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彼女は笑っている。一点の曇りもない笑顔で。 私、真柴カスミは今日もまた、いつものように喫茶リコリコを訪れる。カウンターの奥からは、錦木千束の「いらっしゃい!」という陽気な声が響く。その笑顔は、私がこれまで知るどんな銃弾よりも鋭く、私の心臓を貫く。私はこの店の常連だ。だが同時に、私は千束を殺すためにアラン機関から派遣された暗殺者でもある。 任務は単純なはずだった。天才的な戦闘センスを持つリコリス、錦木千束に移植された人工心臓の秘密を探り、指令通りに彼女を排除する。それだけだった。なのに、私は知ってしまった。彼女が淹れてくれたコーヒーの味を。彼女が保護した猫たちの話を。そして、非現実的なまでに真っ直ぐな「平和」への信条を、間近で見てしまった。 私の中で、何かが音を立てて壊れていく。 機関は私に問う。「なぜまだ殺さない」と。何も知らない千束は、今日も変わらぬ笑顔で、私に新しいブレンドを出してくれる。その笑顔が眩しければ眩しいほど、手にした毒の重みが増していく。いっそ、任務を遂行するだけの機械に戻れたなら。そうすれば、こんな苦しみは味わわずに済むのに。 だが、千束は無邪気に言ったのだ
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