公爵令嬢カサンドラ・ヴェインフォードは、婚約者アルバート・グレイソンに全財産を横領され、婚約破棄されたことで一夜にして全てを失う。上流社会から転落した彼女が辿り着いたのは、王都の地下に広がる巨大闘技場と賭博場が支配する「深淵区」。ここで生き残る術は、拳で金を稼ぐことだけだった。 貴族の誇りなど何の役にも立たないこの地獄で、日々の死闘を通じてカサンドラは、かつて賭博ギルドの毒使いだった謎めいた元敵、エリス・ノワールと奇妙な友情を育んでいく。闘技場でのランクが上がり始めたカサンドラは、観客席に見知った顔を見つける。元婚約者のアルバートが、自身の莫大な賭博の借金を返済するため、奴隷として闘奴に売られていたのだ。怒りと殺意に燃えながらも、二人の賭博中毒者は歪な共闘関係を強いられ、タッグマッチで無敗の連勝記録を打ち立て始める。 だが、その奇妙なパートナーシップは、カサンドラに危険な執着を燃やす闘技場のサディスティックな女王、ヴィオラ・デスペラードによって脅かされる。アルバートをカサンドラの「玩具」と見なすヴィオラは、彼を奪い取るため高レートの賭博決闘を申し込む。イカサマ賽子と心理戦が渦巻く勝