ヴェルナード王国の名門アルノワ家の悪名高い悪役令嬢、ソフィア・アルノワは本日、処刑されることが決まっている。 罪状は「皇太子への呪詛」。しかし、それは嘘だ。ソフィアは一度もそんな魔法を使ったことはない。 断頭台の前に立ち、ソフィアは静かに目を閉じる。泣いたところで何も変わらない。誰も信じてくれなかった――父も、元婚約者の皇太子ライオネル・ヴェルナードも、かつて友達だと思っていた少女たちも。みんな背を向けた。 冷たい刃が首に触れたその瞬間、動きが止まる。 「――彼女は殺せない。」 広場に響き渡る大きな声。ソフィアが目を開けると、黒い鎧をまとった大きな騎士が剣を地面に突き立てていた。断頭台の騎士、レイン・クロスだ。 「この女性は無実だ。証拠がある。」 王族や貴族たちがざわめく。しかしレインはためらわず、ソフィアの手を掴む。 「逃げる。今すぐだ。」 「なにを――」 「時間がない。このままでは二人とも死ぬ。」 鼓動が高鳴るソフィアは彼の手を強く握り返す。背後からは衛兵たちの叫び声が追いかけてくる。 こうして二人の逃亡生活が始まった――王国の国境を越え、小国ミルティアへ向