異世界に転生したペロリスト魔狼は、超絶チート唾液で合法的にペロペロしたい
ある日、天界の大法廷にて、至高神は一人の被告を呼び出した。男の名はショウタ――人を舐めることに至上の喜びを感じる、ド級の変態である。「貴様、本気でキモい!」と神は断じ、罰としてショウタを異世界へと送り飛ばす。だが、ただの追放ではない。転生した姿は、巨大で恐ろしげな魔狼「ガルム」だったのだ。
神の考えは単純。これだけ怖ろしい見た目なら、人間は逃げ出すか、見つけ次第殺そうとするだろう。誰も舐められるわけがない。
……そう、神は思っていた。
だが、ショウタの変態性は神の想像を遥かに超えていた。「舐められない?なら進化して舐められるようになればいい!」という執念だけで、彼の唾液には奇跡のような効能が宿る――アンチエイジング、解毒、傷や病の治癒、抗菌作用、美肌、消臭、さらには花の香りまで!
さらに、自らのゴワゴワの毛並みを舐め続けた結果、それはふわっふわでシルクのような輝きを放つ、究極のモフモフへと変貌を遂げる!
「よし!このモフモフで人を誘き寄せて、力ずくで舐めまくってやる!」
かくして、欲望と本能のままにショウタの旅は始まる。最初の標的は、森で魔物に襲われていたエルフの少女ミリル
異世界に転生したペロリスト魔狼は、超絶チート唾液で合法的にペロペロしたい - ペロペロで全部解決!——唾液革命と屈辱の完治
白い光が、すべてを塗り潰した。
レグルス・ヴァーンが全魔力を込めた浄化魔法『極光の洗礼』が、ネブリカ自由都市の中央広場を真昼のように輝かせたのだ。光の奔流は唸りを上げ、空気を震わせ、石畳の目地から雑草の一本一本までを照らし出す。
逃げ惑っていた群衆の足が止まった。
「[scared]な、なんて光だ……!」
「[surprised]目が、目が潰れる……!」
クリナーデン騎士団の騎士たちは、盾で顔を覆いながらも、口元に確かな手応えを感じていた。団長の決め技だ。これで終わる。あの、唾液まみれの穢らわしい魔狼も、今度こそ消し飛ぶ。
レグルスは、突き出した両手を握りしめた。白い手袋が、浄化の光を反射して虹色に煌めく。灰色の瞳は、熱に浮かされたように見開かれていた。
「[cold]消え去れ。不浄なる者よ」
彼の額から、一筋の汗が流れる。全力だ。文字通り、持てる魔力のすべてを注ぎ込んだ一撃だった。この広場にペロリルが撒き散らした唾液の痕跡すら、分子のひとつ残らず浄化する——
そのはずだった。
光が、ゆっくりと晴れていく。
視界を取り戻した群衆が、息を呑む音が広場に波紋のように広がった。
そこにいた。
体高五メートルの漆黒の巨狼が、何事もなかったかのように、のっそりと四つ足で立っている。モフモフの毛皮には、白い光の残滓がまるで朝露のようにキラキラとまとわりついていたが、火傷ひとつない。むしろ、ふわふわの毛並みがいつもより輝いて見える。
「[excited]ぷはーっ! いい風呂だったぜ! 体の芯までポカポカだ! ありがとな、レグルス!」
レグルスの顔から、さあっと血の気が引いた。
「[scared]ば、馬鹿な……ありえん……!」
彼の右手が、無意識に左の手袋の皺を直す。しかし指が震えていて、うまくいかない。
ペロリルは金色の瞳を爛々と輝かせた。
牢獄に一日閉じ込められた怒り。そして、目の前の獲物を舐めたいという、全身を貫く衝動。その二つが合わさった瞬間、巨体はS級危険種本来の機動力を解放した。
ドンッ!!
地面を蹴る音が、爆発のようだった。
ペロリルは一瞬でレグルスとの間合いを詰めていた。巨体に見合わぬ、稲妻のような突進。レグルスは悲鳴を上げる間もなく、胸倉ならぬ胸毛を前足の巨大な肉球で掴まれ——
「[excited]とったぁー!」
ドサリ。
レグルスは地面に押さえつけられていた。
五メートルの巨狼の前足の下で、身長185センチの騎士団長が、まるで子供のように組み伏せられている。ぷにぷにとしたピンク色の肉球が、磨き抜かれた銀の鎧をギシギシと軋ませた。
レグルスの目の前、わずか数十センチに、ペロリルの顔があった。金色の両眼が、獲物を見つめる子どものように無邪気に自分を見下ろしている。口の端からは、透明な唾液が一筋、糸を引いていた。
「[scared]は、離せ……離さぬかあああ!!」
レグルスは初めて、本物の恐怖を味わっていた。剣を抜く余裕などない。そもそも、両腕は巨体の下敷きで、指一本動かせない。潔癖症の自分が、路面の石畳に擦り付けられ、しかも唾液まみれの獣の体重を一身に受けている——その事実が、何よりも彼の尊厳を打ち砕いた。
「[excited]よーし、よくも閉じ込めてくれたなあ! お前の肌、すげえガサガサだな。かわいそうに。俺が徹底的にツルツルにしてやるぜ!」
ペロリルは、まるで味わうようにして、ゆっくりと顔を近づけた。
「[crying]やめろ、やめてくれ……!」
ベロォォォン……。
巨大な舌が、レグルスの顎から額までを一気に舐め上げた。フローラルの芳香が、広場の空気に充満する。唾液は驚くほど温かく、そしてねっとりとしていた。
「[scared]うわあああああ!!」
レグルスの絶叫が、広場に響き渡る。しかし、ペロリルは止まらない。今度は頬を、まるでキャンバスを塗り潰すかのように、丹念に丹念に、巨大な舌でペロペロと舐め続ける。鼻筋を舐め、こめかみを舐め、眉間を舐め、そしてもう一度、顎まで戻る。
流れ作業のように執拗で、しかしどこか職人のような動きだった。
約三十秒。
それは、レグルスにとって永遠にも等しい時間だった。
周囲の群衆は、この信じられない光景に、最初は悲鳴を上げていた。しかし——誰かが、クスリと笑った。
「[laughing]なにあれ……騎士団長が、されちゃってる……」
「[surprised]でも、なんか……ワンちゃんが顔を舐めてるだけ?」
恐怖は、いつしか困惑へと変わり、やがて奇妙などよめきへと変わっていった。地面に押さえつけられた潔癖症の男が、巨大なモフモフの狼に顔をペロペロされている。そのあまりにもシュールな状況が、恐ろしさを滑稽さに塗り替えていた。
「[excited]よし! 完璧だ! ツルツルだぜ!」
ペロリルが満足げに前足を離すと、レグルスは慌てて立ち上がった。
彼の顔は赤らんでいた。
それは恥辱のためだけではない。
「[surprised]あ……」
無意識に自分の頬に手を当てた彼の指先が、ツルリと滑った。長年の野戦と苛烈な訓練でガサつき、砂漠のように荒れていた肌が——ありえないほど滑らかになっている。遠目からでも、それがはっきりと分かるほど、顔全体にツヤとハリが生まれていた。
レグルスは、言葉を失った。
クリナーデン騎士団の部下たちも、互いの顔を見合わせている。彼らの肌もまた、先ほどの戦闘でペロペロされ、あるいは唾液の飛沫を浴びて、明らかにツルツルになっていた。一人が、恐る恐る兜を脱ぐ。
「[surprised]俺、ニキビが……消えてる」
「[confused]か、体が軽い気がする……いつもの肩こりが、ない」
広場に、奇妙な沈黙が下りた。
誰もが、目の前の現実をどう解釈していいのか分からず、ただ立ち尽くしていた。恐怖でも歓喜でもない、ぽっかりと空いた空白の時間。
その沈黙を破ったのは、優雅な拍手の音だった。
パチ、パチ、パチ。
「[gentle]素晴らしいですわ。これで、誰の目にも明らかでしょう」
群衆の前に、艶やかな赤紫色の短い髪を揺らして進み出たのは、フェリシア・ミェーレだった。琥珀色の瞳が、知性と欲望の光を静かに宿している。深紅のドレスは一点の汚れもなく、その立ち姿だけで周囲の空気を支配していた。
彼女の後ろには、二人の従者が、分厚い書類の束を抱えている。
「[gentle]皆さま、今ここで起きたことを、冷静に整理してみましょう」
フェリシアは、まるで舞台の主演女優のように、広場をぐるりと見渡した。
「[gentle]まず、事実です。クリナーデン騎士団の方々の肌は、明らかに健康になりました。団長レグルス様ご自身の顔の変化は、遠目にもお分かりでしょう。そして——これです」
彼女が指を鳴らすと、従者が羊皮紙の束を広げた。それは、この一ヶ月の間にペロリルの「被害」に遭ったという人々の証言書類だった。ミェーレ商会が密かに集めていたものだ。
「[gentle]被害届を出された方、全員のカルテです。驚くべきことに、全員が健康になっています。持病の頭痛が消えた方。関節の痛みが引いた方。視力が回復した方。皮膚病が完治した方。報告のある限り、副作用はゼロ。効果の持続は約三日。これのどこが『害獣』なのでしょうか?」
群衆がざわめいた。
「[cold]詭弁だ! あれは穢れそのもの——」
「[gentle]あら、レグルス団長」
フェリシアは、レグルスの言葉を遮った。口元には、完璧なビジネススマイルが浮かんでいる。
「[gentle]あなたは今、ご自身の顔を触られましたね。ガサガサだった肌が、どうなりましたか? 正直に、皆の前でおっしゃってくださいな」
「[angry]……そ、それは……」
レグルスは、言い返せない。
「[gentle]こちらは、歩く医療革命ですわ」
フェリシアは、群衆に向かって宣言した。
「[gentle]ミェーレ商会は、このガルム個体——ペロリルの唾液に含まれる『聖舐の恩寵』の効果を、正式に研究し、活用する権利を有します。これはすでに、ネブリカ自由都市の商人評議会に申請済みでございます。つまり、彼を公的に『害獣』と呼べる法的根拠は、もはやどこにもないのです」
それは、完璧な手のひら返しだった。
昨夜、ペロリルに「下らない」と一蹴された女は、わずか半日で別の作戦を実行に移していた。法的な権利を先に押さえ、公開の場で宣言することで、誰にも逆らえない既成事実を作り上げたのだ。
群衆から、あちこちで拍手が起こり始めた。
「[excited]そうだ! この狼、悪いやつじゃない!」
「[surprised]私、さっき舐められちゃったけど、シミが薄くなってる……!」
もはや、ペロリルを害獣と呼べる空気ではなかった。レグルスは、その場に立ち尽くすしかない。部下たちも、剣を収めている。戦意は、完全に消失していた。
レグルスは、背を向けた。
負けたのだ。すべてに。
「[cold]……引き上げる」
精一杯の虚勢を込めた声は、しかし、掠れていた。部下たちに背を向け、広場の出口へと歩き出す。その足取りには、来た時のような自信と規律は、微塵もなかった。
——その時だった。
ふと、左腕の袖が捲れていることに気づいた。ペロリルに組み伏せられた時に、破れたのだろう。
レグルスは、自分の左腕を、初めて見るもののように見つめた。
あった。
ずっと、妹と同じ病で苦しんできた不潔由来の皮膚病。手袋で隠し、誰にも見せなかった、あの硬く荒れた皮膚が——嘘のように消えている。ただのツルツルとした健康な肌があった。
彼は、動きを止めた。
数秒間。
その腕を、じっと見つめる。指先で恐る恐る触れてみる。温かい。痛くない。ザラつかない。
灰の瞳が、わずかに揺れた。
そこには、憎しみと、感謝にならない感謝と、悔しさと、そして、もしこれで治るのなら妹を連れてくればよかったのかもしれないという、複雑すぎる感情が、濁流のように渦巻いていた。
しかし、結局、何も言わなかった。
レグルス・ヴァーンは、口を固く結んだまま、背を向けて歩き出す。彼がペロリルを「害悪」と、心の底から断じ切れなくなったことは、その背中を見れば誰の目にも明らかだった。
クリナーデン騎士団は、音もなく広場から撤退していった。
騒動が終わった後の広場で、ミリルはぐったりと石畳に座り込んでいた。
フードは脱ぎ捨てられ、長い銀髪が疲れ切ったように地面に広がっている。エメラルドグリーンの瞳は、ぼんやりと暮れゆく空を見つめていた。
(なんなの、今日は……)
自分が今日したことを、思い返す。
牢獄で、唾液を遠隔操作する練習に明け暮れたこと。処刑台で、全魔力を使って拘束具を溶かし、処刑を妨害したこと。群衆に紛れて逃げ、ペロリルと一緒に広場を逃げ回ったこと。
(私……ペロリルのために、体が勝手に動いてた)
「[sad]いつから……私は、こんな存在を相棒と思うようになったのかしら……」
頭を抱えて、うつむく。清潔が何より大切なエルフが、変態の魔狼の相棒? そんなの、セルヴァーン樹公国の誰に話しても信じてもらえない。
「[excited]おーい、ミリル! お前のおかげで脱出できたぜ! 最高だ!」
巨体が、ドスドスと駆け寄ってくる。ふわふわの尻尾が、嬉しそうにぶんぶん振られていた。
「[serious]ご褒美に、お前も今からペロペロしてやる!」
「[angry]結構ですっ!!!」
ミリルは、地面を蹴って立ち上がると、全力でペロリルの鼻面に蹴りを入れた。
ガスッ。
「[surprised]いてっ」
ペロリルは前足で鼻を押さえたが、痛そうな素振りはあまりない。ミリルの顔が、ほんの少し——怒りだけではない理由で——赤くなっている。
(……でも、感謝の気持ちは、少しだけ、伝わった)
認めたくはないけれど。彼なりの精一杯の「ありがとう」だったのだ。
ミリルは、そっぽを向いた。
「[cold]次にやったら、その鼻、もっと強く蹴りますからね」
「[excited]へへ、怖いなあ! じゃ、次はもっと良いご褒美を考えないとな!」
「[angry]ご褒美の概念を根本的に見直しなさい!」
二人の間の空気が、少しだけ軽くなる。
ペロリルは、夕暮れの空に向かって高らかに宣言した。
「[excited]よーし! もっといろんな種族をペロペロしたい! 次は獣人か、ドワーフか! 全種類制覇だぜ!」
そして、まだ座り込んでいたミリルの首根っこを、前足で軽く持ち上げた。乱暴ではなく、子猫を運ぶような仕草で。
「[angry]自分で歩けます! 離しなさい!」
「[excited]次の街まで、歩くのめんどくせえしな! 俺が運んでやる!」
「[angry]結構です!!」
夕暮れのネブリカ自由都市の大通り。
五メートルの巨狼に首根っこを持ち上げられ、じたばたと暴れながら運ばれていく銀髪のエルフの少女。その光景は、あまりにもシュールで、しかし見る者に不思議な温かさを感じさせた。
二人の背中が、夕日に照らされながら、次の街道へと消えていく。
広場の隅。
その光景を、フェリシア・ミェーレは一人、柱の陰から見送っていた。
「[gentle]ええ、そうですわ。これは、何としても手に入れなければ」
彼女は、懐から新しい羊皮紙を取り出した。開くと、そこには何十もの都市名と、各地の大物貴族、有力商人の名前がびっしりとリストアップされている。それぞれの名前の横には、細かい文字で「生け捕り用の囮案」「提携交渉案」「脅迫に使える弱み」などと書き込まれていた。
彼女は、口元に不敵な笑みを浮かべると、羊皮紙をパタリと閉じた。
「[whispers]次は、私が直接動く必要があるわね。お楽しみは、これからですわ」
琥珀の瞳が、最後の夕日を受けてギラリと輝く。
彼女は静かに広場を後にし、ネブリカの雑踏の中へと消えていった。
こうして、ペロリルを巡る新たな策謀の幕が、静かに上がろうとしていた。