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血の匂いとともに、少年はすべてを失った。 孤児院「陽だまりの家」で十四年間、ただ一人の能力者として戦い続けてきた灰谷累。触れた物の記憶を読む力「残響」——その力ゆえに恐れられ、利用され、そして裏切られた。 施設を守るための囮として、育ての親に切り捨てられた累は、腹を撃ち抜かれ、冷たい地面に倒れる。守りたかった子供たちの顔、果たせなかった初雪の約束、そして「なぜ、捨てた」という消えない問い。 意識が闇に落ちる寸前、累の前に現れたのは、裏社会の組織「ゴーント・ネスト」の冬木蒼と早瀬凪だった。 「お前を、ゴーント・ネストに迎え入れる。組織の一員として、生きろ」 冷たい声で告げる蒼。その手に触れた瞬間、累の脳裏に流れ込む、見知らぬ記憶の断片——雪の降る夜、誰かの背中、燃える建物。それは、決して読めないはずの、累自身の失われた過去への扉だった。 裏切り、暴力、そして自らの正体への渇望。拾われた刃は、いま再び鞘を探し始める。 これは、居場所を求めて戦う少年の、再生と覚醒の物語。
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