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ユウシャのいない世界で、君を想う 深淵から帰還した少女リコは、もはや人ならざる身体となっていた。彼女の白笛は砕け、冒険の記憶もおぼろげだ。 目を覚ましたのは、オースの外れにある小さな宿屋。かつての親友、ナットとシグが営むその場所で、二人はリコの変わり果てた姿に戸惑いながらも、必死に支えようとする。しかし、リコの心は誰にも開かれない。彼女が寝言で、まるで熱に浮かされた祈りのように繰り返すのは、共に深淵へ消えた少年、レグの名だけだった。 ある夜、リコは「自分の中に残る深淵の呪いが、地上の人々を危険に晒す」と信じ、姿を消す。かつて彼女に密かな恋心を抱き、今はその感情を「責任」と呼び変えたナットは、彼女の後を追う。リコを姉のように慕い、その孤独を許せないシグもまた、追跡に加わる。それぞれの想いを胸に、二人はリコを連れ戻そうと必死に捜し求める。 時を同じくして、オースでは「深淵の遺物」を崇拝する新興宗教が台頭していた。彼らは「生ける深淵の子」であるリコを教団の象徴として祀り上げようと画策し、人々は彼女の危険な魅力に熱狂し始める。リコを守りたいナットとシグ。彼女を利用せんとする教団。そして
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