ト
トンボ
1話 100pt
風に舞った一通の恋文が、ちいさな港町をざわめかせる——。 ヒトリダチの儀のため、海辺の街コリコにやってきた十三歳の魔女キキ。空飛ぶ宅急便屋として奮闘する毎日の中、彼女はある配達依頼を引き受ける。船乗り見習いのトンボから託された、誰かへの想いを綴った一通の手紙。けれど運命のいたずら風が、その大切な便箋を時計塔へと攫っていってしまう——しかも、中身は広場中にばら撒かれて! 手紙の行方を知らぬまま、親友ミモザは「トンボへの恋心」をキキに打ち明けていた。果たしてあの手紙の宛先は、本当にミモザなのか? 散らばった想いの欠片を集めるうち、キキの胸にもささやかな、けれど見過ごせない「ざわめき」が芽生え始める。 失敗と誤解、すれちがいが幾重にも重なる中、キキは己の「たった一つの魔法」——空を飛ぶ力を使って、託された想いを届けられるのか。そして、気づかぬふりをしていた自分自身の気持ちとも、向き合うことになる。 潮風薫る港町を舞台に綴られる、ひと月間の切なくも温かな恋模様。魔女の宅急便が運ぶのは荷物だけじゃない——人の心も、そして自分自身の想いも。