残された命はあと一年。希少な神経疾患に襲われた天才ピアニスト、桐島 奏は、崩れゆく自分の姿を世に見せまいと、静かに舞台から身を引こうとしていた。 そんな時、野宮 朱里が現れる。情熱的な舞台監督である彼女は、まもなく閉館する愛されるコンサート会場、ソワレホールの最後の公演を企画していた。朱里は奏を必要としていた。最初は断る奏だったが、彼女の真摯な想いと自分のホールへの記憶が彼を引き戻す。 リハーサルが始まると、二人の間に予期せぬ何かが芽生え始める。音楽の話をすると、彼らの瞳は輝きを増す。朱里は奏の音色に溺れ、奏は彼女のビジョンに心を奪われていく。しかし、一歩一歩近づくたびに、それは盗まれた時間のように感じられた――奏は朱里が知らないことを知っていたから。 事態を複雑にするのは、朱里の辛辣な元恋人であり制作の資金提供者でもある真田 玲司。彼はまだ朱里を諦めておらず、笑みを浮かべながら奏に距離を置くよう警告する。一方、奏の幼なじみであり同じピアニストの橘 詩だけが、彼の病の真実を知っていた。詩は朱里に話すなと警告する。「彼女を傷つけるだけだから」と。しかし、詩自身も奏への想いから中立で