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記憶を失った少年が、崩壊しつつある魔法都市の瓦礫の上で目を覚ます。煤けた路地、灰の匂い、そして掌に刻まれた歪な焼け跡——名前以外の何もかもを失った彼のもとに、赤毛の女が一本の杖を差し出す。「継ぎ杖」と呼ばれるそれは、世界に走る亀裂〈断層〉を焼き払って塞ぐ唯一の手段であり、振るうたびに使い手の記憶を一つずつ燃やしていく代償付きの力だった。触れた瞬間に蘇る、炎に沈む街と無数の悲鳴。杖を振るっていたのは、紛れもなく自分の手。七度、世界を焼いてきた記憶なき過去。失うものがないからこそ振れる杖を、それでも手に取った少年の前に、影から密かに彼を見つめるもう一人の存在が——。終わりゆく世界の継ぎ目で、記憶と代償と選択をめぐるファンタジー。
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