甘味屋月白堂復活戦記~SNSと手仕事の共鳴~
東京・谷中の細い路地裏に、90年の歴史を誇る和菓子店「月白堂」が佇んでいる。かつては文人たちの集いの場として賑わったこの店も、今では閉店の瀬戸際に立たされていた。そんな店を継ぐことになったのは、東京のウェブマーケティング会社を辞めたばかりの22歳の孫娘・白月。彼女が直面したのは、伝統だけを土台にした店をどう救うかという予想外の挑戦だった。
白月はSNSマーケティングの知識は豊富だが、和菓子作りの技術はまったくの素人。そんな彼女が偶然、祖母の秘伝の逸品「月白羹(つきしろかん)」をネットに投稿すると、思わぬ反響が巻き起こる。この出来事が引き金となり、デジタル戦略と手仕事の伝統は共存できるのかという賭けに挑むことになる。
転機は、大手菓子メーカーの営業マン・陸翔の登場だった。最初は買収・リブランドを狙う企業の使者として現れた彼だが、実は自分の家業を現代化しようともがく同じ志を持つ者だった。魅力的な買収提案を前に、白月の決意は揺らぐ。祖母の教えが彼女の道標となる。「商売の秘訣は数字やアルゴリズムじゃない。お客様一人ひとりの心、その名前や顔を覚えること。SNSも大事だけど、本当に大切なのは、