そして君は凍れる森で嗤う 誰もが知る塔の英雄ウィルと、その頂点に立つ魔導の天才エルファリア。二人が秘めていたのは、「上級ダンジョン探索実習」で迷い込んだ、一夜の出来事。 辿り着いた先は、あらゆる魔法が凍てつく呪われた森。杖を失い、いつもの虚勢が剥がれ落ちたエルファリアは、無力に震えるばかり。そんな彼女を、ウィルはただ笑い、馬鹿と呼び、背中に負ぶった。肩越しに感じる互いの温もりだけが、凍える闇の中で唯一の現実だった。 「私が弱いからだ。ここで魔法が使えないから……」「違う。魔法が使えなくても、俺はお前を助けに来る」 氷の城に閉じこもっていた少女の心を溶かしたその言葉。密かに抱えていた孤独、誰にも言えなかった想い。しかし、夜が明け救助された二人を、予期せぬ悲劇が待っていた。非番中に迷い込んだエルファリアのせいで、護衛役は罰を受け、やがて自ら魔導学院を去ったのだ。 罪悪感に押し潰されたエルファリアは、ウィルと二度と会うまいと誓う。一方、嫌われたと誤解したウィルもまた、傷ついた心のまま剣を振るい続けた。 それから幾年。今や「迅雷卿」と並び称される位に上り詰めたエルファリアに、縁談が