月白伊織
あらすじ・世界観のみ
大正十二年、京都。陰陽道の名門・月白家の十七歳の娘、朧月白は、家族の重い期待を背負いながらも、静かにその務めを果たしていた。類まれな祓魔師でありながら、先祖代々のしきたりと厳格な義務に息苦しさを感じていた朧は、霊界を清める仕事に一時の安らぎを見出していた。 雨に濡れたある夜、禁断の地で悪霊を祓っていた朧は、ありえない存在と出会う。人間の姿を完璧に纏った妖怪──青月と名乗るその男は、月白家の庭にある古い池に三百年以上も封じられていたという。二人の視線が交わる。藍色の黄昏のように深い彼の瞳は、朧を逃れられぬ深淵へと引き込んだ。 しかし青月は秘密を抱えていた。自らの正体を隠し、朧に近づくために月明かりの下でひそかに逢瀬を重ねる。一方、婚約者でいとこの伊織は彼女の心を取り戻そうと執着を募らせる。朧の親友であり家の霊獣を守る千歳は、朧の変化を察知し、不安を募らせていた。 二つの世界に引き裂かれた朧は、家とこの謎めいた妖怪を結ぶ糸が誰も知らないほど深く絡み合っていることを知る。禁忌の恋は激しい葛藤の渦となる。家の名誉、人の道、そして妖怪の隠された真実が激しくぶつかり合う。青月をこの地に縛るも
あらすじ・世界観のみ