ダンダダン!呪われし性転換ラブコメ騒動!
オカルト好きギャルのモモと、宇宙人マニアのオタク・オカルンは、心霊スポットでの命がけバトルでおなじみのコンビ。今日も今日とて、捨てられたおもちゃから生まれた呪い『シーメールコレクター』を退治しようとするが、その最後っ屁のドジな呪いがとんでもない事態を引き起こす。モモの目の前で、オカルンが女の子に変身! そしてモモ自身も、まさかの男の体になってしまった!
「えっ……わ、私のアレが……!? ってかオカルン、めちゃくちゃ可愛いんですけど!」
「や、やめろよモモちゃん……そんな服ビリビリの格好で近づくなって!」
さらに学校では、元ヤンのジジが金髪ツインテのギャルになって現れ、みんなのアイドル・アイラちゃんは男装のイケメンと化して女子たちを悩殺。クラスメイトのシラトリくんに至っては、美少女になった自分にまんざらでもない様子で、もう大混乱!
呪いを解くには、一週間以内にシーメールコレクターのコアを破壊しなければならない。だが、慣れない体で過ごす毎日は、ドキドキの連続。着替えにトイレ、お風呂――何もかもがぎこちなくて、くすぐったいハプニングだらけ。
おまけに、元に戻りたい気持ちと、このままで
ダンダダン!呪われし性転換ラブコメ騒動! - 月曜日の大発覚!入れ替わったクラスメイトと古書店の秘密
月曜日の朝。
教室のドアを開けた瞬間、固まった。
「……へ?」
自分の声が低すぎて、まだ慣れない。モモはごほんと咳払いをした。父さんの古い学生服が肩をガチガチに締めつける。
「[whispers]やっぱり、誰もいないな」
まだ朝の七時前だ。誰よりも早く登校したのは、この姿を誰にも見られたくなかったから。
隣を見る。
「……うん」
小さな声だった。
そこに立っているのは、女の子になったオカルンだ。お母さんの白いブラウスを借りて、スカートは安全ピンで留めてる。さらさらの黒髪が、朝日に透けてキラキラ光ってた。
かわいい。
って、なに考えてんだ私は!
「[angry]べ、別にお前のことなんか見てないからな!」
「[sad]ごめん……」
オカルンが小さくなった。違う、そうじゃなくて。でも説明できない。
ドタドタドタドタ!!!
廊下から、大型トラックが突っ込んでくるみたいな足音が響いてきた。
バァン!!
勢いよく開いたドアの向こうに、金髪ツインテールのギャルが立っていた。女子制服がパンパンに張って、今にもボタンが飛びそうだ。
「[angry]おいコラてめえら!なんで俺がこぉんなカワイイ姿になっちまってんだよ!!」
教室がビリビリ震えた気がした。
声と口調は、完全に元ヤンキーのジジだ。でも見た目はどう見てもギャルで、しかもかなりかわいい。ツインテールが怒りでプルプル揺れてる。
「ジジ……お前もか」
モモは自分の野太い声でそう言った。
「[surprised]え、そっちもかよ!」
ジジがモモを指さし、次にオカルンを見た。大きな目がさらに大きく見開かれる。
「[scared]モモが男で……オカルンが女……うわぁぁぁ!」
ジジは頭を抱えて、床をゴロゴロと転がり始めた。
「[crying]かわいい……かわいすぎる……鏡を見るたびに、俺の中の何かが『いいじゃん!』って叫ぶんだよ!」
「[surprised]落ち着けジジ!」
「[angry]落ち着けるか!俺は強面の漢だ!ぬいぐるみ集めるのが趣味だって、誰にも言ってねえのに、この姿じゃもう隠せねえだろ!」
ジジが自分のツインテールを引っ張りながら叫ぶ。かわいいもの好きの趣味が、外見までかわいくなってしまったことで、完全に一致してしまったのだ。
「ぬいぐるみ……」
「[crying]言うなぁぁぁ!」
その時だった。
控えめにドアが開いた。
「[whispers]あの……みんな、ちょっと聞いてほしいことが……」
そこに立っていたのは、長身で涼しげな目元の男——いや、イケメンだった。
誰だ?
そう思ってから、モモはハッとした。そのおどおどした態度。きれいな顔立ちの面影。
「アイラ……?」
「[sad]うん……そうなの……」
学園のアイドルだった白石愛良が、キザなイケメン男子に変わっていた。背が高くなり、肩幅も広がっている。それでも中身は変わらず、恥ずかしそうに俯く仕草は、完全にアイラのものだ。
「[surprised]アイラまで!」
モモの声が裏返った。
廊下から、女子たちの黄色い歓声が聞こえてくる。
「白石くん!どこ行ったの白石くん!」
「イケメンすぎる!ねえ、白石くんって呼んでいい?」
「キャー!振り返った!」
アイラは真っ赤になってドアを閉めた。
「[crying]た、助けて……みんな追いかけてくるの……」
その時、アイラとオカルンの目が合った。
アイラが条件反射で手を振ろうとして、途中でピタッと止まる。
「……あ」
男同士に見えることに気づいたのだ。顔がさらに赤くなる。
モモはその様子を、複雑な気持ちで見ていた。胸の奥がモヤモヤする。
(なんでだろ。アイラがオカルンに手を振ろうとしたのが、なんか……嫌だ)
でも、今はそんなことを考えてる場合じゃない。
「[serious]みんな、屋上に行くぞ」
モモは三人を引き連れて、廊下に出た。まだ生徒はまばらだ。階段を駆け上がり、屋上への扉の前に立つ。
カチリ。
念力を込めると、鍵が外れた。
屋上は誰もいなかった。給水タンクの陰に隠れて、四人は車座になる。
「[serious]昨日、ガラクタ原野で戦った怪異が、シーメール・コレクター。そいつの呪いで、俺たちの体が入れ替わった」
モモは一気に説明した。低い声が風に流されていく。
「[angry]つまりあの人形とやらをぶっ壊さねえと、俺は一生このカワイイ姿か?」
「[serious]そういうことだ」
「[scared]タイムリミットは……一週間。金曜日までに戻さないと、たぶんこのままだ」
アイラが青ざめた顔で言った。
「[whispers]やっと……外側と中身が一致した」
突然の声に、四人が振り返る。
いつの間にか、そこに美少女が立っていた。
白鳥翔太だった。他の四人と違って、まったく動揺していない。それどころか、微かに微笑んでいる。
「白鳥……お前、それでいいのか?」
白鳥はただ首を傾げただけだった。
なにか変だ。でも、今は深く考えてる暇はない。
「[serious]とにかく、情報が必要だ。放課後、商店街のヨミガエリ堂に行く。あそこなら怪異に詳しい人がいる」
授業は散々だった。
担任の轟先生に五人まとめて事情聴取されたが、モモがとっさに霊力で煙を出してごまかした。なぜか轟先生は「まあ、青春だな!」で納得してくれた。体育教師のアバウトさに助けられた形だ。
放課後。
カケヌケ通りは夕暮れの買い物客でにぎわっていた。肉まんの匂いが漂ってくる。モモたち五人は、ひときわ古びた店の前に立った。
『ヨミガエリ堂』
看板の文字はかすれかけていた。
カランカラン。
ドアを開けると、古い紙とインクの匂いが鼻をつく。
「[gentle]ああ、やっぱり来たか」
カウンターの奥から、白髪の老人が顔を出した。店主の蔵前辰巳だ。しわだらけの顔に、鋭い目が光っている。元・民俗学者で、怪異のことを誰よりも知る人物だ。
「[surprised]やっぱり……って、おじいさん、知ってたの?」
「[serious]ああ。昨日の夜、ガラクタ原野から変な霊波が町中に広がったからのう。それに、お前さんたちのその姿を見れば、一目でわかる」
蔵前はカウンターの裏にある隠し階段を下りていった。
五人も慌ててついていく。
地下書庫は、壁一面に本がぎっしり詰まっていた。電球が一つだけ灯って、かび臭い空気が漂う。蔵前は棚から一冊の古いファイルを取り出した。
「[serious]プリティ・マリン——トイ・ルミナス社が1987年に製造した着せ替え人形じゃ。持っていたのは、この町に住んでいた一人の少女だった」
ファイルを開くと、かわいらしい人形の写真が貼ってあった。金髪で、水色のドレスを着ている。
「[sad]少女の家族は、急に引っ越すことになった。泣きながら人形を捨てたそうだ。その悲しみが30年以上かけて、シーメール・コレクターという怪異を生んだ」
「捨てられた悲しみ……」
オカルンが小さく呟いた。
「[serious]呪いを解くには、ガラクタ原野の最深部に埋まった本体——プリティ・マリンの人形を、名前を呼びながら物理的に破壊する必要がある。タイムリミットは金曜日までじゃ」
「[angry]よし、今夜にでも行くぞ!」
モモが立ち上がった。
「[serious]待ちなさい」
蔵前の声が、鋭く五人を貫いた。
「[cold]ガラクタ原野には、ガラクタ・ムシが二百体近く徘徊しとる。今のお前さんたちの体で行くのは無謀じゃ」
蔵前は机の引き出しから、一枚の地図を取り出した。ガラクタ原野の簡易地図だ。
「[scared]俺は無理だ……」
ジジがうつむいた。
「[crying]このギャルみたいな体で戦うなんて、俺には無理だ。人前でこの姿を見せたくねえ」
アイラも俯いている。
「[sad]私、イケメンになっても戦えるわけじゃないし……オカルンくんが女の子になっちゃって、どう接すればいいか……」
アイラの声が震えて、涙が一粒こぼれた。
「[sad]俺、バランス感覚が狂ってて……足手まといになるかもしれない」
白鳥だけが、静かに口を開いた。
「[cold]でも行かないと、このままだよ」
冷たい響きだった。でも、それが真実だ。
「[serious]今夜、もう一度ガラクタ原野へ調査に行く。無理に戦う必要はない。まずは情報を集めよう」
モモは地図を受け取り、仲間たちを見渡した。
ジジはまだ震えていた。アイラは涙を拭っている。オカルンは小さく縮こまったままだ。
守るべきものが、増えた。
今までは、オカルンだけを守ればよかった。でも今は違う。
ジジも、アイラも、白鳥も——みんな、この呪いの被害者だ。
(俺が、リーダーとして守らなきゃ)
男の体になったからじゃない。綾瀬桃として、みんなを元に戻すんだ。
胸の奥が熱くなる。
「[excited]絶対に、元に戻るぞ!」
野太い声が、地下書庫に響き渡った。
空はもう暗くなっていた。
古書店を出ると、星が一つ、かすかに瞬いている。
明日は火曜日。タイムリミットまで、あと四日。
体の変化に戸惑う仲間たちの心には、深い亀裂が走ったままだった。簡単にはいかない。
それでもモモは、拳を握りしめた。