家事支援ロボット「ハチ」は、森田家にやってきて十八年、家族の傍らに立ち続けた。 最初は空調と同じ、あって当然の存在だった。 妻の失踪。幼い息子とふたりきりで向かった長野。房総の海。電気のない山の集落。渋谷の交差点に並ぶ、自分より新しい型番たち——ハチは家族の代わりに旅をし、時に何もできずにただ立ち尽くした。 製造終了。部品供給の打ち切り。処理速度の低下。 「AIは道具であり続けるべきか」——十年以上前に亡くなった、ある技術者が遺した問いだけが、答えの出ないまま家族の中に残った。 そしてある朝、ハチは止まった。 十八年分の記録は、たぶんどこかに残っている。 消えてはいない。 それだけのことが、なぜかとても大事な気がしている。
「【旅するロボット】 ―見つけたかったのは母で、見つかったのは家族だった―」をオーディオドラマ(音声)で無料で聴く — キャラごとの声のフルボイス(AI読み上げ/AI声優/オーディオブック)。
「【旅するロボット】 ―見つけたかったのは母で、見つかったのは家族だった―」をNoveliaのオーディオドラマ(フルボイス)で無料で聴けます。キャラごとに別々のAI音声+ナレーター、感情表現つきの48kHz音声。視聴は無料(AI読み上げ/AI声優/オーディオブック/小説の朗読)。