ダンダダン!呪われし性転換ラブコメ騒動!
オカルト好きギャルのモモと、宇宙人マニアのオタク・オカルンは、心霊スポットでの命がけバトルでおなじみのコンビ。今日も今日とて、捨てられたおもちゃから生まれた呪い『シーメールコレクター』を退治しようとするが、その最後っ屁のドジな呪いがとんでもない事態を引き起こす。モモの目の前で、オカルンが女の子に変身! そしてモモ自身も、まさかの男の体になってしまった!
「えっ……わ、私のアレが……!? ってかオカルン、めちゃくちゃ可愛いんですけど!」
「や、やめろよモモちゃん……そんな服ビリビリの格好で近づくなって!」
さらに学校では、元ヤンのジジが金髪ツインテのギャルになって現れ、みんなのアイドル・アイラちゃんは男装のイケメンと化して女子たちを悩殺。クラスメイトのシラトリくんに至っては、美少女になった自分にまんざらでもない様子で、もう大混乱!
呪いを解くには、一週間以内にシーメールコレクターのコアを破壊しなければならない。だが、慣れない体で過ごす毎日は、ドキドキの連続。着替えにトイレ、お風呂――何もかもがぎこちなくて、くすぐったいハプニングだらけ。
おまけに、元に戻りたい気持ちと、このままで
ダンダダン!呪われし性転換ラブコメ騒動! - 木曜深夜の大ゲンカ!最悪のタイミングで罠にかかる!
深夜零時。スマホが枕元で震えた。
『起きて。今からガラクタ原野行くよ』
差出人はモモだ。
「[sad]……今から?」
小さな女の子の手でスマホを掴み、オカルンは目をこすった。時計を見る。零時三分。タイムリミットまで、あと二日を切っている。
「[serious]……わかった」
同じ頃。ジジのスマホが金髪ツインテールの下でブルブル震えた。
「[angry]んだよ、こんな時間に……」
ギャルの顔で寝ぼけ眼をこすり、画面を見る。次の瞬間——
「[scared]マジかよ!?」
ベッドから飛び起きた。ツインテールが爆発している。寝ぐせで金髪が四方八方に跳ね、まるで怒ったタンポポみたいだ。
「[crying]くそ……かわいい顔で叫ぶな、俺……」
アイラはイケメンの顔のまま、とろんとした目でスマホを見つめていた。
「[whispers]……今から、ですか」
夜の闇の中、長いまつげが震える。寝起きで色気が増していることに、本人だけが気づいていない。
白鳥は、既に制服に着替え終わっていた。
「[cold]……行こう」
一言だけ呟き、静かに家を出る。
商店街の街灯も消えた、カケヌケ通りの入り口。
五人が集まった。
オカルンは小さな女の子の顔でフラフラしながら、真っ先に口を開く。
「[serious]……今夜中に片付けようっていうモモちゃんの判断は、理解できる」
「[excited]だろ!」
モモの野太い声が、深夜の商店街に響き渡った——と思った瞬間、声が裏返る。
「……ごほん」
慌てて咳払い。男の体になったのに、気合が入りすぎるとまだ喉が追いつかない。
「[laughing]ぷっ……」
「[angry]笑うな!」
ジジがツインテールを揺らしながら、半眼で睨む。
「[sarcastic]こんな時間に引っ張り出して、もし呪い解けなかったら覚悟しろよ」
文句を言いながらも、ジジの足はモモの次に早く動き出している。
「[serious]よし、行くぞ」
六人は、星明かりだけを頼りにガラクタ原野への道を歩き始めた。
真夏を前にした生ぬるい夜風が、頬を撫でる。
先頭はモモだ。男の体になり、肩幅が広くなった背中を、オカルンは後ろから見つめていた。
——ガサッ。
オカルンの足が、路肩の小石に引っかかる。
瞬間、モモの手が伸びていた。
無言で、ぐいっと引き起こす。
「……ありがとう」
「[angry]別に」
モモは前を向いたまま、ぼそりと言った。
(なんで俺がこんなに焦ってんだ)
胸の内側で、誰かに突っかかっているような気持ち。昨夜だって、作戦が必要だと言ったのはオカルンの方だ。なのに今、真夜中に全員を叩き起こして強行軍をかけているのは、他でもない自分だ。
焦っている。
オカルンの手を握った自分の手が、強張っているのがわかる。
オカルンは、その手の硬さに気づいていた。
(私、足を引っ張ってる)
女の子の体で、思うように動けない自分。モモの手はいつも助けてくれる。でも、今夜はその手が少しだけ震えている気がした。
アイラは、そんな二人をイケメンの横顔で見ていた。
(モモちゃん、オカルンくんを守ろうとしてる)
守ろうとするモモの横顔が、アイラの頭から離れない。オカルンへの恋心と、その横顔への想いが、ぐるぐると混ざり合う。
白鳥は、アイラの複雑な表情に気づいていた。
でも、何も言わない。
ただ前を見て歩き続ける。
ガラクタ原野の入り口に着いた時、ジジが口を開いた。
「[serious]作戦は?」
モモは振り返らずに答える。
「[serious]前回の経験を活かす。俺の霊力で道を開く。一気に最深部まで突っ込む」
その言葉に、オカルンが小さく息を吸った。
「[serious]……それだけじゃ、また群れに包囲される」
「[angry]わかってる。でも時間がないんだ」
「[serious]前回みたいに誰かが孤立したら、今度は助けられない」
オカルンの声は静かだった。でも、その一言一言が、モモの胸に突き刺さる。
「[angry]俺の判断を信じろ!」
モモは振り返り、オカルンを睨んだ。
オカルンは、その目を真っ直ぐに見つめ返す。
「[serious]……信じてないんじゃない」
「[angry]じゃあなんだよ!」
「[serious]モモちゃんが、男の体に慣れようとして無理してるのが——心配なんだ」
その瞬間、モモの中で何かが弾けた。
心配されたくない。弱いと思われたくない。
オカルンを守りたい。
その気持ちが、真逆の言葉に変わって喉から飛び出す。
「[angry]お前こそ女の体でついてこれないくせに、心配かけんな! 俺が全部守るから黙ってついてこい!」
野太い怒号が、ガラクタ原野の闇に吸い込まれていく。
オカルンの顔が、月明かりの下で、ゆっくりと歪んだ。
傷ついた顔。
それから——静かに、口を開く。
「[cold]……モモちゃんに守られなくてもいい」
「[surprised]……あ?」
「[serious]今の体でも、自分でできることを増やしてきた。足手まといだって思ってるなら——」
「[angry]誰が足手まといだなんて——」
「[cold]一人で行けばいい」
その言葉に、モモの体が固まった。
せっかく守ろうとしたのに。
守りたい一心で怒鳴ったのに——全部、逆になってしまった。
「[angry]……じゃあ、そうする! お前なんか知らない!」
言い放って、モモは背を向けた。
くるりとガラクタ原野の中へ、一人で踏み込んでいく。
(違う。そうじゃない)
心の中で叫んでいるのに、唇は固く結ばれたままだ。
オカルンは、その背中を見つめていた。
(言い過ぎた)
そう思うのに、足が動かない。
「[scared]二人とも——!」
アイラが声をかけようと、一歩踏み出した。
その、瞬間。
ゴゴゴゴゴ……。
地面が、低く唸った。
「[surprised]な、なんだ!?」
ガラクタの山が——動く。
廃冷蔵庫が、壊れたテレビが、無数のプラスチック人形が、音を立てて積み重なり始めた。まるで意思を持った生き物のように、壁が、迷路の壁が、次々と天に向かって伸びていく。
シーメール・コレクターが仕掛けていた罠だ。
一行の連携が、完全に崩れた瞬間を狙っていた。
「[angry]くそ、囲まれてる!」
ジジとアイラの間に、廃材の壁が迫り上がる。
「[scared]ジジくん!」
アイラの叫びも虚しく、二人を隔てる隔壁が閉じた。
白鳥は、別の通路へと静かに飲み込まれていく。
「[cold]…………」
抵抗する様子もなく、闇の中に消えた。
そして——
モモとオカルンの間にも、壁が迫る。
「[scared]オカルン!」
モモは叫び、手を伸ばした。
霊力で壁を砕こうとする。青白い光が走る。でも——廃材が、次から次へと補充されて、崩れない。
「[crying]モモちゃん——!」
オカルンの小さな手が、モモの指先に触れた。
触れた、と思った瞬間。
ガシャン!!
壁が、二人を引き裂くように閉じた。
指先の温もりが、消える。
「[angry]オカルン!! どこだ、オカルン!!」
モモは壁を拳で叩いた。ガツン、と鈍い音。男の拳が、廃材の鋭い縁で切れて、血が滲む。
でも、痛みなんて感じない。
それよりも——
(お前なんか知らない)
自分が言い放った言葉が、耳の中で繰り返される。
体の内側が、急速に冷えていく。
「[crying]……違うんだ」
暗闇の中で、絞り出すように呟いた。
「[sad]違うんだ……俺は、お前を——」
最後の言葉は、声にならなかった。
ガラクタに囲まれた暗闇。
モモは一人で、手を伸ばしたまま立ち尽くしていた。
周囲には、いくつもの通路が口を開けている。
どれがどこに繋がっているのか、まったくわからない。
タイムリミットまで、残り四十時間を切っている。
迷宮の仕組みは不明。
仲間は全員バラバラ。
脱出の糸口すら——見えない。
迷宮のどこかで、オカルンもまた、壁に手をついて立ち尽くしていた。
指先に、まだモモの手の感触が残っている。
「[crying]……私も、言い過ぎた」
一人で行けばいい、なんて。
本当は、そんなこと思ってない。
守ってほしい。
でも、迷惑をかけたくない。
二つの想いが、出口のない迷路みたいに絡み合って——オカルンの胸の中で、ぐちゃぐちゃになっていた。
壁の向こうから、誰かの声が聞こえた気がした。
気のせいかもしれない。
でも、オカルンは耳を澄ませる。
闇の中から、かすかに響く。
モモが、自分の名前を呼んでいる——そんな気がした。