星穹列車の背後を、誰にも見られることなく、一人の男がひたむきに走り続ける。彼の名はカフカ。ヤリーロ-VIから密航してきた青年は、伝説の星核ハンターであるあの女性と同名であるがゆえに、銀狼たちからは常にからかいの種にされていた。 列車に乗り込みたい。しかし、疑われるのが怖くて踏み出せない。ならば——列車に乗れぬのなら、せめて影から守り抜こう。そう心に決めたのだ。 そんなある日、薄暗い路地裏で、彼は恐るべき取引を目撃してしまう。売り手は、組織を裏切ったはぐれの星核ハンター。そして、その標的は——星穹列車そのもの。 「おや、かわいい子犬だ」 裏切り者は彼に向かって微笑む。無力で、名もなき密航者に、一体何ができるというのか。恐怖は逃げろと囁く。けれど、それよりもずっと強い感情が、彼をその場に踏みとどまらせる。大切な人を守りたいという想い。あの人の笑顔が見たいという願い。 これは、恋の物語。銀河を救う英雄ではなく、誰にも知られることのない戦いに身を投じた、名もなき脇役の物語。少し切なくて、少し不器用で、けれど宇宙の何よりも真摯な——。 彼の想いは、決して輝く星には届かない。それでも、