FGO学園 〜聖杯は校庭に埋まってる〜
聖レガリア学園の裏庭で草むしりをしていた藤丸立香は、土の中から金色に輝く杯——聖杯を掘り出してしまう。その瞬間、右手の甲に消えない紋様が浮かび上がり、彼の「無意識の願い」が次々と現実になり始める。購買のパンは好物ばかりになり、机は勝手に片付き……。そこへ「あなたを守るために来ました」と転校生のマシュ・キリエライトが現れる。聖杯の力を制御できなければ、周囲の願いまで巻き込んで暴走する危険があるという。小柄で真剣な彼女との、少し不思議でちょっとドキドキする学園生活が始まる——。果たして立香は、聖杯の力を抑えられるのか。そして夢で聞こえた「必ず、迎えに来るから」という声の主は誰なのか。聖杯は、校庭に埋まってる。
FGO学園 〜聖杯は校庭に埋まってる〜 - 金色の杯と不思議な一日
「うわっ、また草ボーボーじゃん……」
藤丸立香は、放課後の学園裏庭でため息をついた。園芸部の友達に頼まれて、草むしりを手伝いに来たのだ。春の日差しはやわらかくて、風は気持ちいい。でも、目の前に広がる草の海を見ると、正直帰りたくなった。
黒髪のくせっ毛をかきながら、しゃがみ込む。白いワイシャツの袖をまくって、スコップを地面に突き立てた。
「……よし、やるか」
明るい茶色の瞳で草むらを見渡す。細身の体を動かして、黙々と草を抜いていく。制服の紺のブレザーが土で汚れないように、気をつけながら。
しばらく作業を続けていると、雑木林の隅に来ていた。普段は誰も近寄らない、木がうっそうと生えた場所だ。
「ここ、こんなに荒れてたっけ」
立香は首をかしげた。なんだか、空気がひんやりしている。春の陽気とは思えないくらい、ぞわっとする。
気のせいか、とスコップを振り下ろした。
ガキン。
硬い音がした。
「え?」
スコップの先が、何か固いものに当たった。石だろうか。でも、音が違う。金属みたいな、澄んだ音。
立香は慎重に、周りの土を掘っていった。五分くらいかけて、ようやくそれが顔を出す。
「……何これ」
土の中から出てきたのは、金色に輝く杯だった。大きさは両手で包めるくらい。表面には、見たこともない模様がびっしりと刻まれている。
まるで、作られたばかりみたいに、ぴかぴかだった。
「誰かの忘れ物……? にしては、埋まってたし」
立香は首をひねった。手を伸ばして、そっと杯に触れる。
その瞬間。
「あっつ……!」
右手の甲に、焼けるような痛みが走った。思わず手を引っ込める。見ると、甲に金色の紋様が浮かび上がっている。杯に刻まれていたのと同じ、複雑な模様。
「な、なんだこれ!? 消えない……!」
立香は慌てて手をこすった。でも、紋様はびくともしない。まるで、最初からそこにあったみたいに、皮膚に染みついている。
周囲の空気が、ふわっと金色に光った。細かい光の粒が、木々の間を漂っている。
「…………」
立香は言葉を失った。
数秒後、光はすっと消えた。あとに残ったのは、静かな林と、手に持った金色の杯。そして、右手の甲の紋様だけ。
「……何だったんだ、今の」
立香はへなへなと座り込んだ。心臓がバクバク言っている。
しばらくぼんやりしてから、杯を見つめた。
「……とりあえず、持って帰るか。交番に届けたほうがいいよな、これ」
そう呟いて、リュックに杯をしまった。
家に帰ってから、立香はもう一度杯を眺めた。
部屋の明かりに照らされて、杯はますます金色に輝いている。古いもののはずなのに、汚れひとつない。
「これ、本物の金……? いや、金ってこんなに軽くないか」
立香は首をかしげた。
右手の甲の紋様は、まだ消えていない。痛みはなくなっていたが、じんわりと温かい。まるで、誰かに手を握られているみたいな感触。
「……気味悪いな」
立香は手袋をはめた。紋様を隠すためだ。
明日、交番に届けよう。そう決めて、布団に潜り込んだ。
翌朝。
立香は、星ヶ丘市の朝の空気を吸い込んだ。ここは、東京から電車で四十五分の、静かな住宅都市だ。人口十八万人。特に何があるわけでもない、普通の街。
でも、立香はこの街が好きだった。
願い坂を上りながら、ふと考える。
(そういえば、この坂って願い事を唱えると叶うって噂があるんだよな)
立香は、坂の途中で足を止めた。
星ヶ丘市には、ちょっと不思議な場所がいくつかある。願い坂もその一つ。ここで願い事を唱えると、微弱な映像が浮かぶことがあるらしい。
「……まあ、迷信だよな」
立香は笑って、歩き出した。
聖レガリア学園。
全校生徒約千二百人の、私立高校だ。星ヶ丘市の中心部、台地の頂上に建っている。白い校舎が青空に映えて、なかなか絵になる。
立香は校門をくぐって、昇降口へ向かった。
購買に寄ると、なんだか騒がしい。
「おい、見ろよ! 今日のパン、全部カレーパンとメロンパンとコロッケパンだぞ!」
「マジで? 定番のあんパンは?」
「ない! 一個もない!」
立香は首をかしげた。
(カレーパン、メロンパン、コロッケパン……俺の好物ばっかり)
気のせいだよな、と心の中で呟く。
教室に入ると、もっと変だった。
「立香! お前の机、めっちゃきれいになってる!」
友人の一人が、目を丸くして立香の机を指さした。
立香の机の中は、教科書もノートも文房具も、完璧に整理整頓されていた。普段はぐちゃぐちゃなのに。
「え、俺、昨日片付けたっけ……?」
立香は記憶をたどる。昨日は草むしりをして、帰ってすぐ寝たはず。片付ける時間なんてなかった。
「まあ、いいんじゃね? ラッキーじゃん」
「そうそう。今日のお前、なんかついてるよ」
友人たちは笑っている。
「……まあ、気のせいだよね」
立香も笑って流した。
でも、右手の甲の紋様は、まだ温かい。
一時間目の授業中、立香はぼんやりと窓の外を見ていた。
(そういえば、この学園って変な噂があるんだよな)
聖レガリア学園は、建学の精神が「願いを学びに変える」という、ちょっと変わった学校だ。理事長は御影宗一郎というおじいさんで、星詠み機関の元幹部らしい。
星詠み機関。
表向きは文部科学省管轄の「文化財保護課」の一部門。でも、実態は聖遺物を管理する組織だと、まことしやかに囁かれている。
「聖遺物って、何なんだろうな」
立香は小さく呟いた。
聖遺物。人類の願いが形を成したもの。世界に七つある「七大聖遺物」が特に強力で、その一つが「聖杯」と呼ばれているらしい。
「聖杯って、願いを叶えるんだっけ……」
立香は、昨日の金色の杯を思い出した。
(まさか、な)
首を振る。
授業が終わると、立香は購買でパンを買った。もちろん、カレーパンだ。
「やっぱうまいな、ここのパン」
立香はほおばりながら、廊下を歩く。
購買のパンは、パン工房ミルクという地元の店が作っている。百二十円でこの味は、かなりお得だ。
放課後。
立香は、昨日の裏庭に来ていた。
気になったのだ。あの金色の光が、もう一度見られるんじゃないかって。
雑木林の隅。昨日、杯を掘り出した場所。
「……光ってる」
立香は目を見張った。
地面の一部が、淡い金色に光っている。空気が、ふわふわと揺れているように見える。
近づいてみる。
光は、まるで呼吸するみたいに、ゆっくりと明滅していた。
「誰かを呼んでるみたいだ……」
立香は呟いた。
もう一歩、近づく。
光が、すっと収まった。
あとには、普通の林が広がっているだけ。
「…………」
立香は、しばらくその場に立ち尽くしていた。
胸騒ぎがする。
何かが、始まろうとしている。そんな予感。
「……帰るか」
立香は、背を向けた。
その夜。
立香は、夢を見た。
金色の霧が、あたり一面に立ちこめている。
足元も、空も、何もかもが金色に染まっている。
その中に、大きな背中があった。
誰かが、立香の前を歩いている。
顔は見えない。でも、とても大きくて、温かい背中。
「……だれ?」
立香は、声をかけた。
背中は、振り返らない。
でも、声が聞こえた。
「必ず、迎えに来るから」
低くて、優しい声。
どこかで聞いたことがあるような、懐かしい声。
「まってる」
立香は、手を伸ばした。
届かない。
背中は、どんどん遠ざかっていく。
「まって!」
立香は、走り出した。
でも、追いつけない。
金色の霧が、背中を包み込んでいく。
「やくそく、だから」
声が、遠くなる。
「まって……!」
立香は、目を覚ました。
心臓が、バクバク言っている。
額には、汗がにじんでいた。
「……夢、か」
立香は、息を吐いた。
枕元を見る。
「え……?」
金色の羽根が、一枚落ちていた。
本物の鳥の羽根みたいに、ふわふわしている。でも、金色に輝いている。
「なんだこれ……」
立香は、羽根を手に取った。
温かい。
夢の名残みたいに、ほんのりと温かい。
「…………」
立香は、羽根をポケットにしまった。
捨てられなかった。
翌朝。
立香は、校門をくぐった。
「……ん?」
校門の横に、見慣れない女子生徒が立っていた。
淡い桜色のショートボブ。サイドには、小さな三つ編み。紫がかった大きな瞳が、真っ直ぐに立香を見つめている。
身長は百五十八センチくらい。小柄で、華奢な体つき。制服は、立香たちと同じ聖レガリア学園のもの。
でも、見たことのない顔だ。
「……あの、藤丸立香さん、ですか?」
彼女は、おずおずと尋ねてきた。声は、鈴を転がすように澄んでいる。
「え? あ、うん。そうだけど……」
立香は、戸惑いながら答えた。
彼女は、ほっとしたように微笑んだ。
「よかった。やっと会えました」
「え? やっと……?」
「はい。私、マシュ・キリエライトと言います。今日から、この学園に転校してきました」
マシュは、丁寧に自己紹介した。
「転校生……?」
立香は、首をかしげた。
この時期に転校なんて、珍しい。
「あの、それで、どうして俺に……?」
立香が尋ねると、マシュは真剣な眼差しで立香を見上げた。
「藤丸立香さん。あなたを守るために来ました」
「……へ?」
立香は、ぽかんとした。
「えっと……僕を、守る?」
「はい」
マシュは、力強く頷いた。
「聖杯の力を感じて来ました。あなたのそばにいないと、私は私でいられないんです」
「聖杯……?」
立香の心臓が、ドキッと跳ねた。
昨日の、金色の杯。
「あの、藤丸立香さん。あなた、最近、何か不思議なものを拾いませんでしたか?」
マシュの紫の瞳が、立香をじっと見つめる。
「不思議なもの……って」
立香は、言葉を濁した。
「金色の杯、です」
マシュは、はっきりと言った。
「……!」
立香は、息を飲んだ。
どうして、知っているんだ。
「やっぱり、あなたのところにあったんですね」
マシュは、嬉しそうに微笑んだ。
「あの、それは、聖杯と呼ばれる聖遺物です。持ち主の願いを具現化する力を持つ、とても危険なもの」
「願いを……具現化?」
立香は、オウム返しに呟いた。
「はい。あなたの願いが、現実に反映されるんです。昨日から、あなたの周りで不思議なことが起きていませんか?」
立香は、昨日の出来事を思い出した。
購買のパンが、全部自分の好物になっていたこと。机が、勝手に整理されていたこと。
「……あれ、俺の願いだったの?」
立香は、愕然とした。
「おそらく。聖杯が、あなたの無意識の願いを拾い上げているんです」
マシュは、真剣な表情で説明した。
「でも、聖杯の力は、持ち主一人では制御できません。周囲の人間の願いまで巻き込んで、暴走する危険性があるんです」
「暴走……」
「だから、私が守ります。あなたのことを、何があっても」
マシュは、立香の手を、そっと握った。
小さくて、温かい手。
「え、あの……!」
立香は、慌てた。
女の子に手を握られるなんて、慣れていない。
「……あっ、ご、ごめんなさい! つい……!」
マシュは、顔を真っ赤にして手を離した。
「いや、大丈夫……。でも、守るって、具体的に何を……?」
立香が尋ねると、マシュは真剣な顔で答えた。
「あなたのそばにいます。ずっと」
「ずっと……?」
「はい。登校も、授業も、休み時間も、放課後も。できる限り、あなたのそばに」
「いやいやいや、それはちょっと……」
立香は、手をぶんぶん振った。
「迷惑、ですか?」
マシュは、しゅんとした。
子犬みたいに、うるうるした瞳で立香を見上げる。
「め、迷惑っていうか……。その、恥ずかしいというか……」
立香は、頭をかいた。
「……わかりました。では、少し距離を取ります」
マシュは、名残惜しそうに一歩下がった。
「いや、距離を取るって、そういう問題でも……」
立香は、ため息をついた。
「……とにかく、教室に行こう。遅刻する」
「はい」
マシュは、嬉しそうに頷いた。
立香が歩き出すと、マシュは静かに後をついてくる。
まるで、影みたいに。
「……ねえ、マシュさん」
「マシュでいいです」
「じゃあ、マシュ。あのさ、聖杯のこと、もっと詳しく教えてくれない?」
立香は、歩きながら尋ねた。
「はい。何からお話ししましょうか」
「えっと……聖杯って、なんで俺のところに?」
「それは……わかりません。でも、聖杯は、持ち主を選ぶと言われています」
「持ち主を選ぶ?」
「はい。聖杯は、強い願いを持つ者のところに現れるんです。あなたには、何か強い願いがありますか?」
立香は、考えた。
強い願い。
「……普通の高校生活を送りたい、ってのは?」
立香は、苦笑いした。
「それも、立派な願いです」
マシュは、真面目に頷いた。
「でも、聖杯があなたを選んだのは、もっと別の理由があるのかもしれません」
「別の理由……」
立香は、右手の甲を見つめた。
手袋の下で、紋様がじんわりと温かい。
「あの、藤丸立香さん」
マシュが、立香の隣に並んだ。
「私、あなたの力になりたいんです。聖杯の力から、あなたを守りたい。だから、私をあなたのそばに置いてください」
マシュは、真剣な眼差しで立香を見上げた。
紫の瞳が、真っ直ぐに立香を射抜く。
「…………」
立香は、言葉に詰まった。
この子は、本気だ。
本気で、俺を守ろうとしている。
理由はわからない。でも、その瞳の強さは、本物だった。
「……わかった。よろしく、マシュ」
立香は、微笑んだ。
「はい! ありがとうございます!」
マシュは、ぱあっと顔を輝かせた。
その笑顔は、春の日差しみたいに明るくて。
立香は、胸の奥が、ほんの少しだけ温かくなるのを感じた。
「……でも、やっぱりついてくるのは、教室の前まででお願い」
「えー……」
マシュは、不満そうに頬を膨らませた。
そんなやり取りをしながら、二人は校舎へと歩いていった。
教室に着くと、クラスメイトたちがざわざわしていた。
「おい、立香! 今朝、校門で女の子と一緒にいたろ!」
「めっちゃ可愛い子だったじゃん! 誰!?」
立香は、げんなりした。
「……ただの転校生だよ。道を聞かれただけ」
「嘘つけ! 手、握られてたじゃん!」
「えっ! マジで!?」
「立香、お前、いつの間に……!」
教室中が、大騒ぎになった。
「違うって! あれは、その……!」
立香は、必死に言い訳した。
でも、誰も聞いちゃいない。
(……あー、もう。なんでこんなことに)
立香は、心の中でため息をついた。
右手の甲の紋様が、まるで笑っているみたいに、じんわりと温かかった。
放課後。
立香は、校門でマシュと待ち合わせていた。
マシュは、立香の姿を見つけると、嬉しそうに駆け寄ってきた。
「藤丸立香さん! お待たせしました!」
「いや、俺も今来たとこ」
立香は、笑った。
「それで、これからどうするの?」
「はい。まずは、聖杯の状態を確認したいです。どこにありますか?」
「家。リュックに入れたまま」
「では、ご自宅に伺ってもいいですか?」
「えっ!? いや、さすがにそれは……」
立香は、たじろいだ。
「だめ、ですか……?」
マシュは、しゅんとした。
また、子犬みたいな目をしている。
「…………」
立香は、天を仰いだ。
「……わかった。でも、すぐ帰るんだぞ」
「はい! ありがとうございます!」
マシュは、ぱあっと笑った。
こうして、立香はマシュを家に連れて行くことになった。
立香の家は、星ヶ丘市の東部、住宅街の中にある。
ごく普通の、一軒家。
「お邪魔します」
マシュは、丁寧にお辞儀をして、家に上がった。
「誰もいないから、楽にして」
立香は、リュックから聖杯を取り出した。
「これだよ」
「……!」
マシュは、聖杯を見た瞬間、表情を引き締めた。
「間違いありません。聖杯です」
「やっぱり……」
立香は、聖杯をテーブルに置いた。
「でも、なんで俺のところに……?」
「わかりません。でも、聖杯があなたを選んだのなら、きっと意味があるはずです」
マシュは、聖杯をじっと見つめた。
「藤丸立香さん。あなたの右手の甲に、紋様が浮かんでいるはずです」
「あ、うん。これ」
立香は、手袋を外した。
金色の紋様が、くっきりと浮かんでいる。
「それは、聖杯の縁、です。あなたと聖杯が、深く結びついている証拠」
「縁……」
立香は、紋様を見つめた。
「聖杯の力が暴走すると、大変なことになります。あなたの周りの人たちの願いが、現実を歪めてしまう」
「現実を、歪める……」
「はい。だから、私があなたを守ります。聖杯の力からも、聖杯を狙う者たちからも」
「聖杯を狙う者たち……?」
立香は、眉をひそめた。
「聖杯は、七大聖遺物の一つ。世界中の組織が、その力を欲しがっています」
「……物騒だな」
立香は、ため息をついた。
「でも、大丈夫です。私が、必ず守りますから」
マシュは、立香の手を、また握った。
今度は、離さなかった。
「……マシュ」
「はい」
「ありがとう」
立香は、素直に言った。
「……!」
マシュは、顔を真っ赤にした。
「ど、どういたしまして……!」
二人の間を、春の風が吹き抜けた。
窓の外では、夕日が沈みかけている。
オレンジ色の光が、部屋の中を染めていた。
立香は、マシュの温かい手を感じながら、思った。
(……これから、どうなるんだろうな)
でも、不思議と、嫌な気分ではなかった。
むしろ、何かが始まるような、期待感があった。
その夜、立香は、金色の羽根をポケットから取り出した。
羽根は、相変わらず温かかった。
「……必ず、迎えに来るから、か」
立香は、夢で聞いた声を、もう一度口にした。
誰の声だったんだろう。
わからない。
でも、懐かしかった。
立香は、羽根を握りしめた。
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