異世界に転生したペロリスト魔狼は、超絶チート唾液で合法的にペロペロしたい
ある日、天界の大法廷にて、至高神は一人の被告を呼び出した。男の名はショウタ――人を舐めることに至上の喜びを感じる、ド級の変態である。「貴様、本気でキモい!」と神は断じ、罰としてショウタを異世界へと送り飛ばす。だが、ただの追放ではない。転生した姿は、巨大で恐ろしげな魔狼「ガルム」だったのだ。
神の考えは単純。これだけ怖ろしい見た目なら、人間は逃げ出すか、見つけ次第殺そうとするだろう。誰も舐められるわけがない。
……そう、神は思っていた。
だが、ショウタの変態性は神の想像を遥かに超えていた。「舐められない?なら進化して舐められるようになればいい!」という執念だけで、彼の唾液には奇跡のような効能が宿る――アンチエイジング、解毒、傷や病の治癒、抗菌作用、美肌、消臭、さらには花の香りまで!
さらに、自らのゴワゴワの毛並みを舐め続けた結果、それはふわっふわでシルクのような輝きを放つ、究極のモフモフへと変貌を遂げる!
「よし!このモフモフで人を誘き寄せて、力ずくで舐めまくってやる!」
かくして、欲望と本能のままにショウタの旅は始まる。最初の標的は、森で魔物に襲われていたエルフの少女ミリル
異世界に転生したペロリスト魔狼は、超絶チート唾液で合法的にペロペロしたい - ようこそネブリカへ!お掃除騎士と金の亡者に挟まれた日
ネブリカ自由都市へ続く街道を、二つの影が歩いていた。
一つは、体高五メートルに迫ろうかという漆黒の巨狼。もう一つは、その隣を歩く銀髪のエルフの少女だ。
「見えてきたぜ、ネブリカだ!あの城壁、でっけえなあ!」
ペロリルは金色の瞳を輝かせ、ぶんぶんと尻尾を振った。街道の石畳を踏みしめるたび、ピンク色の肉球がぷにゅっと音を立てる。
「はあ……また何か騒ぎを起こさなければいいのですが」
ミリルは深いため息をついた。森を出てから五日。彼女のエメラルドグリーンの瞳には、疲れの色が濃く浮かんでいる。道中では何とかペロリルを抑えてきたが、街に着けばどうなるか。想像するだけで頭が痛かった。
しかし、街に近づくにつれ、ミリルの表情は困惑に変わった。
なにかが、おかしい。
街道の両脇に、白い鎧の騎士たちが整列している。その数、優に八十人は超えている。城壁の上には、見慣れない旗がずらりと並んでいた。清浄なる盾と剣の紋章が、午後の陽射しを受けて冷たく輝いている。
「なんですか……この数は」
ミリルが足を止めた、その時だった。
――ザッ。
城壁の中央、高台の上に一人の男が立った。短く刈り込んだ黒髪に、銀のメッシュが混じっている。鋭く冷たい灰色の瞳が、ペロリルを正確に捉えた。
クリナーデン騎士団団長、レグルス・ヴァーン。
彼は右手を上げると、拡声魔法の魔導具を口元に寄せた。
「――止まれ、ガルム個体・ペロリル。そして、そのエルフの娘よ」
重く、鉄のような声が、街全体に響き渡る。
「我々はクリナーデン騎士団。衛生と倫理を重んじる者たちである。そなたのような穢れた存在が、清潔なこの街の敷石を踏むことは、断じて認められぬ」
レグルスは無意識のように、手袋をはめた右手で左手の手袋を直した。その動作はやけに几帳面で、隣に控える副官が、彼の鎧に消毒液をシュッと噴霧する。
「即時退去せよ。さもなくば、実力をもって捕獲する」
ミリルの顔から、すっと血の気が引いた。
「クリナーデン騎士団……あの、ペロリルを目の敵にしているっていう」
こんな大部隊で待ち伏せているとは思わなかった。装備はどれも新品同様に磨き上げられ、隊列には一分の隙もない。
――本当にまずい。
しかし、当のペロリルは、ふわふわの尻尾を揺らしながら城壁を見上げていた。
「すっげえ!お前ら、そんなに大勢で俺に会いたかったのか!よし、全員ペロペロしてやるからな!」
「ち、違います!包囲されてるんです、分かりますか!?」
ミリルが必死に叫ぶが、ペロリルはすでに城門の方へ駆け出している。
その時だった。
「まあまあ、お待ちなさいな」
艶やかな声が、二人を呼び止めた。
いつの間にか、正門の脇に一人の女性が立っている。艶のある短い赤紫色の髪に、魅惑的な琥珀色の瞳。年の頃は四十前後だろうか。高級そうな深紅のドレスをまとい、微笑みを浮かべているが、その目は獲物を値踏みするように細められていた。
「こんな所で立ち往生とは、お困りのようですわね。私、ネブリカの商人でして。ミェーレ商会のフェリシアと申します。よろしければ、騎士団の目を避ける抜け道をご案内しますわ」
ミリルは驚いてフェリシアを見た。
(どこかで見た顔……確か、ネブリカで大きな美容商会を経営している人だわ)
「それは、ありがたいですが……なぜ私たちに?」
フェリシアは上品に笑った。だが、その瞳の奥は笑っていない。
「ええ、困っている方を放っておけませんもの。ささ、こちらですわ」
ペロリルは、フェリシアの顔をじっと見つめた。
「お前、なんかガサガサしてるな!俺がペロペロしたら、すっごいツヤツヤになるぜ!やっていいか?」
フェリシアの笑顔が、一瞬だけ凍りついた。
「ふふ……ご冗談がお上手ですのね」
彼女は内心で舌打ちをしていた。これは動く金貨の山だ。こんな下品な獣に舐められるなど、御免こうむる。しかし、捕獲のための撒き餌としては最高だ。
(この毛皮を売れば、金貨何百枚になるかしら……いえ、唾液の方がもっと価値がある)
その隙に。
ペロリルは、するりとフェリシアの横をすり抜けていた。
「あっ、待ちなさい!」
フェリシアの声も虚しく、巨体は信じられないほどの加速で、中央広場へと飛び込んでいく。
そこには、騎士団の非常線を見ようと集まった野次馬たちが、ごった返していた。
「開店記念!ペロペロ無料サービスだーー!!モフモフ保証付き!!」
ペロリルの雄叫びが広場に木霊した。
最初の獲物は、太った中年の男性商人だ。
「ひ、ひええっ!?」
ペロリルは前足で商人を軽く押し倒すと、その顔面を巨大な舌で――ベロォォン!!
「やめ、やめてくれええ!!気持ち悪い!!」
商人は涙目で暴れたが、ペロリルの力には敵わない。耳の裏、首筋、そして頭のてっぺんまで、ねっとりと舐め回される。三十秒後。
「あ、あれ……?肌が……つるつるに?」
立ち上がった商人の顔は、シミ一つなく、驚くほどツヤツヤになっていた。
その光景を見た野次馬たちの反応が、真っ二つに割れる。
「なにあれ、キモっ!逃げろ!」
「え、待って……あの人の肌、すごく綺麗になってない?」
「俺も!俺もやってくれ!」
逃げ惑う人、興味津々で近づく人、恐怖で固まる人。広場は、瞬く間に阿鼻叫喚のカオスと化した。
「やめてくださいっ!やめろー!!」
ミリルが必死に追いかけるが、ペロリルの巨体とスピードに全く追いつけない。彼女はただ、後ろから「すみません!すみません!」と叫びながら走り回るしかなかった。
「次はお前だ!」
ペロリルは七人目の獲物、通りすがりの老婆を捕捉し、そのシワだらけの顔を舐め始めた。
城壁の上で、レグルス・ヴァーンの口元が、ピクリピクリと引きつっていた。
「……やはり、話し合いなど無意味であったな。あれこそが、穢れの権化。清浄なる世界への冒涜だ」
彼は、震える右手を高く掲げた。
「全隊、『清浄の枷』を起動せよ!!今すぐこの広場の汚濁を浄めるのだ!!」
号令一下。
広場の四隅に潜んでいた騎士団の特殊部隊が、一斉に魔法拘束器を起動した。床に置かれた筒状の装置が唸りを上げ、魔力の光が走る。
――バシュンッ!!!
複数の白い網が、四方八方から中心点へ向けて、音速で打ち出された。
「お?なんだこれ――」
老婆をペロペロし終え、顔を上げたペロリルの視界が、網で埋まる。
モフッ。
全方位からの完全包囲網。
漆黒の毛皮が、白い特殊繊維の網に覆われていく。網には魔法陣が刻まれており、触れた瞬間、魔力が強制的に抑制される。
ペロリルの巨体が、ぐらりと傾いだ。
「え、ちょ、これ動けな――」
ドォン!!
極上のモフモフが、地面に叩きつけられた。
「確保!!動くな!」
十人以上の騎士が駆け寄り、網の上からさらに鎖でグルグル巻きにする。
「マジか……これ、全然解けない。本気のやつだ……」
ペロリルの金色の瞳に、初めて困惑の色が浮かんだ。
「あなたもです!危険獣の同行者として、共犯の疑いがあります!」
「な、なんで私まで!?私は止めてたんですよ!ちゃんと見ててください!」
ミリルが抗議するが、騎士たちは無言で彼女の細い手首を縛り上げる。
(なんて理不尽な……でも、こうなることは分かっていたはずだわ)
ミリルは唇を噛みしめ、ただ俯いた。
広場の混乱が、静寂に変わる。
住民たちは、怖々と、拘束された巨狼とエルフの少女を見つめていた。
レグルスが、ゆっくりと城壁から階段を下りてくる。
彼は、無力化されたペロリルの目の前に立った。
その灰色の瞳には、怒りと、それ以上に――何か古い、痛みのような感情が渦巻いている。
「……お前のような穢れた存在が、清潔な街を汚すことなど、決して許されない」
彼の手袋をはめた右手が、無意識に、服の袖の下を押さえた。その一瞬の動作を、ミリルだけが見ていた。
(あの人……もしかして)
「なあ、お前の顔、ガサガサだな。すごく舐めたい。舐めさせてくれよ」
ペロリルのその一言に、レグルスの全身が震えた。
「……絶対に、絶対に許さない。貴様だけは」
彼は、奥歯を噛み締めながら、背を向けた。
「連行しろ。この二名は、明日、公開処刑に処す」
――公開処刑。
その言葉に、広場がざわついた。
二人は、清潔に磨き上げられた石造りの施設へと引きずられていく。牢獄の重い鉄扉が、ギギギ……と閉まる音が、やけに耳に残った。
「ちゃんと説明する権利があります!私は無実です!」
ミリルの叫び声が、石壁に反響して、遠ざかっていく。
その姿を、誰にも気づかれないように見つめる影が一つ。
フェリシア・ミェーレは、口元を手で隠しながら、小さく笑っていた。
「ふふ……捕まったのね。上出来ですわ」
彼女は隣に控える部下に、小声で命令する。
「手はず通り、収監施設の掃除係にうちの者を潜り込ませなさい。まずは、床に落ちた唾液のサンプルを採取するのです。商品価値の分析が先決ですわ」
「御意」
夜の帳が、ネブリカ自由都市を包み込む。
誰もいない広場には、清浄の枷の残骸だけが、月明かりに照らされて、冷たく輝いていた。Noveliaとは?
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