粟
粟屋 麦
1話 100pt
優等生の仮面をかぶった女子高生・安楽岡花火には、誰にも言えない秘密がある。想いを寄せる相手は、担任教師の鐘井鳴海——かつて「お兄ちゃん」と呼び、結婚を約束した幼い日の初恋の人。決して届かないその想いを胸に秘めながら、花火は完璧な「いい子」を演じ続けていた。 一方、同じクラスの粟屋麦は、色白で整った容姿を持つ人気者。だが彼にも、中学時代の家庭教師だった音楽教師・皆川茜への叶わぬ恋があった。 お互いの秘密を知る二人は、ある「三つの約束」を交わす。お互いを好きにならないこと。どちらかの恋が実ったら関係を終えること。そして——身体的な欲求は、どんなときでも受け入れること。周囲には理想のカップルに見える二人の、偽りの恋人関係。それは寂しさを埋めるための、危うく脆い共犯関係だった。 「クズ」と呼ばれても仕方ない、最低で、ずるくて、それでも止められない本物の恋。桜舞うアマノガワの街で、報われない想いを抱えた少年少女の、切なくも危険な恋の行方を描くラブストーリー。