もしもホロの夢が、あの日つながっていたら
ホロライブ。何百万人もの視聴者に見守られるバーチャルアイドルの世界。
そのスポットライトのすぐ外側に、一人の男がいる。星野ハル、24歳。彼はホロライブの裏方、技術サポートスタッフだ――光を浴びる側ではなく、光を作り出す側の人間。
ある夜、大きなライブイベントの後、ハルは偶然ゴーストアーカイブファイルを見つける。それは一年前に予定されていたが直前で中止になった歌の配信――しかしなぜか音声データだけが残っていた。
彼が聞いたのは、ガウル・グラの声だった。誰にも聴かれることなく、一人で歌っている。
「ただ…誰かに聴いてほしかっただけなんだ」と、ファイルの最後で彼女はつぶやく。
ハルは頭が真っ白になる。その声を世界に届けたい。絶対に届けなければならない。
しかし、簡単なことではなかった。その中止には理由があった――「リスクが高すぎる」とプロデューサーが判断し、配信を取りやめたのだ。そのプロデューサーは今やハルの直属の上司でもある。
ハルは胸を高鳴らせながら、直接グラに連絡を取る。彼女から返信が来た。
「えっ――あのファイル、まだ残ってたの?」
そうして、何かが動き出す。グラは