ウ
ウクライナ
1話 100pt
十二月の地方都市。駅近くのカフェで、いつも一人で本を読んでいる大柄な男がいる。名前はロシア。身長一九五センチ、肩幅が広く、手も大きい。電車では必ず人が一歩引く。街でも自然と避けられる。店員も少し身構える。だがロシアはそれを暴力だと思ったことはない。ただ、ずっと一人だっただけだ。 ある日、いつもの席でページをめくっていると、一人の男が近づいてくる。日本、二十五歳。老舗の茶舗で働く、物腰の柔らかい男だ。日本は空いた席を指して、「ここ、いいですか」と尋ねる。驚いたロシアは二度聞き返し、それから慌てて席を詰める。ぎこちない相席が始まる。日本は静かに笑って、ロシアの読んでいる本のことを聞く。ロシアはうまく答えられないが、日本は急かさない。帰り際、日本は「また来ますか」と聞く。ロシアは答えられないまま店を出る。 三日後、ロシアはまた同じ店にいる。今度は自分から来た。日本は持参した茶葉でお茶を淹れ、二人で飲む。ロシアは口下手だが、日本が丁寧に尋ねることに一つずつ答えていくうちに、いつの間にか笑っている。店を出るとき、ロシアは生まれて初めて「また会おう」と自分から言う。連絡先を交換し、帰り道でロシ