世界を救うため、最愛の者を自らの手で葬ったあの日——英雄レックス・スプラウドは戦いを終わらせ、若者の身体に憑依することで生き延びたが、その心には喪失という名の空洞がぽっかりと口を開けていた。 流れ着いたのは、戦禍から復興しつつある地方都市グレイランド。そこでは、英雄の後継者を自称する新興勢力「クラレンス」が台頭し、民衆の支持を集めていた。その中心に立つのは、あの戦いで恋人を失ったジゼル。冷たい美貌で周囲を支配する彼女は、英雄の遺志を継ぐと宣言していた。 運命の悪戯か、レックスはジゼルと出会い、互いに惹かれ合っていく。だが、彼は自分の正体を明かせない。真実が露見すれば、すべてを失う。ジゼルが抱える歪んだ執着——亡き恋人を追い求める心——は、やがてレックスへの激しい愛と独占欲へと変貌していく。 そして、レックスを陰ながら支える少女ラキ、ジゼルに忠誠を誓う冷徹な策士シグルド。それぞれの想いが交錯し、四角関係は嫉妬と渇望の血戦へと堕ちていく。 偽りの愛、贖罪への渇き、捨て身の献身、純粋な好意……四つの感情が激突するとき、灰に覆われた街に新たな悲劇の幕が上がる。これは、喪失を抱えた者たち