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この世界では、特別な力を内に秘めて生まれた者を「異能者」と呼ぶ。政府は彼らを厳重に管理し、ほとんどの異能者は登録証を持ち、普通の生活を送っている。 霧島零は16歳。黒い短髪に鋭い目つき、擦り切れたパーカーとジーンズの下にはしなやかで引き締まった体が隠れている。彼の能力は影を操ること──影を手のように動かし、その中に隠れ、刃のように飛ばすこともできる。驚異的な力だ。しかし、零には登録証がない。 なぜなら、彼には戸籍がない。出生の記録がどこにも存在しないのだ。 登録証のない異能者は法的に「存在しない者」とみなされる。学校も仕事も許されず、もし見つかれば政府のクラントツ警備局に連行される。零は街の片隅でひっそりと身を潜めて生きてきた。 すべてが変わったのは、彼が廃倉庫で一人の少女を助けたときだった。光野陽菜、17歳。鮮やかなオレンジ色の髪に大きく表情豊かな瞳を持つ。彼女の能力は熱を生み出すこと──そして、彼女は合法的な登録証を持っている。しかし、クラントツ警備局の内部に彼女を追う者がいる。陽菜は偶然、強大な権力者が隠そうとする情報に触れてしまったのだ。 「名前は?」と陽菜が尋ねる。
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