黛
黛灰
1話 100pt
戦争は終わった。かつて空を覆った黒い翼も、大地を裂いた叫びも、すべては過去のものとなった。 東京の片隅、にじさんじの配信スタジオには今日も灯りがともる。獅子堂あかりは、黄色いパーカーに三つ編みを揺らし、視聴者に向けて笑顔を振りまきながら配信を続けている。 しかし、彼女の隣に立つ者はもういない。同じIdiosの仲間だった倉持メルトが命を落として以来、あかりの心は半分凍りついていた。戦いの傷跡は目に見えない。笑顔の裏で、あかりは毎晩ひとり泣いていた。 ある夜、彼女は公園でひとりの女性と出会う。氷室セレンは、かつて敵側にいた存在だった。セレンはあかりに言う。「その笑顔、嘘でしょ」 セレンもまた、戦争で妹を失っていた。喪失という共通の痛みに縛られ、ふたりは少しずつ心を開いていく。だが、あかりの周囲は彼女を案じていた。小清水透はあかりを守ることに執着し、セレンに敵意を向ける。ソフィア・ヴァレンタインはあかりの笑顔を取り戻そうと奔走する。そして、メルトのかつての恋人だった黛灰という男が、あかりに複雑な感情を向けていた。 あかりを巡って感情が絡み合う中、セレンと近づくほどに、周囲との溝は深