すべては、誰にも知られてはいけない秘密から始まった。東京都立呪術高等専門学校の夜の訓練場で、一年生の虎杖悠仁は、先輩である禪院真希と二人きりになっていた。いつもの強気な態度をかなぐり捨て、真希は悠仁に特別な呪術戦闘の個人指導を申し出る。訓練の強度が増すごとに、二人の身体的な距離も近づいていった。汗に濡れた肌、荒い息遣い、呪力を込めた拳と、それを受け止める開かれた掌。この夜毎の稽古は、互いの秘めた弱さをさらけ出す、秘密の時間となっていく。 しかし、その秘密は学内に波紋を広げずにはいなかった。同級生の釘崎野薔薇は、悠仁の夜更かしに気づき始める。「毎晩、真希先輩と何やってんのよ」。その声は、本人すら自覚していない嫉妬で鋭さを帯びていた。伏黒恵もまた、真希の変化を感じ取っていた。気まずい緊張感が校舎に漂い始める。上級生のパンダや狗巻棘までもが、二人の秘密に首を突っ込み始めた。 ある満月の夜、真希は悠仁にだけ、本当の悩みを打ち明ける。禪院家の呪い、呪力を持たないことによる深い劣等感、それでも強くあろうとする必死の執念。それを聞いた悠仁の返答は、言葉ではなく、強く抱きしめて口づけることだった。