ずっとこうしたかったの。カイトを、私だけのものにしたかった」
彼女の髪が、頬に触れた。いつものシャンプーの匂いが、より濃く感じる。
抵抗の意志は、もう半分以上、奪われていた。
怖い。
それなのに、彼女の指が肌の上を動くたびに、快楽が背骨を這い上がってくる。
恐怖と快楽が混ざり合って、ぐちゃぐちゃになる。
(これが、彼女のやり方か)
だとしたら、俺はもう、とっくに負けている。
彼女の唇が、俺の首筋に触れた。
いつの間にか彼女のパジャマの前がはだけて、白い胸元が露わになっている。月明かりを浴びた肌は陶器みたいに滑らかで、先端の淡い色がこっちを向いていた。
「[whispers]私、カイトのためなら何でもできるよ」
彼女はそう言って、俺の手を取って自分の胸へ導いた。手のひらに伝わる、ふんわりとした膨らみ。柔らかくて、熱くて、指の先が勝手に震えた。
乳首の先が硬くなっているのがわかる。ゆっくり指を動かすと、彼女の体も小さく震えた。
「[whispers]あっ……カイトの手、好き」
ミサキが密やかな息を漏らす。彼女の腰がくねるように動いた。
彼女の細い指が、俺のベルトにかかった。
カチャリ、と金属音が小さく響く。
彼女の手が下着の中に潜り込み、もうすっかり硬くなったペニスを直に掴んだ。
「[whispers]すごく、硬くなってる。私のせい?」
「ちが……っ」
「[whispers]嘘。体は正直だね」
彼女の指が、ゆっくりと上下に動き始める。肉の幹を擦り上げられる感覚に、頭が沸騰しそうだった。彼女の親指が亀頭の先のくびれを何度も往復するたびに、腰に力が入らなくなる。
「[whispers]気持ちいい?」
「あ、ああ……」
その声を聞いて彼女は微笑むと、体を下へずらした。そして顔を俺の股間へ近づける。
「[whispers]もっと、気持ちよくしてあげる」
彼女の熱い唇がペニスの先端をくわえ込んだ。柔らかい舌が、カリの部分を丁寧に這い回る。口の中の温かさと唾液まみれの感触に、思考が弾け飛ぶ。彼女は上目遣いに俺を見ながら、大きなモノを喉の奥まで咥え込んだ。
ジュポ、ジュポという水音が、部屋の中に満ちていく。
「[whispers]んっ……ふぅ……」
口を離した彼女は、亀頭の先端にキスをしながら、俺を見上げた。唇とペニスの先が、とろりとした唾液で銀の糸を引いている。
「[whispers]カイトの、しょっぱい味がする。すごく、興奮する」
彼女が再び、ペニスを根本から舐め上げる。裏筋を舌が這い上がるたびに、腰が勝手に跳ねた。
「[whispers]イきそう?」
「も、無理だ……」
「[whispers]いいよ。口の中に出して」
彼女はそう言うと、再びペニスを喉の奥まで一気に咥え込んだ。口内の締め付けと、舌の動きが俺を一気に限界まで押し上げる。
頭の中が真っ白になった。
「う、あ……っ!」
ドクドクと脈打つペニスから、濃い精液が一気に吐き出される。彼女の口の中に、生ぬるい白濁が溢れた。
「[whispers]んっ……いっぱい出たね」
彼女は口を離すと、舌の上に乗った白いザーメンを俺に見せてから、ゴクリと飲み込んだ。口元から少しだけ精液が垂れて、彼女の顎を伝う。
「[whispers]カイトの味がする。もっと、欲しい」
彼女はずり上がってきて、俺の唇に自分のそれを重ねた。精液の味がするキス。彼女の舌が口の中に入り込んで、まだ残っていたらしい白濁を俺の舌に押し付けてくる。
「[whispers]私のマンコも、もうびしょびしょなんだよ。触ってみる?」
彼女は俺の手を取って、自分の下半身へ導いた。シルクのパジャマの下で、彼女の秘所は熱を持ち、とろりと濡れていた。指を少し動かすだけで、ぐちゅりと淫らな水音がする。
クリトリスに触れると、彼女の体が大きく震えた。
「[whispers]あっ……! そこ……気持ちいいの……」
彼女の腰が動き、俺の指を彼女の膣が飲み込んでいく。中は熱くて、滑らかで、指を締め上げてくる。
「[whispers]指じゃなくて、さっきのを、中に入れて……」
彼女はそう言って、俺の上に跨がった。そして自分の秘所の入り口を、まだ硬さを失っていないペニスの先端にあてがう。
「[whispers]これで、私とカイトはひとつになれるね」
彼女が腰を落とす。亀頭がぬめる肉のひだを押し分けて、膣の中へと沈んでいく。
「[whispers]ああっ……! 入ってくる……カイトのが、お腹の中に入ってくるよぉ……」
ミサキの官能的な声が部屋に響く。彼女はうっとりとした表情を浮かべて、自分の一番奥までペニスを迎え入れた。
温かい肉の壁が、きゅうきゅうとペニスを締め付ける。彼女が少し動くだけで、背筋に甘い痺れが走った。
「[whispers]動くよ……私のこと、いっぱい感じて」
彼女が腰を上下に動かし始める。結合部からは、愛液が白く泡立って、ぐちゅぐちゅという音が絶え間なく響いた。
恐怖も、不安も、すべてが遠のいていく。
今はもう、彼女の熱だけが世界のすべてだった。
「[whispers]好きだよ。愛してる。だから、ずっと一緒にいようね」
俺は何も答えられなかった。
ただ、彼女の体の動きに合わせて、腰を突き上げることしかできなかった。
彼女の中に、もう一度、熱い欲望の塊が解放される感覚がした。
(外の世界への意志を、手放しちゃいけない)
心のどこかでそう叫んでいる自分がいるのに、体はもう完全に彼女のものだった。
———
翌朝。
星海市の別の場所で、大野ユウタは自分のスマホを何度も見ていた。
『やっぱり明日、用事ができた。ごめん』
昨日の夜、確かにカイトから来たメッセージだった。でも、どこかおかしい。
カイトがそんな風に一方的に約束をキャンセルするだろうか。
それに、その後の「大丈夫?」という自分の返信には、もう既読すらつかない。
カイトの家が火事になって、幼馴染の家に居候してるっていうのは聞いていた。
でもそれから、連絡がぱったりと途絶えた。
ユウタはスマホを握りしめた。
「何か、あったのか……?」
画面に映る、「既読無し」の表示。
これまでにない不審な気配に、ユウタは決意を固めた。
直接、彼の居候先のマンションへ行ってみよう。