鉄の墓標に花を ―ガーベラは涙を知らない―
【鉄の墓標に花を ―ガーベラは涙を知らない―】
かつて軍事国家が推進した『戦場生命体計画』により、大地そのものが意思を持ち人を喰らう魔境と化した崩壊国家の禁域。各国の探査隊は、この地に眠る伝説の『神機核』を求め、消息を絶ち続けていた。
その死の領域で、ただひとり生き延びてきた少女がいる。紅蓮の強襲機動殻〈ガーベラ・テトラ〉と共に在る、イリス・クロムウェル。彼女こそ、その禁忌の計画から生まれた実験体だった。自らを兵器と認識しながら、人間として認められたいと渇望する矛盾。戦闘時には制御不能な戦闘本能が暴走し、自らが引き起こす殺戮に吐き気を催しながらも、侵入者を迎撃し続ける。そうする以外に、生き方を知らなかったからだ。
ある日、精鋭探査部隊を率いるエースパイロット、カイン・ラスフォードが彼女の前に現れる。蒼穹の機動殻とガーベラ・テトラは、互角の死闘を繰り広げる。だが戦いの中、カインだけがイリスの深奥の孤独を見抜き、通信越しに問いかけた。「何のために戦うんだ」と。その言葉が、凍てついた彼女の心を砕く。
敵対しながらも近づいていく二人を嘲笑うかのように、禁域の大地が蠢き始める。疑似生命体
鉄の墓標に花を ―ガーベラは涙を知らない― - 廃墟に咲く花、零れる涙
雨は、もう上がっていた。
灰色の雲が切れ、久しぶりに見る青空が、廃墟の隙間から覗いている。だけど、空気はまだひどく冷たかった。吐く息が白く濁る。
イリス・クロムウェルは、旧ゼルヴィア第7研究施設の崩れかけた格納庫で、ただ一人、膝を抱えていた。
ガーベラ・テトラの左肩装甲が、深くえぐれている。前の戦闘で、あの漆黒の機体——シュヴァルツファルケに付けられた傷だ。彼女の細い指が、損傷した装甲の縁をそっとなぞる。冷たい。自分の心臓のように、冷たい。
(あのパイロットは、なぜ戦いをやめた)
頭の中で、あの声がこだまする。
『お前は、なぜ戦う』
初めてだった。敵に、そんなことを問われたのは。
『私に、選択肢はない』
震える声で、そう答えた自分が、ひどく滑稽に思えた。選択肢がないなら、なぜ震えるのか。兵器なら、なぜ心臓が早鐘を打つのか。
「……考えても、無駄だわ」
彼女は立ち上がった。小柄な体が、巨大なガーベラ・テトラの足元で、一層小さく見える。首に埋めたリンクハーネスの端子を外し、無造作に垂らしたプラチナブロンドのショートヘアが、冷たい風に揺れる。
彼女は、格納庫の隅に積まれた工具箱に向かった。パーツを交換するために。
ガーベラ・テトラを直さなければ。またすぐに、敵は来る。
それが、彼女の役割だから。
——はず、なのに。
指が、工具を掴む前に止まった。
違う、と思った。頭では分かっている。それをしなければ、次は自分が死ぬだけだ。なのに、なぜか、体が動かない。
(もう、戦いたくないのか)
そんなはずはない、と首を振る。私は兵器だ。戦うために生まれた。それ以外に、生きる術はない。
それなのに。
あのパイロットの言葉が、棘のように刺さったままだ。
——その時だった。
がしゃり。
格納庫の入り口、崩れたコンクリートを踏む足音がした。
イリスの全身が硬直する。紫がかった灰色の瞳が、すっと細められた。侵入者。この場所を知っているのは、自分以外にいないはずだ。
彼女は音を立てずに工具箱の陰に身を潜めると、腰に提げたコンバットナイフを引き抜いた。心臓が、早鐘を打つ。
(来るな)
心の中で呟く。今の私は、機体に乗っていない。無防衛だ。殺されるかもしれない。
——殺される?
その言葉に、自分の心が奇妙に反応した。怖くない、と言えば嘘になる。でも、それ以上に。
(終われるなら、それでもいい)
そんな考えが頭をよぎり、彼女は唇を噛んだ。違う、まだ、死にたくない。死ぬなら、人間として——。
「……誰かいるのか」
低く、落ち着いた声が、がらんどうの格納庫に響いた。
聞き覚えがあった。あの時の——。
イリスの肩から、力が抜ける。違う、抜けたんじゃない。震えているのだ。彼女は格納庫の中央、ガーベラ・テトラの傍らに立つ人影を、廃材の隙間から見つめた。
カイン・ラスフォード。
漆黒のパイロットスーツではなく、煤けたフィールドジャケットを着ている。身長は184センチと高く、がっしりとした体つき。焦げ茶色の短髪はいつも通り無造作にかき上げられ、左頬から顎にかけての白い傷跡が、薄暗がりの中でもはっきりと見えた。彼は、損傷した自分の機体——シュヴァルツファルケの脚部パーツを抱えている。
彼もまた、機体の修理に来たのだ。
「……出てこい。武器は、もう置いた」
カインは言った。その手に、拳銃はない。腰のホルスターにも、何も入っていない。彼は両手をゆっくりと上げると、その場にしゃがみ込んだ。まるで、脅威ではないと示すかのように。
イリスの心臓が、より激しく脈打つ。
(なぜ、こんなことを)
敵だ。排除すべき対象だ。でも、彼は武器を捨てた。戦う気がないのなら、私は——どうすればいい。
彼女はゆっくりと立ち上がり、物陰から姿を現した。ナイフを握った手は、まだ震えている。無表情を装っているが、プラチナブロンドの髪の下で、その瞳は明らかに動揺していた。
「……なんのつもりだ」
声は、自分でも驚くほどか細かった。
カインは、深い緑色の目でまっすぐに彼女を見つめた。そこには、敵意も、殺意もない。ただ、深い森のような静けさだけが広がっている。
「俺は、お前と話がしたい」
彼は、言葉を一つ一つ確かめるように、慎重に言った。
「戦うためじゃない。ただ、知りたいんだ。お前のことを。なぜ、こんな場所で一人で戦っているのか。お前は、一体、誰なのか」
「……誰か、だと」
イリスは、自分の左腕を強く握りしめた。軍服の下にある、焼印。ZVN-07-IRIS。
「私は兵器だ。それ以上でも、それ以下でもない。お前たちが求める『機神のコア』を守る、ただのプログラムだ」
決まり切った言葉。自分に言い聞かせてきた呪い。
だが、カインは静かに首を振った。
「違うな」
彼は立ち上がり、ゆっくりと、一歩、イリスに近づいた。
「兵器は、俺に『なぜ』とは聞かない。兵器は、自分のことを『プログラム』だとは言わない。お前は、自分のことを『私』と呼んだ。それは、自分自身の意思がある証拠だ」
イリスの胸の奥で、何かが、かちり、と音を立てた。
彼女は一歩、後ずさる。
「……黙れ」
声が震える。感情を押し殺そうとすればするほど、顔から表情が消えていくのが自分でも分かった。
「お前に、何が分かる。私は……私は、数えきれないほどの人間を殺してきた。お前の部下も、私が殺したんだ」
「ああ、知っている」
カインの声は、驚くほど穏やかだった。
「俺も同じだ。戦場で、命令で、多くの敵の命を奪ってきた。そして、何よりも——三年前、俺のせいで、部下を全員、死なせた」
彼は、自分の右前腕を無意識にさすった。長袖の下には、失った仲間たちの名前が刻まれている。
「俺は、部下たちの顔を見ずに命令を下した。結果、小隊は壊滅した。生き残ったのは、俺だけだ。あの時、俺は思った。もう二度と、『敵』という記号で人を殺したくない、と」
彼はそこで言葉を切り、深く息を吸った。
「だから、お前に聞きたかった。お前は、なぜ戦うのか。お前の顔を、ちゃんと見た上で、お前という『人間』と話がしたかった」
イリスは、自分の唇がわななくのを感じた。
「……私は」
言葉が、喉に張り付いて出てこない。初めてだった。自分の過去を、誰かに話そうと思ったのは。
「私は、プロジェクト・ティターンの実験体、ZVN-07-IRISとして生まれた」
彼女は、抑揚のない声で、まるで他人事のように語り始めた。
「物心ついた時には、もう兵器だった。大人たちは私を番号で呼び、感情は戦闘の邪魔だと、そう教えられた。この左腕の焼印が、私の全てだ。名前すら、後から付けられたものに過ぎない」
彼女はガーベラ・テトラの巨体を振り返った。
「あの機体だけが、私の半身だった。喜びも、悲しみも、怒りも——全て共有できた。でも、機体の中で感じるのは、いつも敵を殺す感覚だけだ。戦闘本能が暴走し、敵を壊す。それが、気持ちいいとさえ思ってしまう。そして戦闘が終わると、いつも吐き気がする」
彼女の目は、何も映してはいなかった。ただ、空虚な闇だけが広がっている。
「私は、壊れている。兵器としても、人間としても、不完全な失敗作なんだ」
——その時だった。
雲の切れ間から、一条の光が差し込んだ。
それは、格納庫の奥の壁に開いた、小さな換気口を通り抜け、瓦礫の山を照らし出す。灰色のコンクリートと、ねじ曲がった鉄骨。その隙間に。
一輪の、白い花が咲いていた。
イリスの目が、大きく見開かれる。
彼女は、吸い寄せられるようにその花に近づいた。他の瓦礫は気にも留めず、ただ、その小さな白い花だけを見つめて。
「……ここにも、咲いていたのか」
彼女の声から、初めて、武器のような鋭さが消えた。
カインは黙って、彼女の後ろ姿を見つめている。
イリスはしゃがみ込み、そっと花びらに指を触れた。触れるか触れないか、ギリギリの距離で。
「幼い頃、同じ換気口の下で咲いていた花を見つけたことがある」
彼女は、まるで独り言のように語り続ける。
「私は、それが綺麗だと思った。そうしたら、研究者に見つかって、花は踏み潰された。『兵器に感情は不要だ』と。その時、私は生まれて初めて——怒りを覚えた」
彼女は、白い花を囲うように、ガーベラ・テトラの巨大な鋼の指を、そっと動かした。高性能な機体の、人を殺すための手が、赤子を包む親のように優しく、花を守る。
「それ以来、廃墟に咲く花を見つけるたびに、こうして守ってきた。私にできるのは、これだけだから。それを見るたびに、自分の中に、まだ何かが残っている気がして……それが、嬉しかった」
彼女の細い肩が、小さく震えている。
カインは、静かに彼女の隣に膝をついた。
「お前は、人間だ」
彼の声は、とても静かで、けれど絶対的な確信に満ちていた。
「……違う」
彼女は、必死に首を振る。
「違う……私は、こんなにも、たくさん殺してきたのに。花を守ったくらいで……許されるわけが……」
「兵器が、花を守ろうとするか?」
カインは、泣きじゃくる子供に言い聞かせるように、優しく言葉を重ねた。
「兵器が、殺した相手に『さようなら』と呟くか? 兵器が、『綺麗だ』と感じるか? お前は、誰よりも強く、誰よりも優しい。誰よりも、人間じゃないか」
——ぽたり。
イリスの目から、涙がこぼれた。
一粒、また一粒と、銀色の髪を伝い、白い花の近くの瓦礫に染み込んでいく。
十八年間。
兵器に涙は不要だと、自分に言い聞かせてきた。殺戮の後に震えながらも、決して泣くことを許さなかった。泣けば、兵器じゃなくなる。人間になってしまう。そうしたら、自分のしてきたことが、余りにも重すぎて、きっと立ち上がれなくなるから。
でも。
「ふ……ぅ……」
堰を切ったように、感情が溢れ出した。彼女は、自分の顔を両手で覆い、声を押し殺して泣いた。子供のような、か細い、痛々しい泣き声だった。
カインは、何も言わなかった。ただ、黙って彼女の涙を、ゴツゴツとした自分の指で優しく拭った。そして、その小柄な肩を、壊れ物を扱うかのように、そっと抱き寄せた。
イリスの体が、びくん、と震える。
他人の体温。生まれて初めて感じる、敵意のない、ただ温かいだけの人の温もり。
「……なんで」
彼女は、震える声で問いかけた。
「なんで、あなたは……私に、こんなことを」
「そうしたいからだ」
カインは、短く答えた。
「俺は、お前に助けてほしいわけじゃない。利用したいわけでもない。ただ、そうしたいから、そうしている。それじゃ、ダメなのか」
それじゃ、ダメなのか。
その言葉が、イリスの凍りついた心の壁を、音を立てて崩していく。
見返りじゃない。命令でもない。ただ、そうしたいから——。
そんなシンプルなことが、この世界に存在するなんて、彼女は知らなかった。
「……分からない」
彼女は、涙でくぐもった声で呟いた。
「私は、何も分からない。どうすればいいのかも……これから、どう生きればいいのかも……」
カインは、彼女の肩を抱いたまま、静かに言った。
「それでいい。今は、何も分からなくていい。ただ、考えるんだ。お前の意志で。お前は、もう、一人じゃない」
——ドクン。
イリスの胸の奥で、今までとは違う何かが脈打った。
それは、恐怖でも、自己嫌悪でもない。もっとあたたかくて、もっと強い、力のようなものだった。
彼女は恐る恐る、自分の手をカインの背中に回した。おずおずと、本当にそっと。
彼のジャケットは、冷たく煤けていたけれど、その下からは確かに、人間の体温が伝わってきた。
廃墟の静寂の中、二人は瓦礫の上に腰を下ろし、ただ寄り添っていた。白い花は、一条の光に照らされて、二人のすぐ隣で静かに揺れている。
これが、初めての、安らぎだった。
敵でもなく、兵器でもなく——一人の人間と、もう一人の人間として、心が触れ合った、束の間の時間。
カインは、自分のジャケットを脱ぎ、それをイリスの肩にかけた。
「……寒いだろう」
彼はそれだけ言うと、少し離れた瓦礫に腰掛け、空を見上げた。もうすぐ日が暮れる。
イリスは、かけられたジャケットの襟元をぎゅっと握りしめた。彼の匂いがした。鉄と、火薬と、それから——ほんの少し、太陽の匂い。
(これが、人間の匂いなのか)
彼女は、壊れた機械のように、そればかりを考えていた。
どれだけの時間が経っただろうか。
涙は、もう乾いていた。
「……カイン」
彼女は、初めて彼の名前を呼んだ。震えのない、はっきりとした声で。
「ん?」
「私は、私の意志で、考えたい。私が、何者なのか。そして……これから、どうしたいのかを」
彼女の紫がかった灰色の瞳は、涙に濡れて、アメジストのように輝いていた。
カインは、その瞳をじっと見つめると、口元をわずかに緩めた。それは、笑顔と呼ぶにはあまりに不器用な、でも確かな、優しい表情だった。
「……そうか。それがいい」
——その時だった。
ドォォン……。
廃墟の床が、不意に大きく揺れた。地下深くから、まるで巨大な心臓の鼓動のような、不気味な脈動が響いてくる。
白い花の傍らで、小さな石がパラパラと音を立てて落ちた。
「……大地が、また」
イリスの顔から、さっきまでの安らぎが消える。その代わりに浮かんだのは、戦士としての冷徹な表情と、その奥に潜む微かな怯えだった。首筋の瘢痕が、ずきずきと疼き始める。
グラオザームの活動が、明らかに活発化している。ここ最近、こんなことはなかった。まるで、何かを——いや、誰かを探しているかのように。
カインは素早く立ち上がり、周囲を警戒する。
「お前を、呼んでいるのか」
「……おそらく」
彼女は、自分の左腕の焼印を握りしめた。私を「半身」と呼び、取り込もうとするこの大地の意思。
「行け」
イリスは、カインのジャケットを脱ぎ、彼に差し出した。
「このままここにいれば、あなたも喰われる。それに、あなたには帰るべき場所があるはずだ」
カインは、ジャケットを受け取りながらも、その動きを止めた。
「……お前は、来ないのか」
彼は、分かっているのに、あえてそう尋ねた。
イリスは、ガーベラ・テトラを見上げた。
「私は、まだ行けない。あの大地の最深部、『ティターンの胎』で、私はきっと、人間ではなくなる。でも……」
彼女は、瓦礫の中の白い花を、もう一度だけ見つめた。
「もう少しだけ、人間でいたい。今は、そう思う」
それは、十八年かけて、初めて彼女が自分の意志でした決断だった。
カインは、一瞬息を呑み、それから深く、深く頷いた。
「……分かった。だが、これだけは約束しろ」
彼は、イリスの両肩に手を置き、まっすぐに彼女の目を見た。
「いつか、必ず、お前をここから連れ出す。『人間』イリス・クロムウェルを、外の世界へ。これは、任務でも命令でもない——俺の意志だ」
イリスの胸が、また、じわりと熱くなる。
「……なぜ、そこまで」
彼女は、震える声で問いかけた。前と同じ問いだった。だけど、その意味は、もう全く違っていた。
カインは、自分の胸に手を当てて、その鼓動を確かめるように言った。
「俺が、そうしたいからだ」
ドォォォン……!!!
より強い衝撃が、格納庫全体を揺らした。天井からコンクリート片が落ち、鉄骨が悲鳴を上げる。
「行くんだ!!」
イリスは叫んだ。その声には、初めて誰かを案じる響きがあった。
カインは、一瞬だけ躊躇した後、背を向けて駆け出した。損傷したシュヴァルツファルケのコックピットへと向かう、力強い足音。
イリスもまた、ガーベラ・テトラのワイヤーケージに飛び乗った。首に端子を接続し、機体を覚醒させる。有機的な紋様が、心臓の鼓動のように脈打ち始めた。
漆黒の機体が、離陸のためのスラスターを吹かす。
「次に会う時は、戦場じゃないといいな」
通信越しに、彼の声が聞こえた。
イリスは、操縦桿を握りしめながら、小さく、本当に小さく、口元を緩めた。
「……そうだな」
彼女は、誰にも聞こえないほど小さな声で、そう答えた。
シュヴァルツファルケが、翼を広げ、灰色の空へ舞い上がっていく。彼の機体が見えなくなるまで、イリスはじっと見送った。
格納庫には、再び静寂が訪れる。だけど、それはもう、孤独の静けさではなかった。
ガーベラ・テトラのコックピットの中で、イリスは、自分の手のひらを見つめた。そこには、さっきまで感じていた他人の体温の残像が、確かに残っている気がした。
彼女は、巨大な鋼の手で、白い花をもう一度、そっと囲った。
外の世界は、まだ冷たく、敵意に満ちている。追ってきた大地の脈動は、まだ地下でうごめき続けている。彼女の前には、過酷な戦いと、自身の出生の秘密が待っているだろう。
それでも。
今、彼女の心臓は、兵器だった頃よりもずっと、強く、速く、鼓動を打っていた。
(カイン・ラスフォード)
彼女は初めて、他の誰かのために戦いたいと思った自分を、少しだけ許せた気がした。
廃墟に一輪の花が咲くように、彼女の胸の中にも、確かな決意が芽吹き始める。Noveliaとは?
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