高校二年の夏、湊と雪乃は恋に落ちていた。そんなある朝、二人はお互いの体で目を覚ます。すべてが大混乱。鏡に映るのは愛する人の顔なのに、その手は自分のものじゃない。 すぐにパニックが襲う。学校は地雷原と化し、親に知られればすべてが崩れ去る。二人は密かに会い、互いの生活を守ると誓い合った。湊は雪乃のバレエ教室に通い、雪乃は湊のサッカー練習で汗を流す。合わない靴で歩くことを覚えていく。 だが、相手の体で生きることは想像以上に苦しかった。恋しているのに触れられない。近くにいるのに、遠く離れている。防波堤に並んで座っても、手すらつなげない。その手はもう自分たちのものではないのだから。 ある夜、雪乃が電話口で泣き崩れる。「会いたい」。湊は暗い街を走った。防波堤で夜明けを待ちながら、初めて相手の手を通して自分の体に触れる。他人の温もりを感じ、自分のものではない涙の味を知る。唇が重なり、心の中で「ごめん」とささやく。元に戻れるかはわからない。でも今は、この気持ちだけが確かなものだった。 一年が過ぎる。湊は雪乃の体で、雪乃は湊の体で生きている。街で懐かしい声を聞けば、振り返ることもある。海辺で耳に