冷たい石壁がリオの視界を埋め尽くしていた。無数の爪痕と色褪せた血痕が刻まれた古の迷宮は、低く不気味な静寂に包まれている。リオは何の記憶もなく目覚めた——自分の名も、目的も、かつて愛した者の顔さえも。ただ壁に刻まれた光る文字だけが彼に問いかける。「汝は誰の夢を見る」。途方に暮れるリオは、岩の隙間に隠された擦り切れた日記を見つける。そのページが明かしたのは恐るべき真実だった。ここは死に戻りの迷宮——死ねば入り口で蘇るが、その代償として記憶の大半を失う呪われた遺跡。そしてリオは二十七代目だった。彼の前に、二十六人のリオが生き、戦い、百度以上も死に、この日記と床のかすかな爪痕だけを遺産として残していったのだ。 日記は彼の唯一の導きとなった。断片的な地図、罠への警告、そして侵入者の記憶を喰らう廊下の怪物たちの行動パターンが記されていた。痩せ細った恐怖、鉤爪のグールとの初遭遇で、リオは気づく——頭は空っぽでも、身体は回避の仕方を覚えていた。その本能的な反射が戦いに勝利をもたらし、最初の遺物を手に入れる。それは道を切り拓くための、実体化した爪だった。 だが深層へ進むにつれ、リオに忍び寄る違和感。