幼馴染と、ふたりきりの夏が、熱を帯びるまで。
幼馴染と、ふたりきりの夏が、熱を帯びるまで。
大学二年の夏、俺、風間カイトは火事で家を失った。両親は海外に長期出張中で、頼れるのは幼馴染の水無瀬ミサキだけだった。「部屋、余ってるから住めば?」そんな気軽な一言から、俺たちの予期せぬ同居生活が始まった。
昔から完璧な優等生で生徒会長だったミサキは、大学でも人気者で、料理上手で優しくて、スタイルも抜群。そんな彼女と同じ屋根の下での生活は、刺激が強すぎた。
風呂上がりの薄着、干しっぱなしの下着、ソファでうたた寝する姿。彼女はそんなの気にするどころか、どんどん距離を詰めてくる。「昔みたいに、一緒に寝よっか?」無邪気な誘いに、俺の理性は毎日限界だった。
でも、それは全部計算だった。ある夜、俺は真実を知ってしまう。ミサキは何年も前から、俺だけを狙って全てを計画していたんだ。彼女の部屋は、長年にわたる俺の写真や記録の博物館だった。「やっと誰にも邪魔されないね、カイト」優しい笑顔で、彼女は俺のスマホとノートパソコンを取り上げた。逃げ場を失った俺は、彼女の執着愛に囚われてしまった。
外では毅然としているのに、家では何も隠さない。「外で女の子と仲
幼馴染と、ふたりきりの夏が、熱を帯びるまで。 - カイト神社——壁一面の愛と、奪われた自由
同棲六日目。
昼下がりのルミナス星海405号室。窓の外では入道雲がもくもくと育っている。冷房のきいたリビングで、カイトはソファにもたれて天井をぼんやり眺めていた。
(暇だな)
スマホはまだミサキに預けられたままだ。ノートPCも、いつのまにかリビングから消えていた。やることが何もない。
「[gentle]ごめんね、カイト。生徒会の緊急連絡が入っちゃって。すぐ戻るから、大人しくしててね」
一時間ほど前、ミサキはそう言い残して出ていった。出がけに振り返った彼女の金色の瞳が、やけに念を押すようにカイトを見つめていたのを覚えている。
(大人しくって……まあ、そうするしかないだろ)
カイトは体を起こした。テレビをつけても集中できない。ベランダに出ようにも、窓には補助錠がいくつもかかっている。
ふと、廊下の先に目が行った。
ミサキの部屋のドアが、数センチ開いている。
(あれ? いつも鍵かけてるのに)
カイトは立ち上がった。心臓のあたりが、トクンと小さく跳ねる。この家に来てからずっと、あの部屋だけは「入らないで」と言われていた。幼い頃から一緒に育った幼馴染の、ただ一つの禁区。
気づけば、カイトはドアの前に立っていた。
(ちょっと覗くだけなら……)
指先でドアを押す。蝶番がかすかに軋んだ。
部屋の中は薄暗かった。カーテンがぴっちり閉められ、外の光がわずかに差し込むだけだ。
そして——カイトの足が、ぴたりと止まった。
「[scared]なんだ、これ……」
壁という壁が、すべて写真で埋め尽くされていた。
幼稚園の制服を着て泥だらけで笑っている自分。
小学校の運動会で転んだ瞬間の自分。
中学校の入学式、高校の文化祭、大学の講義の合間にあくびをしている横顔。
全ての写真に、日付と場所が几帳面に記されていた。
「2015.4.7 入学式 校門前」
「2019.7.20 夏祭り 屋台の前で友人と」
「2023.6.2 大学講義室B 居眠り中」
(これ、全部俺が知らないアングルだ……)
本棚には、背表紙に年号だけが書かれたノートが十冊以上並んでいた。「2015〜2017」「2018〜2020」——中を開く勇気はなかったが、ページの端からはみ出した付箋の数々が、細かな行動記録でびっしり埋め尽くされているのが見えた。
机の上には小さなガラスケース。中には抜け落ちた髪の毛の束、使い古した鉛筆の断片、中学生の頃に無くしたと思っていたシャーペンのキャップまで。まるで博物館の標本のように、整然と、愛情込めて並べられていた。
十年間。ずっと、ずっと——。
カイトは壁に手をついた。膝から力が抜けそうになる。吐き気がするのに、胃の中は空っぽで何も出ない。恐怖と混乱がごちゃ混ぜになって、頭の中が真っ白になった。
(逃げなきゃ)
ようやく動き出した思考に従って、ドアの方へ向きかけた——
「[gentle]やっと、見つけちゃったね」
すぐ背後から声がした。
振り返ると、ミサキが柔らかく微笑みながら立っていた。いつ戻ってきたのか、足音ひとつしなかった。黒く艶やかな長い髪が、薄暗い廊下の灯りを受けて濡れたように光っている。金色の瞳は細められ、口元だけが完璧な弧を描いていた。
「[scared]ミサキ……いつから」
「[gentle]カイトが私の宝物をじっくり見てる間、ずっと後ろにいたよ」
彼女は一歩、また一歩と近づいてくる。カイトは後ずさったが、背中がすぐに写真だらけの壁に当たった。
「[serious]リビングに行こうか。話があるの」
ミサキの声は穏やかだった。でも、拒否を許さない硬さがそこにはあった。
——
リビングのテーブルを挟んで、二人は向かい合った。窓の外では、いつのまにか雲が厚くなり始めている。遠くで雷の音がかすかに聞こえた。
「[gentle]スマホ、ノートPC、それから財布と通帳。ここに全部出して」
ミサキはテーブルの上を指さした。笑顔なのに、その目は一ミリも笑っていない。
「[angry]なんでだよ! 俺のものだろ!」
初めて声を上げた。恐怖が怒りに変わったわけじゃない。ただ、このまま全部を奪われたら、もう本当に何も残らない——その直感だけがカイトを動かした。
「[gentle]逃げようとしないで。私、何するかわからないよ」
ミサキは微笑んだまま、玄関に向かった。鍵束を手に取り、補助錠を一つひとつ確認していく。カチリ、カチリと金属音が響くたびに、外の世界への道が閉ざされていく。
カイトは言葉を失った。
ミサキが本気で何をするか——それを知っているような気がした。いや、知らなくても「何か」をされるという確信だけはあった。十年間、自分の知らないところでここまで徹底的に監視していた人間だ。その執念が、ただの脅しで終わるはずがない。
世話になっているという引け目もあった。火事で家を無くして、行くあてもなかった自分を受け入れてくれたのは彼女だ。
でも——それより何より、今の彼女が、怖かった。
カイトは震える手でスマホとノートPC、財布を通帳をテーブルに並べた。
「[whispers]いい子」
ミサキはそれらを一瞥すると、バッグの中にしまい込んだ。そしてゆっくりとカイトの手首を握る。
「[gentle]来て。こうするしかなかったんだよ。カイトが逃げるから」
引きずられるようにして、カイトはベッドルームに連れていかれた。
——
ベッドに押し倒された瞬間、カイトは息を詰めた。
ミサキが上に跨がる。彼女の金色の瞳が、薄暗い部屋の中で猫みたいに光っている。長い黒髪がカイトの顔の両側に落ちて、視界を覆った。
「[whispers]今までの夜は、優しくしてたでしょ。でも今日は違うの」
彼女の指が、カイトのTシャツの裾から入り込んでくる。冷たい指先が腹の上を這って、ゆっくりと胸の方へと上がっていった。
「[scared]やめろ……頼む、やめてくれ」
「[whispers]嫌って言っていいよ。言えば? 私、やめないけど」
ミサキはそう囁くと、カイトの耳たぶに小さく歯を立てた。痛みとくすぐったさが混ざった感覚に、カイトの肩が跳ねる。
彼女はカイトの服を一枚ずつ剥ぎ取っていく。抵抗しようとした手首は、いつの間にか彼女の片手でベッドに押さえつけられていた。こんな細い腕のどこにこんな力があるのか——カイトが混乱しているうちに、下半身もすべて露わにされた。
ミサキのもう片方の手が、カイトの太腿の内側をなぞる。くすぐったさに脚が勝手に動こうとするのを、彼女は自分の腰で押さえ込んだ。
「[whispers]カイトのここ、もうこんなになってるよ」
彼女の指先が、カイトのペニスの先端にそっと触れた。先走りが糸を引いているのを、彼女はゆっくりと指で掬い取る。
カイトは自分の体が信じられなかった。
恐怖で震えているのに、心臓は嫌なくらい脈打っているのに、ペニスだけはビンビンに硬くなっている。ミサキの指が触れるたびに、腰の奥が熱くなって、もっと触れてほしいと体が勝手にねだった。
「[whispers]泣いてる。怖いのに、気持ちいいんだね」
言われて初めて、カイトは自分の目から涙がこぼれているのに気づいた。
(なんで……なんでこんな時に……)
自分が情けなくて、悔しくて、怖くて、でも体はどんどん熱を帯びていく。その矛盾がたまらなくて、涙が止まらなかった。
ミサキは涙を舐めとるようにキスをすると、自分の指を口に含んで唾液で濡らした。そしてその手を、硬くそそり立ったカイトのペニスに絡める。
「[whispers]いっぱい気持ちよくしてあげる。だから、私のものになるって言って」
彼女の細い指が、竿を上下にしごき始めた。親指の腹で亀頭のくびれをなぞられて、カイトの腰が浮く。
「[scared]あっ……や、やめ……」
口では拒絶しながら、ペニスはさらに硬くなる。先走りが溢れて、彼女の指の動きを滑らかにしていく。ぐちゅぐちゅという濡れた音が、静かな部屋に響いた。
「[whispers]やめてほしいなら、本気で抵抗してみて。私を突き飛ばして、逃げ出して。でもできないでしょ。だってカイトは優しいから。私が傷つくのが怖いから。それに——」
ミサキは手を止めると、カイトの耳元に唇を寄せた。
「[whispers]気持ちいいのも、本当でしょ?」
否定できなかった。
ミサキの指が動きを再開する。今度は片手で竿を握り、もう片方の手で睾丸を優しく揉み始めた。同時に彼女の舌が、カイトの乳首を這い回る。
複数の快感が同時に襲ってきて、カイトの思考はぐちゃぐちゃになっていった。
(助けてくれ……誰か……)
頭に浮かぶ言葉はそれだけだった。でも、誰に助けを求めればいいのかわからない。スマホは取り上げられ、親友の顔ももう思い出せないほど、今の自分はミサキに染められていた。
「[whispers]そろそろ、もっと奥で感じてみる?」
ミサキは手を離すと、自分のスカートを脱ぎ捨てた。その下は何も履いていない。彼女の秘所はもうびっしょりと濡れていて、愛液が太腿を伝って落ちている。
「[whispers]カイトのちんこ、すごく熱い。これが私の中に入ってくるんだよ」
彼女はカイトの腰に跨がると、自分の膣の入り口をペニスの先端にあてがった。熱くて濡れた肉の感触が亀頭に触れて、カイトの背筋に電気が走る。
「[whispers]入れるよ。ずっとずっと、こうしたかったんだから」
彼女が腰を落とす。
ぬめる膣壁がカイトのペニスを根元まで飲み込んでいく。その瞬間、カイトは息ができなくなった。今までの手コキとは比べ物にならない快感に、視界の端がちかちかと光る。
「[scared]う、あ……ああっ……!」
「[whispers]すごい……カイトのがお腹の中で動いてるの、わかるよ」
ミサキはうっとりと目を閉じると、ゆっくりと腰を振り始めた。彼女の膣の中は熱くて狭くて、きゅうきゅうとペニスを締め上げてくる。ピストンするたびに、結合部から愛液が泡立って、淫らな水音が部屋に満ちた。
「[whispers]好き、好き、大好き……カイト、私だけのものになって……」
ミサキの動きが激しくなる。彼女は自分のクリトリスを指で擦りながら、何度も何度も腰を打ち付けてきた。
(もう、だめだ……)
カイトの意思とは関係なく、体が勝手に絶頂への階段を駆け上がっていく。睾丸の奥がきゅっと縮んで、射精がせり上がってくる。
「[whispers]一緒にイこう? 私、もうイくから……カイトも、中に出して」
「[scared]だめ、中は……!」
「[whispers]いいの。全部ちょうだい」
彼女の膣がぎゅうっと痙攣したかと思うと、カイトのペニスを奥まで咥え込んで締め上げた。その圧力に抗えず、カイトも射精した。どくどくと熱い精液が、ミサキの子宮口に叩きつけられる。
「[whispers]ああっ……あったかい、カイトのが中でいっぱい……幸せ……」
ミサキは崩れるようにしてカイトの胸に倒れ込んだ。カイトは涙でぐしゃぐしゃの顔で天井を見上げながら、荒い呼吸を繰り返す。
(終わったんだ……全部)
屈辱と恐怖と、それでも残る甘い余韻。その三つがカイトをずたずたに引き裂いていた。
——
ミサキが満足そうに目を閉じた頃——。
ガチャリ。
玄関で合鍵の回る音がした。
「[excited]ミサキ先輩、いますかー?」
銀髪のショートボブを揺らしながら、白鳥リオがリビングに入ってくる。しかし、誰もいないリビングに首をかしげて、彼女はベッドルームの方へと足を向けた。
扉は半開きだった。
「[surprised]ミサキ……先輩……?」
リオの声が震えている。
ベッドの上で、裸のカイトの胸に寄り添うミサキ。シーツの汚れと飛び散った精液の跡。そしてまだ深くつながったままの二人の下半身。
「あら、リオちゃん。ちょうどよかった」
ミサキは何事もなかったかのように起き上がった。結合が外れるとき、どろりと精液がシーツに染みをつくる。それを見て、リオの顔が赤くなったり青くなったりした。
「[gentle]リオ、カイトが一人でいるとき、見ててくれる? 外に出ないようにね」
「[scared]はい……わかり、ました……」
リオの声はかすれていた。彼女の水色の瞳が、カイトに向けられる。その瞳には、ミサキへの崇拝と、彼女を汚したカイトへの激しい嫉妬が渦巻いていた。
カイトはシーツを握りしめ、ただ震えていた。
(もう、俺の味方はいない)
スマホも、ノートPCも、すべて奪われた。今この部屋にいる二人の女性は、どちらも俺の敵だ。
リビングの方で、リオがミサキに小声で何か耳打ちした。
「[cold]もちろん、徹底的に見張ります。絶対に逃がしたりしませんから」
リオの声には、使命感だけでなく、はっきりと陰湿な喜びが混ざっていた。
遠くで雷鳴が響く。
いつしか外は大雨になっていた。窓を打ちつける激しい雨音が、部屋を外の世界から完全に隔離する。
カイトは目を閉じた。涙が、止めどなくこぼれ落ちた。