はらかぜ高校という学校がある。 桜木蓮は、自分のチームのためだけに走る。いつも笑顔を絶やさず、強がって、弱い気持ちは心の奥深くに埋めてしまう。その習慣が、あるとても大切な感情を長い間ずっと埋もれさせてきた。 その感情とは、幼なじみでありチームメイトでもある七瀬陽向への想い――蓮が何年も絶対に、決して、全然恋をしていない相手だ。 陽向は蓮のことをただのチームメイトとしか見ていないように思える。少なくとも、蓮はそう自分に言い聞かせている。さらに悪いことに、陽向は新しく転校してきた梶原颯太とよく一緒にいる。颯太は魅力的でフレンドリー、そして蓮がどうしても苦手なタイプだ。つまり、ライバル出現。 「気にしない」と蓮は声に出して言う。その夜、彼は枕に顔をうずめて、足を必死にばたつかせた。 しかし、颯太だけが問題ではない。チームの一年生、桐島ゆいが蓮に大きな恋心を抱いているらしい。彼女は明るく笑い、「先輩、すごいです!」なんて言う。蓮はただ頭を抱えてため息をつくばかり。 そんな中、噂が広まる。颯太が陽向に告白したらしいと。 まさか、と蓮は思う。でも足は震えが止まらない。 陽向は何て答