帝国は隣国アイレを征服した。兵士たちは町を占拠し、子どもたちは帝国の学校に通っている。しかし、何かが欠けていた。帝国の役人たちは困惑していた――アイレの人々は、帝国の言葉には訳せない何かを考えているのだ。そこには、同等の言葉が存在しなかった。 そこで登場するのがラスコだ。26歳の翻訳者で、言葉を愛し、どんな言語の意味も解き明かせる男だ。帝国の指導者たちは彼に告げる。「アイレのすべての言葉を帝国語に翻訳しろ。そうすれば、あの地の人々も我々のようになる。」 ラスコは仕事を始め、日々アイレの高齢者たちに話を聞き、一語一語慎重に翻訳していく。しかし、やがて彼は『シャル』という言葉に出会う。それは「私の心は私のもの」「自分の行動は自分で選ぶ」「私は私である」といった意味を持つ言葉だ。帝国にはそんな概念はなく、翻訳できなかった。 ラスコは何度も試みる。「自由」か?違う。「独立」か?違う。「反逆」か?全く違う。翻訳を試みるたびに、何か大切なものが壊れていくようだった。アイレの人々の表情は、一人また一人と暗くなっていく。 そんな時、エメラという若い女性が現れる。彼女はアイレ語を愛し、ラスコの仕