日
日向 カナタ
1話 100pt
「アイドルになるんだ!」 高校一年生の春。花鋏キョウはバーチャルアイドルになることを夢見て、名門音楽学校・音ノ坂学園の門をくぐる。しかし初日、制服のリボンが木の枝に絡まって身動きが取れなくなってしまう。そこへ偶然通りかかったのは、クラスメイトの東雲レイ。無口で無表情なレイだったが、手際よくリボンをほどいてくれた——その指先は、ほんの少し温かかった。 「……助けてくれてありがとう! 歌、歌える?」 キョウの問いに、レイは黙って頷くだけ。実はレイは首席入学の天才で、誰とも口をきかない孤高の存在だった。 放課後、キョウは屋上で歌の練習を始める。チョコミントアイスを頬張りながら、米津玄師の「Lemon」を口ずさむ。すると非常階段の影から、一人の少年が現れる。 「君の歌、すごくいいね。僕、作曲できるんだ。一緒にやらない?」 彼の名は日向カナタ。軽音部の明るく人懐っこい少年だ。キョウはすぐに意気投合し、二人でオリジナル曲を作り始める。 だが翌日、カナタの幼馴染だという月島ミオがキョウの前に立ちはだかる。 「カナタに近づかないで。彼は私のもの」 ミオは歌もダンスも完璧な学園のアイド