琥珀の罠 ~冷徹社長は夜だけ淫らに求める~
【琥珀の罠 ~冷徹社長は夜だけ淫らに求める~】
失恋の痛みを忘れようと、バーで出会った謎めいた男と衝動的に一夜を共にした28歳の広告代理店勤務・加賀美栞里。翌朝、緊急招集された会社の会議で現れた新社長は、昨夜の相手その人だった。
公私混同は一切許さないと公言し、冷徹な若き実業家として名高い西園寺怜真は、栞里を完全に無視する。だが、安堵も束の間、仕事終わりに「今夜9時、来い」とだけ告げられ、高級ホテルへと呼び出される。そこでは、昼間の氷のような態度が嘘だったかのように、怜真は彼女を灼熱の抱擁で包み込む。
「お前を誰にも触れさせない」——強烈な独占欲を叩きつけられ、二人だけの危険な秘密の関係が始まる。昼は他人、夜は恋人。ほろ苦い情事に心を溶かす栞里。だが、怜真の残酷さは留まるところを知らず、皆の前で叱責するためだけにオフィスへ呼び出したかと思えば、その夜には優しく抱きしめる。
混乱のさなか、怜真の元婚約者で大株主の妖艶な美麗が現れ、衝撃の事実を暴露する。「彼は復讐のためにあなたを利用しているの」。栞里の亡き父が怜真の父を裏切った過去があり、会社を乗っ取った上で栞里を心身ともに支配する
琥珀の罠 ~冷徹社長は夜だけ淫らに求める~ - 復讐の夜明け——真実の宣言と、俺が君のものになりたい
一週間。
加賀美栞里は、その七日間をまるで夢の中にいるような気持ちで過ごしていた。
美麗が逮捕されたあの日、父の無実を証明する書類は風に舞って散ってしまったけれど——怜真が警察に提出した音声データや、これまでの美麗の行動記録が決定的な証拠となったらしい。詳しいことは、まだよく分からない。ただ、刑事から事情聴取を受けたあの日の夕方、怜真から短いメッセージが届いた。
『月曜朝九時、三十八階に全社員を集める。真実を話す』
たったそれだけの、相変わらず素っ気ない文章だった。
栞里はそのメッセージを何度も読み返した。
(真実——)
父のことが、やっと、みんなの前で晴れる。そう思うと、胸の奥がじわりと温かくなるような、それでいて、怖いような、変な気持ちだった。三年間——ずっと、裏切り者の娘として生きてきた。それが、終わる。
(終わるんだ)
そう思ったら、急に涙が出そうになった。
──
月曜朝、八時五十分。
六本木ヒルズ森タワー三十八階のエントランスホールは、異様な空気に包まれていた。百二十人もの社員が、ざわめきながら集まっている。営業局の若手も、制作局のベテランも、普段は顔を合わせないメディア局の社員も——全員が、フロア中央に設けられた臨時の演壇を、困惑した顔で見つめていた。
「[worried]何が始まるんだろうね」
辻村愛が、栞里の隣でそっと囁いた。
作局の一角、いつものデスクの近く。栞里は愛のとなりに立って、自分の手が震えないように、ぎゅっとスカートの脇を握りしめていた。心臓がうるさい。指先が冷たい。
「[whispers]……分からない。でも——」
言いかけたときだった。
フロアのざわめきが、すっと消えた。
西園寺怜真が、演壇に上がったのだ。
百八十センチを超える長身。漆黒のスーツに、白いシャツ。いつものように冷たい表情——だけど、今日は少しだけ、その青い瞳に力があった。手には、分厚い書類の束。
怜真は、ゆっくりとフロアを見渡した。
一人、一人、社員の顔を確かめるように。
その視線が、栞里のところで——止まった。
ほんの一瞬。たぶん、誰も気づかないくらいの、短い間。
でも、栞里には分かった。
(大丈夫だ)
そう、言われた気がした。
怜真は、マイクの前に立った。
「[serious]三年前——この会社で、背任事件が起きた」
声は、驚くほど静かだった。
感情を抑えた、低い声。でも、フロアの隅々まで、はっきりと響く。
「[serious]当時の役員であった加賀美誠一郎が、機密情報を競合他社に漏洩し、会社に十億円規模の損害を与えた——そう発表された」
フロアが、水を打ったように静まり返った。
栞里は、唇を噛んだ。
父の名前。三年ぶりに、公の場で語られる父の名。
「[serious]だが——それは、虚偽だ」
怜真の声が、少しだけ、強くなった。
「[serious]背任の証拠とされた書類は、すべて偽造されたものだった。加賀美誠一郎は、無実だ」
ざわっ、とフロアが揺れた。
誰かが息を呑む音。誰かが、隣の同僚に「え?」と聞き返す声。
怜真は、構わず続けた。
「[serious]偽造を行ったのは、神宮寺美麗——当グループの大株主であり、私の元婚約者だ」
声が、わずかに震えた——ような気がした。
「[serious]彼女は私を——西園寺グループを手中に収めるため、加賀美誠一郎を陥れた。証拠を捏造し、私に嘘を信じ込ませた」
書類を握る指が、白くなる。
「[serious]それを知らずに、私は——加賀美誠一郎を、裏切り者と断じた。あの男は、この会社の発展を誰よりも望んでいた、忠実な人間だった。私が、間違えていた」
怜真は、そこで一度、言葉を切った。
フロアが、沈黙する。
誰も、何も言えない。
そして——怜真は、正面を向いた。
フロアの中央。制作局の列。その真ん中に立つ栞里を、その青い瞳がまっすぐに捉えた。
「[serious]加賀美栞里」
栞里の名前を——初めて、人前で呼んだ。
「[serious]君の父親は、無実だった。君は、裏切り者の娘などではなかった」
そして——。
西園寺怜真は、百二十人の社員が見守る中で。
深く、深く、頭を下げた。
「[serious]すまなかった」
たった一言。
でも、その一言が、すべてだった。
──
栞里は、立っていた。
唇を噛んで、涙をこらえて、立っていた。
(父が——)
(無実だった)
それは、もう知っていた。屋上で、封筒の中身を見たあの瞬間に。
でも——こんな風に、みんなの前で。
あの怜真が。いつも冷たくて、感情を見せなくて、父を「クズ」と呼んだあの人が。
頭を下げて——謝った。
視界が、滲んだ。
「[crying]栞里!!」
突然、隣から飛びついてきた温もり。
赤い髪の毛が、栞里の肩にぶつかる。愛が、泣きながら抱きついてきたのだ。
「[crying]ずっと、ずっと信じてた!絶対、栞里のお父さんは悪くないって!」
「[crying]愛ちゃん——」
「[crying]私ね、この一週間、ずっとみんなに話して回ってたんだよ!社長から情報解禁の許可もらって、真実を——栞里がずっと一人で耐えてたってことを!」
愛の叫びが、静まったフロアに響く。
その瞬間だった。
人垣をかき分けて、一人の男が前に出てきた。
制作局長の、三枝。
旧経営陣派の古参で、いつも栞里に冷たく当たっていた——あの三枝が。
「[serious]……加賀美」
三枝は、栞里の前に立った。長い沈黙。
その顔は、なんだかすごく苦しそうで——いつもの強気な態度は、どこにもなかった。
「[serious]俺は——俺は、最低だった」
絞り出すような声。
「[serious]お前の父親が何をしたのかも知らずに、噂だけで判断して——ずっと、ひどいことを言ってきた。すまなかった」
三枝が、頭を下げた。
それを見て——一人、また一人と。
同僚たちが、栞里の前に集まってくる。
「加賀美さん、俺も——ごめん」「私も、冷たくして——」「おかえりなさい」「もう、一人じゃないからね」
声が、重なっていく。
三年分の孤立が、ゆっくりと、でも確実に、ほどけていく。
栞里は、もう——涙を止められなかった。
「[crying]みんな……ありがとう」
声が震える。膝が、震える。
でも——愛が、しっかりと背中を支えてくれていた。
---
その時だった。
再び、怜真がマイクの前に立った。
フロアのざわめきが、すっと消える。
「[serious]以上が、背任事件の真実だ。加賀美誠一郎の名誉は、これをもって回復される」
怜真の声は、また静かになっていた。
「[serious]——ここからは、私個人の話をさせてほしい」
そう言って、スーツの内ポケットから、白い封筒を取り出した。
辞表——。
フロアが、ざわついた。
「[serious]私がこの会社に持ち込んだのは——復讐だった」
怜真は、淡々とした声で続けた。
「[serious]加賀美誠一郎が父を裏切ったと信じ、その娘を苦しめるために、私はこの会社を買収した。社長としての資格など——最初からなかった」
辞表を、演壇の上に置こうとして——。
「[crying]待ってください!!」
声が、響いた。
栞里自身も驚くほど、はっきりとした声だった。
人垣をかき分けて、演壇へ向かう。愛が、背中を押してくれた。
迷っている暇なんて、なかった。
怜真の前に立つ。彼の青い瞳が、驚いたように栞里を見下ろしていた。
「[crying]辞めないで——ください」
震える声で——でも、まっすぐに伝えた。
「[crying]あなたが辞めたら——父が守ろうとしたこの会社は、誰が立て直すんですか」
息を吸う。
「[crying]復讐から始まったかもしれない。でも——これからは、一緒に、前に進んでください。私も——父の分まで、働きます。だから——」
涙でぐしゃぐしゃの顔で——。
それでも、笑った。
「[crying]ここに、いてください」
間があった。
怜真の手から、辞表が——ゆっくりと降ろされる。
彼は、その白い封筒を、再びスーツの胸ポケットに戻した。
そして——栞里だけに聞こえる、小さな声で。
「[whispers]……後で、話す」
その瞬間——。
フロアのどこかから、拍手が起こった。
一人、また一人。
やがて、百二十人全員の拍手が、三十八階を満たした。
---
その夜。
西麻布、ホテル・ヴァンベール東京。
最上階、プレジデンシャルスイート「月華」の扉を開けた瞬間——栞里は、息を呑んだ。
窓の外に、東京タワーが輝いている。
部屋の中は、いつもと少し違っていた。ベッドのそばのサイドテーブルに、ウイスキーの瓶と——グラスが、二つ。
「[gentle]座ってくれ」
怜真が、ソファを勧めた。
今まで——呼び出される時は、いつも彼の方が先にベッドにいて、栞里は立ったまま服を脱がされたのに。
今日は、違った。
栞里は、おそるおそるソファに座る。怜真は、静かにウイスキーを注いだ。琥珀色の液体が、氷に触れて小さな音を立てる。
「[gentle]ラルムで、初めて並んだ時も——こんな風だったな」
怜真が、ぽつりと言った。
あのバー。失恋の痛みを癒そうと、偶然入った隠れ家。そこで——この人と出会った。
すべての、始まりの場所。
「[gentle]昼も、夜も——」
怜真は、グラスを見つめたまま、静かに言葉を紡いだ。
「[gentle]俺が、君のものになりたい」
栞里は、目を見開いた。
「[gentle]今まで——君は俺のものだ、と言い続けてきた。だが、本当は逆だった。俺が——君のものに、なりたかったんだ」
声が、かすかに揺れている。
これは——プロポーズだと、栞里は理解した。
あの、冷たくて、感情を見せなくて、復讐のために栞里を抱いた怜真が——今、自分のすべてを差し出そうとしている。
栞里の目から、涙がこぼれた。
「[crying]私で——いいんですか?」
怜真が、グラスを置いた。
ゆっくりと、栞里の頬を両手で包む。
「[whispers]君しか、いない」
額が、触れ合った。
あたたかい。
「[crying]私も——」
栞里は、はっきりと言った。
「[crying]私も、あなたのものです」
その瞬間、怜真の唇が優しく重なってきた。
今までのような、支配的なキスじゃない。震えるような、確かめるような口づけ。
──
怜真は、いつもと違った。
まず、栞里の髪を留めていたピンを、一本一本、丁寧に外していく。黒いショートボブが、肩に広がった。
次に、ブラウスのボタン。首元から、一つ、また一つ。
「[whispers]綺麗だ」
鎖骨に、そっと唇が落ちる。
スカートのファスナーを下ろしながら、背中に口づけ。ストッキングを脱がせながら、膝の裏に舌を這わせる。
これまでのような、性急な征服はなかった。ただ——栞里を愛しているという事実だけが、その指先と唇から伝わってくる。
「[soft]あ……ん……」
栞里の口から、自然と吐息が漏れた。
全身が、怜真の口づけで濡れていく。首、胸の谷間、お腹、脚——隅々まで、時間をかけて愛される感覚に、頭の奥がぼうっと痺れていく。
そして、栞里の両脚をそっと開かせると、怜真はその中心に顔を埋めた。
「[whispers]もう、こんなに濡れてる」
彼の熱い舌が、敏感な蕾を捉える。
「[soft]ああっ……や、そこ……!」
腰が跳ねる。舌先がクリトリスを転がすたびに、甘い痺れが全身に走った。温かく湿った感触が、入り口をまさぐり、溢れる愛液をすくい取るように動く。
「[whispers]イっていい。何度でも」
低い声が、すぐ耳元で囁かれた。指がそっと膣の中に入ってきて、子宮の入り口を押し上げながら、クリトリスを舌で強く吸われる。
「[excited]あ、あああっ——!」
目の裏で、光が炸裂した。膣がぎゅうぎゅうと怜真の指を締め付け、腰が浮く。全身がビクビクと痙攣し、止まらない。
余韻に震える栞里の体を、怜真は優しく抱き起こした。
互いに向かい合うように座る。彼のペニスは、もう硬くそそり立っていて、先端からは透明な先走り汁が滲み出ている。栞里はそっと、その熱い幹に指を絡めた。
「[whispers]自分で、入れてみるか?」
「[soft]……はい」
栞里はこくりと頷き、震える手で彼のペニスを支え、自分の濡れそぼった膣口にあてがった。
ぬるり、と亀頭が埋まる感覚。
「[soft]あ……入ってくる……熱い……」
「栞里……すごく、締まる……」
ずぶずぶと沈み込むペニスが、膣内を押し広げていく。奥まで届くと、二人は同時に息を詰めた。最奥を亀頭がノックし、子宮の入り口とキスを交わす。
「[excited]動くぞ」
怜真が下から腰を突き上げ始めた。パンパンと肌がぶつかる小気味良い音が、静かなスイートに響く。
「[excited]ああっ、あっ、すごい、怜真……!」
「もっと呼べ。俺の名前を」
「[excited]怜真!ああっ、そこ、奥にあたってる……!」
栞里が名前を呼ぶたびに、怜真の動きが激しくなる。彼の両手が栞里の腰を掴み、より深く、より速く突き上げた。自分から腰を振る栞里の動きと、怜真の突き上げが混ざり合い、快感が増幅していく。
「[excited]イく——一緒に、イこう」
「[excited]あああっ、イく、イっちゃう——!!」
最奥でペニスが膨張した瞬間——ドクン、と熱い精液が子宮の入り口に直接叩きつけられた。その熱に誘われるように、栞里も二度目の絶頂を迎える。膣が痙攣し、怜真の精液を一滴残らず搾り取ろうとするかのように収縮した。
「はあっ……はあっ……」
長い射精の後、怜真は繋がったまま、そっとシーツの上に倒れ込んだ。
──
行為の後。二人は何度も深く繋がり合い、夜が更けていった。
窓の外が、白み始める。
カーテンの端から、朝日が差し込んで、白いシーツを金色に染めていた。
「……これから先も」
怜真は、シーツの上で横たわる栞里の黒髪を、そっと撫でた。
「隣にいてくれ」
それは、言葉だけなら命令の形だった。でも、その声は——今まで聞いたどんな言葉よりも、優しかった。
栞里は、その胸に頬を当てて、目を閉じる。
規則正しい心臓の音。
「[gentle]ええ——ずっと」
朝日が、部屋を満たしていく。
復讐の夜は、もう終わった。
これから始まるのは——二人で歩いていく、新しい朝。
裸のまま、シーツにくるまって。
二人は、未来の話をした。会社のこと、父のこと、これからのこと——たわいもない、でも、幸せな会話。
窓の外では、東京タワーが、そっと朝の光に溶けていった。