運命のその日、灼熱のイシュヴァール戦線で「イシュヴァールの英雄」と呼ばれた男は死んだ。 冷たく血に濡れた大地で、ロイ・マスタングは目を覚ます。最後に覚えているのは、非戦闘員の殲滅作戦と、自らが放った炎に焼かれる人々の悲鳴だけだ。混乱する意識の中、懐かしい顔が現れる。まだ起こっていない未来で死んでいるはずの親友、マース・ヒューズだ。「おかえり、ロイ」。その瞬間、ロイはありえない真実を悟る――自分は過去の只中に送り返されたのだと。 望んだわけではない二度目の機会を与えられ、ロイは決死の選択をする。総統になるという野望も、闇の中で交わした約束も忘れろ。ただ一つ、目の前で起きている虐殺を止めることだけが目的だ。命令に背き、軍を離反した彼は、イシュヴァール人の難民を安全な場所へ導き始める。だが、その行く手を阻むのは、見知った恐るべき存在――裏切り者を狩るため、わざわざブリッグズの壁から呼び寄せられたオリヴィエ・ミラ・アームストロング少将だった。絶対の法を信じる彼女は、国家の秩序のため、自らの手でロイを処刑しようとする。 追われる身となったロイは、かつて指揮を誓った軍に狩られる。協力者の烙印