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四月、目黒川沿いの桜が散り始める頃、建築家の朔は交通事故で三年分の記憶を失う。病室を訪れた湊を、朔は「親切な他人」と呼ぶ。恋人の名乗りを上げられないまま、湊は「同僚です」と笑って嘘をつく。退院の日、朔は無邪気に「また来てくれる?」と尋ね、湊は「うん」と答える。病院の廊下で一人、湊は唇を噛む。覚えているのは自分だけだと。 湊は同僚の季依にだけ打ち明ける。朔の部屋に招かれた湊は、二人で選んだ食器や、まだ組み立てていない本棚を見つける。朔は無邪気に距離を縮め、ソファで湊の肩にもたれて眠ってしまう。触れた手を離せないまま、湊は一緒に住もうという約束を口にできずに夜を明かす。季依に背中を押され、湊はもう一度恋人になることを決める。桜の木の下で「好きな人がいる」と告げると、朔は驚いて「じゃあ、その人と一緒にいたい?」と問い返し、受け入れる。二人は新しい関係としてやり直し、もう一度手を重ねる。 そこへ朔の兄・宗一郎が現れ、一つの事実だけを突きつける。「事故の日、お前は朔と口論していた」。朔は湊の笑顔の裏に何かを感じ始める。湊の部屋にある二つのマグカップ。噛み合わない言葉。朔は「何か隠してる?」と
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