異世界に転生したペロリスト魔狼は、超絶チート唾液で合法的にペロペロしたい
ある日、天界の大法廷にて、至高神は一人の被告を呼び出した。男の名はショウタ――人を舐めることに至上の喜びを感じる、ド級の変態である。「貴様、本気でキモい!」と神は断じ、罰としてショウタを異世界へと送り飛ばす。だが、ただの追放ではない。転生した姿は、巨大で恐ろしげな魔狼「ガルム」だったのだ。
神の考えは単純。これだけ怖ろしい見た目なら、人間は逃げ出すか、見つけ次第殺そうとするだろう。誰も舐められるわけがない。
……そう、神は思っていた。
だが、ショウタの変態性は神の想像を遥かに超えていた。「舐められない?なら進化して舐められるようになればいい!」という執念だけで、彼の唾液には奇跡のような効能が宿る――アンチエイジング、解毒、傷や病の治癒、抗菌作用、美肌、消臭、さらには花の香りまで!
さらに、自らのゴワゴワの毛並みを舐め続けた結果、それはふわっふわでシルクのような輝きを放つ、究極のモフモフへと変貌を遂げる!
「よし!このモフモフで人を誘き寄せて、力ずくで舐めまくってやる!」
かくして、欲望と本能のままにショウタの旅は始まる。最初の標的は、森で魔物に襲われていたエルフの少女ミリル
異世界に転生したペロリスト魔狼は、超絶チート唾液で合法的にペロペロしたい - 天界追放、されど魂はペロペロ——魔狼ガルム、モフモフへの道
「被告人、ショウタ! 前へ!」
雲の上だ。白くてふわふわした雲が、ずっとずっと下の方に見える。目の前には、やたらとでっかい石造りの建物があって、その中に俺は立っていた。
ああ、なるほど。これが天界の大裁判所ってやつか。
人間だった時の名前はショウタ。二十二歳、職業ペロリスト。なんでここにいるかって? そりゃまあ、ちょっとしたペロペロのしすぎだ。犬、猫、通りすがりの人間、道端の彫像、公園のベンチ、ついでに自分の家の壁まで。なんでも舐めてきた。
だって、舐めたいんだから仕方ないだろ。
「これを見よ」
法廷の真ん中で、どでかい水晶玉がキラリと光った。そこに映し出されるのは、今までの俺のペロペロ記録だ。
公園で犬を追いかけて舐めている映像。猫を抱きかかえてはむはむしている映像。道行くおっさんの腕をいきなり舐めて悲鳴をあげられている映像。彫像に顔をうずめてペロペロしている映像。
神々がざわつく。
「なんという変態だ……」
「わたくし、裁判官を五千年やっておりますが、ここまでの魂は初めてですわ」
最高神が、額に手を当ててため息をついた。
「判決を言い渡す。被告人ショウタは、種族の尊厳を著しく損なう行為を繰り返した罪により、魔狼ガルムへの転生、および異世界ヴェルダ・フォーリアへの追放とする」
法廷がシンと静まり返る。
魔狼ガルム。俺、聞いたことあるぞ。めちゃくちゃでかくて凶暴な化け物だ。普通なら恐怖でひれ伏すような判決なんだろうな。
でも。
「えっ、でかい身体になれるの!? しかも毛皮! 毛皮ってモフモフのやつ!?」
神々が絶句した。
「……なにを言っておる」
いやだってさ。毛皮だよ毛皮。舐め放題じゃないか。しかも自分の身体だ。自分の身体をペロペロして何が悪い。法律的にも完全にセーフだ。
「……ガルムの毛皮はゴワゴワだ。そして人間はお前の姿を見たらすぐに討伐するだろう」
ふーん。ゴワゴワか。
でも、舐めればどうにかなるだろ。
「舐める! 自分を舐める! 絶対モフモフにしてやるからな!!」
「聞いておらんな、こいつは」
神が手をかざすと、俺の視界がぐにゃりと曲がった。身体が引き裂かれるみたいな感覚。なんかすごいスピードで落ちていく。
暗い。
暗い暗い暗い。
そして。
――――ドスン。
**二日後。**
「……いてて」
目を開けたら、森の中だった。
いや、森っていうか、でっかい木がやたらと生えてる場所だ。見上げても上が見えない。木の枝と葉っぱが何層にも重なっていて、空がほとんど隠れてる。霧が濃くて、空気がやけに重たい。なんかこう、体にまとわりつくみたいな感じ。
これが異世界か。
ゆっくりと立ち上がる。立ち上がったら、自分の目線がやたらと高いことに気づいた。近くに生えてる草が、妙に小さい。木と比べても、なんかデカさが違う。
そうか、俺がでかくなったのか。
前足を見た。黒い。爪がやたらと鋭い。肉球がピンク色でぷにぷにしてる。
「でかい! すっげえでかいぞ!!」
体高は二・四メートル、体長は三・八メートルってとこか。森の巨木が、なんか普通の木ぐらいに見える。圧倒的なサイズ感だ。
で、毛皮は……。
「……ん?」
自分の背中を振り返ってみる。漆黒の毛皮。それはいい。でも、触ってみてわかった。
ゴワゴワだ。
めちゃくちゃゴワゴワ。洗ってないぞうきんかよ。触ると手触りが悪すぎて鳥肌が立つ。っていうか、毛が一本一本硬くて太くて、なんかこう、針金を束ねたみたいな感触だ。
「あの神様、これマジでゴワゴワじゃないか……騙したな……」
でも、悲しんでる暇はない。
俺の頭の中で、一つの考えが浮かぶ。
**これを舐めたらどうなるんだ?**
考えるより先に、俺は自分の前足を舐め始めていた。
ペロリ。
舌が毛に触れる。ゴワゴワの感触を噛みしめるように、ゆっくり、丁寧に。一回じゃ足りない。もう一回。さらにもう一回。
俺はペロリストだ。他人を舐めるのが仕事だ。でも今は他人がいない。なら、自分を舐めるしかない。自分を舐めて、自分を極上のペロペロ対象に変えるんだ。
ペロリ、ペロリ、ペロリ。
舐め続ける。
一時間ぐらい経った頃だろうか。
「……あれ?」
舐めていた前足の先端、毛がちょっとだけ柔らかくなってる。触ると、ほんの少しだけふわりと指に絡む。さっきまでの針金みたいな感触が、ちょっと薄れてる。
「きた! きたきたきた!!」
効果あるんだ。舐めることで毛が柔らかくなる。俺の唾液がなんか反応してる。
それから俺は、文字通り寝る間も惜しんで舐め続けた。
一日目。
自分の足の先から舐め始めて、それがちょっとずつ広がっていく。舐めたところだけ、毛がふわりと柔らかくなって、触った感触が明らかに違う。おっ、効果出てきた! やっぱり舐めれば変わるんだ。
俺は大喜びで、ますます熱心に舐めた。前足、後ろ足、尻尾のつけね。届く範囲は全部だ。身体をくねらせて、無理やりな体勢で背中まで舐める。首がつりそうになりながらも、舐め続ける。
ペロペロペロペロ。
舐めれば舐めるほど、なんか唾液の効果がパワーアップしてる気がする。この世界にはマナ潮流ってやつがあって、大地に魔力が流れてるんだって。なんか、その魔力と俺の唾液が反応してるらしい。
今はまだわかんないけど、たぶんそういうことだ。舐めながら、そんなことをぼんやり考えた。
自分を舐めつつ、どうやってこの世界の仕組みを理解するか。それが変態の醍醐味ってやつだ。
二日目。
変化がはっきりと現れ始めた。
舐め続けた毛が、明らかにサラサラになってきてる。光を反射して、なんかキラキラしてきた。漆黒の毛が、まるで夜空の星を閉じ込めたみたいに、淡くキラキラと輝き始める。
それだけじゃない。
森の中で歩き回って、小枝でちょっと切った傷があったんだ。でもそれも、舐めたらすぐに消えた。舐めてから三秒も経たないうちに、傷口がふさがって、その痕もなくなった。
なんか、俺の唾液に変な効果がついてきてるぞ。
殺菌、抗菌、治癒。そしてアンチエイジング的な何か。舐めた部分の毛が、舐める前より明らかに若々しいっていうか、ハリがあるっていうか。
「すげえ! 俺の唾液、なんか進化してる!!」
さらにさらに舐める。もう狂ったように舐めまくる。森の中で、巨大な黒い狼が自分の足を舐めたり背中を舐めたりくねくねしたりする姿は、傍から見たらかなり異様だったと思う。
でも俺は止まらない。
三日目。
ついに、全身の七割以上を舐め終えた。
「……おお」
俺は自分自身を見下ろして、声を失った。
本気で言葉を失った。
漆黒の毛皮はそのままなのに、まるで星の光を反射するみたいに、全身がキラキラと輝いてる。触ってみると、もう信じられないぐらい柔らかい。指が毛に吸い込まれるみたいに、ずぶずぶと沈み込む。
フワッフワだ。
そしてモフモフだ。
触ると、あまりの柔らかさに記憶が飛びそうになる。ずっと触っていたくなる。顔をうずめたくなる。
これが、聖舐の恩寵——ペロ・ベネディクト。
俺の唾液に宿った、七つの効果。アンチエイジング、デトックス、傷や病気の治癒、殺菌と抗菌、美肌。あとは消臭と、なんとなくフローラルな香りまでついてる。
「完璧だ!! 俺は完璧になったぞ!!」
その瞬間、ガサガサと茂みが揺れた。
振り返ると、そこには大型の狼型の魔物が三頭、こっちを見ている。グリンファングっていうやつだ。同族の匂いに引き寄せられたんだろう。俺を仲間だと思って近づいてきたんだ。
普通ならパニックになる場面だ。
でも、俺は違う。
「ちょうどいい実験台が来たー!!」
俺は先頭のグリンファングに飛びかかった。前足で押さえつけて、そのまんま全身を丹念にペロペロし始める。
グリンファングが混乱して、ギャインギャインと鳴き始める。でも俺は止めない。むしろ、より丁寧に、じっくりねっとりと舐め上げていく。
十秒後。
グリンファングの毛並みがつやつやになって、以前からあった傷がきれいに消えた。そしてなんとなく、気持ちよさそうな顔をし始めた。
「お、お前も気持ちいいのか! よかったな!」
俺は残りの二頭も片っ端から捕まえてペロペロした。一頭が逃げ出そうとしたけど、俺の足は速い。すぐに追いついて、がっちりホールドしてペロペロだ。
十分後。
森の一角に、でっかい狼が三頭、きれいに整列して座っていた。全員がモフモフになって、目がトロンとしている。困惑してるけど、なんか悪い気はしなさそうだ。
そして周りには、なんとなくフローラルないい香りが漂ってる。
「よし! 俺の唾液は本物だ! これはいけるぞ!!」
グリンファングたちは、しばらくポカンとしていたけど、やがてバラバラと森の奥に戻っていった。最後にこっちを振り返った顔が、なんか「意味わからん」って感じで笑えた。
**その夜。**
俺は翠央の大森海の北の端まで来ていた。
ここが異世界ヴェルダ・フォーリア。翠央の大森海は、東西八百キロにも広がるでっかい原生林で、マナの霧が濃くて危険な魔物がいっぱいいる場所だ。普通の人間なら、絶対に足を踏み入れないような場所だろう。
森の切れ目から、遠くに明かりが見える。
街だ。
街道沿いにぽつぽつと灯りがともってる。あれがたぶん、ネブリカ自由都市の方角だ。大陸中央に位置する中立の都市で、商業と冒険者の拠点になっているって話だ。
あの神が言ってた。
ガルムはS級危険種で、ペルグリム連盟っていう冒険者の組織が討伐対象に指定してるって。人間は俺を見たらすぐに討伐しようとするだろうって。
「……まあ、討伐されそうになったら逃げればいいか」
それより、今は大事なことがある。
俺のモフモフ毛皮。これを見たら、誰だって触りたくなるだろ。触りに来た瞬間に舐める。完全に合法だ。無理やりじゃない。向こうから来たんだ。
合法ペロペロ。
完璧な作戦だ。
「よし、行くか」
夜の闇の中を、巨大な黒い狼が歩き始める。漆黒の毛皮が星明かりを反射して、キラキラと輝いている。尻尾がふわふわと揺れて、なんとなくフローラルな香りが夜風に乗って流れる。
俺の顔は、たぶんニヤニヤしてる。
これから街に行って、人間をペロペロするんだ。楽しみだ。楽しみすぎてしょうがない。
森の闇の中、遠くで街の灯りがチカチカと瞬いている。まるで俺を呼んでいるみたいだ。
「待ってろよ人間ども。合法ペロペロの時間だ」
そうつぶやいて、俺は夜の森を進んでいった。
巨大な黒い狼が、邪悪で無邪気な笑みを浮かべて、街に向かって歩いていく。
翠央の大森海の奥深くから、新しい伝説が生まれようとしていた。
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